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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第二章:トンカラトン ――
22/101

【022】困難な調査

「どうして難しいの?」


 ぼくが聞くと、水間さんがこちらを見た。


「まず、【四次元ばばぁ】は俺の頃にも都市伝説があった。この怪異は、四月四日に出るんだ。今は七月だ。来年まで待たなければならない」

「た、たしかに……」

「ナナちゃんというのも、聞いたことがある。【手鏡からのぞくナナちゃん】だ。これは手鏡の中にいる少女らしいんだが、きさらぎ市だけでも手鏡の数なんて数えきれない。どこにその手鏡があるのか特定できない」

「私の家にも手鏡はたくさんあります。納得です」


 哀名が頷くと、水間さんも頷いた。


「俺に調べられそうなのは、【読んではならない本】だけだ。次に図書室に行った際に、探してみることにする。二人とも、ありがとう。今日は助かった」

「花子さんは?」

「――外部の俺が小学校の女子トイレに入るのは、非常に無理がある。場合によっては、泰我に相談するが、先に図書室の本を調べる」

「じゃあ次は、土曜日に集合?」

「別に来なくても構わない。俺は、来週の土曜日に、いつもより早く十四時頃に図書室にいくつもりだが」


 水間さんはそう言うと、帰って行った。

 その姿を見送っていると、哀名がぼくの腕の服を掴んだ。


「楠谷くん」

「なに?」

「トイレの花子さんは、旧校舎の四階の女子トイレの四番目の個室に、四時四十四分に出るのよね?」

「うん。学校の七不思議では、そう言われてるね」

「私、行ってみようと思うの。私なら、女子トイレに行ってもおかしくないし」


 ぼくは驚いた。


「で、でも! 旧校舎は立ち入り禁止だよ?」

「誰にも気づかれないように一人で行くわ」

「危ないよ! それなら、ぼくも行く。誰もいないなら、ぼくが女子トイレに入ったって、だれも気づかないはずだしね」


 いい考えだと思いぼくが頷くと、哀名が目を丸くした。そして小さく笑った。

 あんまりにも可愛くて、ぼくはみとれた。


「じゃあ一緒に。明日、月曜日の放課後に。旧校舎の女子トイレの前で待ち合わせをしましょう。バラバラに入った方が、人目につかないはず」

「分かった」


 こうしてぼく達は、トイレの花子さんに会いに行くことにした。

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