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異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
二人旅の始まり

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元の生活へのリハビリ

 二週間もの幸せな時間を過ごした後、私は自分の部屋で起きた。

 昨日は、アリサが張り切ってくれたから、身体が疲れているかと思ったけど、一眠りしたらもう大丈夫だった。洗顔と歯磨きを終えて祈りを捧げると、久しぶりにミナお姉さんの世界に来る事が出来た。

 花畑は変わらなかった。私がマンチカンにいるから周囲の環境を合わせている感じなのかな。

 ミナお姉さんが庭のベンチでゆったりとしていたので、急いで傍に駆け寄って膝に乗り抱きついた。ミナお姉さんも背中に手を回して頭を撫でてくれる。


「最近は奔放な生活を送っていたようですね」

「うっ……いや、一度死んだ事もあって、ちょっと休憩しようと思ったら……」

「私は良いと思います。姫奈様が幸せでいてくれるのが、今の私の何よりの喜びですから。何か心配事が?」


 ミナお姉さんは、私の頭を撫でながら私が何かを心配していると気付いたらしい。いや、ずっと見ていたから知っていたという方が正しいのだろうか。


「一応……この二週間で街の中にずっと居ましたが、グレイズさん達が行動を起こしているところを発見出来なくて。やっぱり杞憂だったのかなと思い始めているんですが、やっぱり何かしらあるはずと思ってしまって」

「なるほど。それに友人が巻き込まれるかもしれない……愛人の方が正しいでしょうか」

「ああ……まぁ、はい……」


 愛人とか言うのは失礼になるのかすら分からない。関係で言えば間違ってはいないのだろうけど。両想いで愛し合ってはいるけど、私にはレパがいるからね。

 他の人から愛人と言われると若干抵抗感を覚えるのは、向こうの世界で暮らしていた記憶があるからなのかな。向こうではあり得ない関係を構築しているのは事実だし、私はこの関係を好んでいる。

 関係を結んでいる人達も同様に思ってくれているからこそ成立しているものだ。ちゃんと有り難いと思わないと。


「これに関して、私からは言える事はありません。基本的には姫奈様しか見ていませんので」


 ミナお姉さんは世界の全てを見ているわけではなく、私の生活を見守ってくれている。だから、ミナお姉さんは、私が知っている事しか知らないという事も大いにあり得る。


「ですが、一つだけ。姫奈様は、ご自身の直感を大事にされると良いでしょう。ないと思いながら行動するよりも、もしかしたらと想定して動く方が良いと思います。そうしなければ、姫奈様が後悔されるかもしれませんので」

「それは……一般論ですか?」

「はい。誰にでも言える事です。ですが、姫奈様の迷いは解れたと思います。考えすぎは精神的に悪いですが、それでも考えなさすぎるという方が問題だと私は思いますので」


 確かに一般論を言われただけだけど、それだけで少し心が軽くなった。ミナお姉さんから言われたからという事もあるかもしれないけど。言葉は誰が言うのかも割と大事になってくる。それだけ私がその人の事を信頼しているのかで、響く度合いが変わってくるしね。

 因みにミナお姉さんは、何を言っても私に響く。ミナお姉さんの事は大大大大大大大好きだから。

 ミナお姉さんは、私の腰辺りをポンポンと叩き始める。


「もしもやもやとするのが嫌なのであれば、姫奈様の好きなもので紛らわしましょう」

「好きなもの……」


 そう言われてミナお姉さんの胸が目に入ってしまい、即座に手が動き出す。むぎゅっと触ったら、即座に平手打ちが返ってきた。懐かしいやりとりだけど痛い……

 ミナお姉さんは物凄く申し訳なさそうな表情をしながら私を抱きしめて頭を撫でる。


「申し訳ございません。反射的に……ですが、唐突に今のような揉み方はやめて頂けると助かります。私にも多少の痛みはありますので」

「うぅ……すみません……」


 これは私が悪い。自分の好きなものと言われて衝動を抑えきれなくなってしまったせいだ。ちゃんと相手の事も考えないといけない。でも、何だかこうして謝られながら頭を撫でられるのに、少し興奮を覚えている自分に気付いた。変な扉を開きそうになっているので、これは本当に自重しよう。

 仲直りのキスをしてから、もう一度優しく触っていく。しばらく触っていると、ミナお姉さんの方からも私を愛し始めてくれるので、そこから二時間弱の幸せタイムが始まった。

 ミナお姉さんとラブラブイチャイチャしながら別れて意識が現実に戻ってくる。

 幸せの時間をありがとうと感謝の祈りを捧げていると、正面に気配を感じる。どうやらアリサが起きたらしい。アリサは、私の顎を取ると顔を強制的に上に向けさせてキスをしてきた。


「おはよう、ヒナ」

「おはよう。歯磨きと洗顔は?」

「してきたよ。ヒナが夢中で祈っていたから気付かせてあげようかなって」

「確かに……気付いてなかったかも……ん」


 アリサがもう一度キスをしてきたので、その場で立ち上がる。そうじゃないと、このまま押し倒される事になりそうだし。アリサとのキスが嫌な訳じゃないという気持ちを伝えるために、私からもキスをする。すると、アリサに抱きしめられて、そのままという風になりそうだったので、アリサの唇に人差し指を当てる。

 アリサは、そのまま人差し指を加えて舐めてくる。そういう意図はないのだけど、この二週間で植え付けられてしまったらしい。まぁ、アリサのせいだ。


「はい。キス終わり。朝ご飯でジルさんも来るだろうし」

「私はジルさんと一緒でも良いよ?」


 アリサは私の指から口を離して、そんな事を言ってきた。それはジルさんにも確認しないといけない事なので、私からは何とも言えない。ミラさんは姉妹だから良かったけど。それに基本的に二人で私をってだけで、二人は何もしてなかったし。


「はいはい。それはまた今度ね。そろそろ依頼とかを受けないと。次の街に行くのにお金を稼がないといけないしね」

「今日から?」

「ううん。明日から。今日は外出して街を歩こう。そうじゃないと一日中になっちゃうし」

「分かった」


 アリサが素直に返事をしてくれた後、ジルさんがやって来て朝食を摂る。この二週間でもジルさんの声は戻らなかった。こればかりは時間を掛けないといけないので仕方ない。

 ジルさんにもこの話をしたら一緒に付いてくるという話になったので、三人でデートをする事になった。

 街の観光をした時と大して変わりはないのだけど、あの時とは関係が大きく変わっている。だから、これは本当にデートになる。ジルさんが同意すれば、本当に三人でって事もあるのかな……

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