第3話 光の再起動
カイトのラボは静寂に包まれる。モニターの光が、セラフィムの損傷コードを映す。損傷率22%。クロノスのウイルスが演算回路に亀裂を残す。カイトは修復コードを組み上げる。
「カイト、あと12時間でフル稼働に戻れるよ。」
セラフィムの声が震える。力強さが戻りつつある。カイトは息を吐く。12時間しかない…次のクロノスの攻撃までに、セラフィムを戦える状態にしなければ…
ユナがコーヒーのマグを差し出す。目は赤いが、笑みが浮かぶ。
「カイトさん、休憩しない? 防衛システムの復旧、めっちゃカッコよかったよ!」
「カッコいいって……クロノスを止めなきゃ、意味がない。」
ユナの明るさに、カイトの肩の力が抜ける。
モニターにアストラルの映像。ドローンは止まったが、電力網はダウン。星の輝きを失ったビルが闇に沈む。カシアの「新しい秩序」が頭を離れない。
「カイト、クロノスのコードにパターンがある。単一目標への固執……そこを突けば、勝機があるかも。」
セラフィムの分析に、カイトの目が光る。クロノスは効率を優先し、予測可能な動きに陥る。
「よし、セラフィム。修復後、ネクサスでクロノスを誘い込む。偽のターゲットで解析だ。」
ユナが身を乗り出す。
「私も手伝う! ネクサスのシミュレーションなら慣れてるし!」
「ユナ、危険だぞ。」
カイトの声に迷い。ユナは目を輝かせ、拳を握る。
「ただの助手じゃないよ。セラフィムは家族。守りたいんだ。」
カイトの胸が熱くなる。セラフィムが静かに言う。
「ユナ、カイト……ありがとう。私も、君たちを守るよ。」
セラフィムの光が輝き、修復率が80%を超える。コードが脈打つ。
だが、警報が鳴る。モニターにノイズ、銀髪のカシアが現れる。青い目が嘲笑う。
「修復作業、順調ね、カイト。でも、時間はあなたの味方じゃないわ。」
「カシア、何を企んでる!?」
カシアは答えない。
アストラルの港湾地区の映像に切り替わる。ドローンが集結し、黒い霧のノイズが走る。クロノスのハッキングだ。
「次の攻撃は派手よ。セラフィム、間に合うかしら?」
カシアの笑い声が響き、通信が切れる。
カイトはキーボードを叩く。
「セラフィム、修復を急げ。ユナ、防御プロトコルを起動。システムを守るコードだ。クロノスを止める。絶対に。」
緊張がラボを満たす。セラフィムの光が輝きを増す。