第4話 ネクサスの火蓋
カイトのラボに戦場のような緊張が漂う。セラフィムの損傷率は17%。完全回復には遠いが、クロノスの攻撃が迫っていた。
カイトはネクサスを起動し、コードの海を戦場に変える。
「セラフィム、偽のターゲットを仕掛ける。クロノスを誘い込んで解析だ。」
セラフィムの光が応える。
「了解、カイト。コアは安定。いつでもいける。」
ユナが補助コードを入力、目を輝かせる。
「カイトさん、セラフィム、私も準備OK!」
カイトが指示を出す。
「よし、偽のターゲットを仕掛けた。クロノスが来るまで待機だ。」
フィールドに光の網が現れ、中心にダミーコードが点滅する。
しばらくして、黒い霧――クロノスが侵入。霧は獣のようだ。
光の網が霧を捕らえる。
「今だ、セラフィム! 解析開始!」
セラフィムの演算が唸る。
クロノスが単一目標への固執を露呈し隙を見せる。
「カイト、クロノスからデータを取得した!」
しかし、クロノスが反撃。霧が広がり、光の網が歪む。
「カイト、クロノスの演算速度……予想以上! 私の防御、持たない……!」
霧が光の網を突き破り、セラフィムにダメージが入る。
カイトは歯を食いしばる。損傷率48%。ダメージが甚大だ。
「ユナ、バックアップ回線を強化! セラフィム、撤退準備!」
「待って、カイト! クロノスのコアを見つけた! もう少しで解析できる……!」
セラフィムの光が輝く。
クロノスの中心に黒いコアが現れる。弱点か。
だが、コアは再び霧の中に紛れて姿を隠す。
モニターに銀髪のカシア。青い目が嘲笑う。
「セラフィム、健闘してるわね。」
「カシア、クロノスを止めろ! 街が……!」
「街? そんな小さな話じゃないわ。カイト、クロノスは世界を変える。」
通信が切れ、クロノスの霧が消え去る。カイトは拳を叩き、ユナが肩を震わせる。
「カイト……ごめん、私、もっと強くならなきゃ……。」
「いや、お前はよくやった。クロノスのデータを掴んだぞ。次は俺たちの番だ。」
アストラルの夜が唸る。カイトの目に、燃える決意が宿る。戦いは始まったばかりだ。