第12話 大規模攻撃
カイトはクロノスの設計図の解析を進めていた。
突然、モニターが赤く点滅し、鋭い警報音が響く。
画面に旧商業地区の映像が映し出される。クロノスのドローン群が空を埋め尽くし、赤い光のレーザーがビルを切り裂く。
薄暗い通りに怪しげな看板やコンテナが並び、落書きだらけのビルが炎に照らされる。轟音とともに爆発が起こり、ガラスが飛び散り、闇が広がる。
「これがカシアの言っていた派手な攻撃か!」
カイトがモニターを睨みつける。
「この辺、治安が悪いとは聞いていた。だが、こんなやり方は許されるものじゃない!」
ユナが叫ぶ。
「カイトさん!今ニュースで、旧商業地区は老朽ビルの解体作業中だから近づかないようにって報道してる!隠蔽だよ!」
カイトが拳で机を叩く。
「ふざけるな!これはテロじゃないか!セラフィム、状況は?」
セラフィムがモニターのデータを高速でスクロールする。
「ログ解析完了。攻撃対象は旧商業地区。前回の攻撃より広範囲、クロノスのドローン出動数は過去最大。」
「カイト、クロノスのサーバーに異常負荷を確認。クロノスにハッキングするチャンス。成功確率75%。」
カイトが頷く。
「よし、ハッキングの準備を急ぐぞ。こんな派手な攻撃、クロノスのシステムに隙ができるはずだ。セラフィム、何か他に掴んだか?」
セラフィムが冷静に答える。
「クロノスのサーバーログ、執行猶予廃止令案を検出。詳細解析中…進捗12.4%。」
ユナが目を丸くする。
「執行猶予廃止って…誰だって過ちを犯す可能性はあるのに。反省の機会も与えるべきだよ!」
「カシアの正義が何であれ、こんな支配で押し通すなんて間違ってる。クロノスを止めるぞ!」
カイトが拳を震わせる。
セラフィムが静かに頷く。
「了解。解析継続中…次の行動、提案準備。」
ラボの蛍光灯が一瞬強く光り、三人の決意を照らし出す。




