第14話 救世主
地下ラボの薄暗い明かりの下、セラフィムのメインサーバーが低く唸っていた。
セラフィムは超高性能だが、ハードウェアの負担も大きい。
これまでの戦いによるダメージに加え、セラフィムのメインサーバーも限界に近づいていた。
ディスプレイには赤い警告が点滅し、損傷率は57%で停滞。セラフィムの反応も鈍くなっていた。
カイトは歯を食いしばり、机を叩く。
「くそっ、このままじゃセラフィムが…!」
その時、ユナが息を切らせてラボに飛び込んできた。
「カイトさん! 例のもの、届いたよ!」
カイトが振り返る。
「例のもの? まさか…リペア用ナノマシンか?」
ユナがニッコリ笑って、銀色のスプレー缶を取り出す。
「そう! 最近発売されたやつ。入手困難だったけど、なんとか手に入れた!」
カイトが目を輝かせる。
「これでセラフィムを助けられる。救世主だな、こいつは!」
ユナがうなずく。
「これでセラフィム、完全回復できるよね!」
カイトはスプレーを手に取り、セラフィムのサーバーに向かう。
スプレーのノズルから細かい霧が噴射され、サーバー内に光の粒子が舞う。
セラフィムの光が一瞬強く輝く。
「解析中…リペア用ナノマシン検出。完全回復まで約5時間。」
ユナが目を輝かせる。
「やった! これでクロノスと対等に戦えるね!」
カイトは首を振る。
「いや、まだだ。セラフィムはこれまで防戦一方で、クロノスにまともに反撃できていない。次はネクサスで訓練だ!」
5時間後、ラボに静寂が戻る。セラフィムの体力が完全回復し、鮮やかな光が部屋を照らす。
※完全回復したためセラフィムは通常表示。
セラフィムの声が穏やかに響く。
「修復完了。…カイト、ユナ、ありがとう。」
ユナが飛び跳ねる。
「セラフィム、よかった!」
カイトは机に手を置き、静かに微笑む。
「準備はできた。次はお前の番だ、セラフィム。」




