表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第二章:トンカラトン ――
19/66

【019】占い結果


 そろって歩きながら、ぼくは何度もとなりを見た。

 哀名はすらりと背が高い。ぼくは負けそうだ。本当に長い髪をしていて、まっすぐでサラサラのつやつやだ。となりを歩いていると、シャンプーのいいにおいがする。


 いつもワンピースを着ていて、哀名はやせている。

 美人だ。

 それに、今は無表情だけど、ぼくに消しゴムを貸してくれたころは、優しく笑っていた。ぼくは笑っているほうが可愛いと思う。それに哀名は、とっても心も優しい気がする。


「どうかした?」


 ぼくが見ているのに気づいたようで、哀名がこちらを見た。

 あわててぼくは前を向く。


「なんでもないよ。行こう!」


 こうしてぼく達は、石段をのぼり、鳥居をくぐった。

 神社には、ブランコと砂場、そしてベンチとテーブルがある。

 ぼく達はやねの下に入って、それぞれ座った。


「はじめます」


 哀名はテーブルの上に布をしくと、その上にカードを並べた。

 トランプみたいなマークを見ながら、ぼくは結果を待つ。

 しばらくすると、哀名がむずかしい顔をした。


「視えない」

「え?」

「図書室ピエロのことが、なにも視えないの。こんなのは、はじめて」

「そっかぁ……」


 ぼくは顔を下げて下を見た。手がかりは見つからなかった。


「もしかすると、トンカラトンのように外にいるのではなく、〝むこうがわ〟にいるのかもしれない」

「むこうがわ?」

「ええ。人間の世界とは違う場所」

「そんな世界があるの?」

「――パパはそう言っていたわ。都市伝説のお化けは、そこから人間の世界に顔を出しているんだって。時々、あちらとこちらが交差したとき、人はお化けに遭遇するんだって」

「そうなんだ」


 ぼくは知らなかったことを、また一つ知った。


「哀名のお父さんは、そういうのに詳しいの?」

「魔術書……幻想文学の翻訳家をしているの」

「そうなんだ。なんだかすごいね」


 ぼくが言うと、哀名が目を丸くしてから、顔を背けた。少しだけ、その耳があかい。照れているみたいだ。


「ねぇ、楠谷くん」

「うん?」

「私も、トンカラトンを調べるの、手伝ってもいい?」

「それは水間さんに聞いてみないと……」

「だったら私が直接お願いするから、合わせてもらえないかしら?」

「会わせるくらいはいいと思う。ええとね、そうしたら次の日曜日の朝十時に、端東第二公園に来られる?」

「ええ、わかった」

「だけど、他の人にはヒミツだよ?」

「約束する」


 哀名が真面目な顔で、大きく頷いた。睫毛が長い。

 ぼくも頷き返して、この日はそれぞれ家に帰った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ