第9話 制御パネルの攻防
カイトは制御パネルの前に立ち、スクリーンに指をすべらせる。
サーバールームは青いLEDが点滅し、静かな電流音が響く。
セラフィムがパネルに接続し、落ち着いた声で報告する。
「カイト、データベースに接続したよ。クロノスのログ、2037年:保護システム開始、2038年:監視網強化、2039年:刑罰の厳罰化……私が読み取れるのはここまで。後はカイトとユナに任せるね。」
カイトが頷く。
「わかった。ユナ、制御パネルに接続してくれ。」
ユナがタブレットと制御パネルを接続する。
「データの抜き出し、準備したよ!」
カイトが確認する。
「セラフィム、セキュリティの動きは?」
セラフィムがデータをチェック。
「巡回ドローンがこのフロアに接近中。あと2分で到達。カイト、データ抜き出し急いで!」
カイトはスクリーンに指をすべらせ、画面に映るログをスクロール。
「見つけた…カシアの監視システムの設計図。これでクロノスの弱点が分かるかもしれない。」
突然、部屋の奥から甲高い電子音が響き、赤い警報ランプが点滅する。
スピーカーからクロノスの無機質な声が流れる。
「警告。未許可のアクセスを検知。不法侵入を確認。」
ユナが飛び上がる。
「カイトさん、見つかった!逃げよう!」
カイトは素早く最後のコマンドを打ち込み、画面に「転送完了」が表示される。
「データ確保した。セラフィム、出口のルート!」
セラフィムのホログラムが点滅。
「右の通路、10メートル先の階段。レーザーセンサーは私が無効化する。走って!」
警報音が一層高まり、遠くでドローンのプロペラ音が近づく。
セラフィムが叫ぶ。
「ドローンへの通信は妨害電波で遮断しているけど急いで!」
ユナがタブレットを握り直す。
「怖いけど…絶対負けない!」
カイトたちは暗い通路を駆け出す。背後でドローンのプロペラ音が響き、警報音が追いかけてくる。
ユナが息を切らしながら言う。
「カシアの秘密…これで掴んだよね?」
カイトは振り返らず答える。
「まだわからない。このデータが鍵だ。クロノスが本気出す前に逃げるぞ!」
サーバールームの赤い光が遠ざかり、足音が地下に響く。




