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異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
二人旅の始まり

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マンチカン観光

 ギルドに戻った私達は、ユイリナさんに討伐したフラワーマンティスを提出して報酬を貰う。


「この数のフラワーマンティスが狩れましたか……本当に数が多くなっているようですね。お二人ともお怪我はありませんね?」


 フラワーマンティスの数を数えたユイリナさんは、少し心配そうに私達を見てくる。でも、怪我は全くしていない。


「はい」

「本当に良かったです。フラワーマンティスを安全に狩る方法を見つけたのですか?」

「そうですね。大分簡単に倒せるようにはなっていると思います」

「それは良かったです。ですが、慢心はいけませんよ?」

「はい。それじゃあ、失礼します」

「はい。お疲れ様でした」


 私達はギルドを後にして、お昼を食べてから宿に戻ってくる。そして、宿でステータスの確認をする。さっきのフラワーマンティス戦でレベルが上がったからだ。


────────────────────


ヒナ Lv37『雷鎚ミョルニル』

職業:槌士Lv16

MP:7845/7845 7694+151

筋力:7015(500)『3000』 6914+101

耐久:6474(330)『2000』 6382+92

敏捷:3445『1000』 3324+121 

魔力:2282『1000』 2192+90

器用:2581 2483+98

運:370 360+10

SP:370 360+10

スキル:【槌術Lv18】【両手槌術Lv8】【体術Lv6】【投擲Lv7】

【雷魔法Lv2】

【MP超上昇Lv60】【剛腕Lv36】【頑強Lv70】【疾駆Lv28】【知力Lv3】【至妙Lv20】

【騎乗Lv2】【採掘Lv58】

【MP回復力超上昇Lv48】【重撃Lv27】【暗視Lv73】【見極めLv17】【気配察知Lv10】

【火耐性Lv8】【風耐性Lv6】【雷耐性Lv10】【雷電耐性Lv7】【斬撃耐性Lv5】【打撃耐性Lv10】【毒耐性Lv3】【痛覚耐性Lv10】【苦痛耐性Lv10】【激痛耐性Lv10】【精神耐性Lv10】

【高速再生Lv82】【竜の血Lv4】

【生命維持】【色欲】【不死】【女神との謁見】

職業控え欄:旅人Lv1 平民Lv18 採掘者Lv48


────────────────────


 ステータスの伸び的には順調ではあるのかな。身体能力を強化するために雷を纏っていたから、MPの伸びも割とあるし。【色欲】だけが、異彩を放っているけど。いや、【不死】とか【女神との謁見】も異彩と言えば異彩か。


「う~ん……もう少し筋肉を付けたいなぁ……」


 ハンマー使いとして、筋力を目一杯伸ばしたいと考えている。ただ、それとは別に巣の筋力に関係する筋肉も付けたいと考えていた。


「筋トレ?」


 アリサが後ろから私の二の腕を揉みながら首を傾げていた。

 私の二の腕にあるのは、ちょっとした肉と骨だ。ガリガリではないけど、まだ肉は少ない。不健康とはならないけど足りないって印象かな。


「あれから三ヶ月経ったし、これでもちょっとずつ繰り返してるんだけど……前よりも筋肉付いたと思う?」

「う~ん……微妙。でも、そんなすぐに筋肉が付くわけもないから、地道にやり続けるしかないと思う」

「まあ、そっか。少しでも筋肉が付くように努力だけはしておこう」

「またミョルニルで……キャッチボールだっけ? やってみる?」

「いや、あれはミモザさんに物凄く怒られたからやめておこう。今思えば、あの時は私もどうかしてた」


 ヌートリアにいる時に平原で雷鎚ミョルニルを投げてキャッチボールをしていた事がある。まぁ、正確にはキャッチハンマーなのだけど。肩に筋肉を付ける方法としてキャッチボールが思いついて、丁度良いボールがなかったから雷鎚ミョルニルを使っていた。

 その光景をミモザさんに見られて、かなり叱られた。普通にキャッチ出来ていたし、危なかったら私の方に引き戻すとか出来たけど、それでも危険である事には変わらなかった。

 ある意味でアリサのリハビリみたいになっていたのだけどね。


「そういえば、明日はお休みだけど、アリサは何したい?」

「ヒナは?」

「私は街を見て回ろうと思うよ。せっかく新しい街に来たから観光はしないとね。目的の一つだし」

「じゃあ、一緒に行く」

「了解。じゃあ、少しお昼寝をしてから、夜ご飯に行こうか」

「うん」


 狩りの疲れを癒すために一旦お昼寝を挟んで夜ご飯を食べに出掛けて、少しお話ししてから眠りに就く。


────────────────────


 翌日。ミナお姉さんの元には行けなかったけど、まぁ良し。いつも通りジルさんと朝食を摂っていると、ジルさんが筆談で今日の予定を訊いてきた。


「今日はお休みなので、街の観光をしようと思います」


 そういうと、ジルさんが顔を上げて朝食のホットドッグを喉に詰まらせた。急いで背中を軽く叩いて呼吸を戻させると、ジルさんは何度も頭を下げてきた。声が出ないので、こうして最大限の感謝をしてくれているのだ。

 そして、すぐにメモに何かを書き始める。


『私が案内』

「観光案内してくれるんですか? 私達は助かりますが、ミラさんから許可を得ないと」


 私がそう言うと、ジルさんは何度も頷く。それは承知しているという事だろう。さすがにミラさんに黙って行くという事は出来ないからだ。

 朝食を食べた後、私達はミラさんにジルさんが観光案内を申し出てくれた事を伝えた。


「ジルが? う~ん……まぁ、良いかもね。でも、十分に気を付けてね」


 ミラさんがそう言ってジルさんの頭を撫でると、ジルさんは大きく頷いた。それと同時にミラさんが、私達に目配せしてくる。ジルさんの護衛をお願いという事だろう。その意図を察した私達も頷く事で答えた。

 そうして、ジルさんによるマンチカンの案内が始まる。ジルさんが最初に案内してくれたのは、大きな噴水だった。街の中心近くにあり、花の意匠が彫られている。やっぱり花の街という印象が強くなっていく。


『待ち合わせ場所 夜も綺麗』


 色々な人の待ち合わせ場所になっているらしい。見た感じではカップルの待ち合わせ場所というのが多いのかな。男女の組み合わせで待ち合わせしている人達が多く見える。

 夜は夜でライティングが綺麗って感じかな。噴水が中心にある円形広場という感じで、いくつかの円状にグランドライトが設置されている。魔法的な感じなのか発電所がどこかにあるのかは分からない。

 この世界だとその二種類が考えられるから、判別に困る。する必要がないというのはあるけど。


「人が集まるから、周囲に屋台が多いんですね」


 広場の外周上に屋台が建ち並んでいる。人が集まる上、待ち合わせ場所だから長く待たされる事になる人は屋台に寄ってしまうだろう。美味しそうなものが多いし。

 その中で、私が気になったのは食べ物ではなく金属が売っている場所だった。


『アクセサリー屋さん 原石も売っている 掘り出し物もある』


 アクセサリーと宝石の原石が売っているらしい。そのアクセサリーや原石の中には掘り出し物があるとの事だ。


「宝石の目利きは出来ないからなぁ。アリサは?」

「綺麗って事は分かるよ?」

「うん。さすがに、私も分かる。じゃあ、やめておこう。ぼったくられるかもしれないし……」


 そう言っていると、ジルさんが私の肩を軽く叩いて自分を指差した。それを見て、私は思い出した事がある。


「そうだ。ジルさんは商人ですもんね。その手の目利きは得意なはず。お金に余裕はある……これからフラワーマンティスを中心にファングボアも狩っていけば、お金は稼げるし……よし! アクセサリー買ってみようか!」

「大丈夫?」

「うん! 大丈夫!」


 アリサは懐の心配をしていたけど、余裕自体はあるので、ちょっとした思い出を買うのは問題ない。

 そして、私達は屋台の店主を騙すために手を繋ぐ。こうしていれば、私は二人の妹に見えるし、私がお強請りして自分に似合うものを選んで貰うという自然な流れを作る事が出来る。

 相手も商売。私達が最初から目利きで掘り出し物を取ろうとしていると分かってしまえば、金額を上げられるかもしれない。これはそれを防ぐためのものだ。

 そうして、ジルさんが無口な姉を装い、私とアリサに似合うものをアクセサリーと原石から選んでくれる。予め私の財布を渡してあるので、私のお金で買う事に変わりはない。

 私にはハートのネックレスとピンクの宝石の原石、アリサには百合の花のネックレスと赤い宝石の原石を選んで貰った。

 屋台から離れた所で、財布を返して貰う。出費は十万リルくらい。それに見合う成果だったのか。


『二十万リルくらい浮いた』

「えっ!? そんなに!?」


 ジルさんは微笑みながらピースサインする。通常であれば三十万のお買い物になるものが僅か十万で終わった。商人としての目利きが悪いのか。あの屋台の人は別のものを仕入れた方が良い気がする。


「ありがとうございます!」


 私は思わずジルさんに飛びついてしまった。そこまでの良い買い物が出来たのは、ジルさんのおかげなので感謝が極まった。ジルさんは、優しく私の頭を撫でてくれるので、ちゃんと受け入れてくれている事が分かる。

 そこからマンチカン観光は続いた。一番の見所は噴水だけみたいで、後はぬいぐるみ屋や雑貨屋を見て回る感じだった。本当の名所は、街の外の花畑だろうし、こればかりは仕方ないのかな。まぁ、ジルさんの案内という事もあって、良いお店ばかりを教えて貰えた。これから少し楽しめそうだ。

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