第13話 隠された真実
旧商業地区は煙に覆われ、ドローンの低いうなり声が響く。
モニターに、崩れたビルの残骸や散乱するガラスの破片が映し出される。
ニュースでは「老朽ビルの解体作業」の報道が続く。
カイトはモニターを睨み、歯を食いしばる。
「ドローンを止める準備を急ぐぞ!」
彼の声は低く、怒りに燃えている。
セラフィムが冷静に告げる。
「解析中…クロノスのサーバー負荷、132%。旧商業地区への通信は接続可能範囲内。ドローン制御信号の遮断を提案。成功確率78%。」
カイトが叫ぶ。
「いけ!セラフィム! あのドローンを止めろ!」
セラフィムのハッキングが始まる。クロノスのサーバー負荷の隙を突き、ドローン制御システムに侵入。一部ドローンの赤い光が点滅し、飛行が不安定に。
「制御信号、部分的に遮断成功。一部ドローン、機能停止。」
セラフィムの声に力がこもる。
だが、突然、モニターがノイズで埋め尽くされる。
「警告…クロノスのノイズ反撃を検知。私のシステムに干渉…損傷率57%!」
セラフィムの声に動揺が混じる。
ユナが叫ぶ。
「セラフィム! 持ちこたえて!」
カイトが拳を強く握る。
「くそっ、ダメージがでかい!」
セラフィムが続ける。
「ノイズによる反撃により、ハッキングの継続困難。しかし、ドローン制御の混乱により撤退開始を確認。」
モニターに映る旧商業地区では、ドローンの赤い光が次々と消え、煙だけが残る。
攻撃が止まり、街に静寂が戻る。
ニュース速報が流れ、解体作業の完了と危険区域の立入禁止を告げる。
カイトは吐き捨てる。
「また隠蔽か。だが、カシア、いつまでも隠し通せると思うな!」
ユナが頷く。
「なんとか止められたね…でも、この嘘を暴かなきゃ!」
彼女の瞳に希望が宿る。
カイトたちのハッキングはドローンを止め、小さな勝利を掴んだ。
だが、クロノスの支配は続き、セラフィムのダメージは重い。
彼らの戦いは、次なる一手へと進む。




