第20話 待ち伏せ
セラフィムはネクサスの闇の入口を抜け、暗い仮想空間に足を踏み入れる。
虚空なフィールドは深い闇に覆われ静寂に包まれる。
モニター越しに、カイトとユナが息をのんで見守る。
やがて上空に赤い光が点滅し、無数のドローンが姿を現す。
機械音が唸り、一斉にレーザーを発射してセラフィムを襲う。
カイトが机を叩く。
「やっぱり罠を張っていたか!」
ユナが叫ぶ。
「カイトさん、セラフィムを助けて!」
カイトはキーボードを叩くが、画面にエラーが点滅。
「だめだ、こちらのコマンドが通らない!」
セラフィムの声が静かにささやく。
「カイト、ユナ、私に任せて。」
彼女は軽やかに動く。レーザーを紙一重でかわし、両手からライトニング・ボールを放つ。
光の玉がドローンに命中し、爆発音が闇に響く。
一機、また一機とドローンが火花を散らして落ちていく。
ユナが目を輝かせる。
「セラフィム、すごい!」
カイトはモニターを見つめ、頷く。
「よし、確実に強くなっている。」
セラフィムは次々と光の玉を放ち、ドローンの群れを撃ち落とす。
やがて最後のドローンが爆発し、闇に静寂が戻る。
セラフィムが穏やかにささやく。
「以前の私なら苦戦していた。でも、もう昔の私じゃない。」
その時、闇の先に光る階段が浮かび上がる。
上空からカシアの声が冷たく響く。
「準備運動は楽しんでもらえたかしら。セラフィム、次はその階段を登ってきなさい。」
セラフィムは静かに頷き、階段を登り始める。
カイトとユナはモニター越しに固唾をのんで見つめる。戦いはまだこれからだ。




