表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
異世界転生
6/125

大きな赤い雫

 森を抜けた私達が見たのは、一面に広がる草原だった。森から離れた草原の真ん中で、私達は休憩をしていた。そこで高身長のガンクさんに肩車をして貰って、先の方を見ていた。


「街道は見えねぇな」

「うん。一面草原だね。奥の方にあるのは森かな。ねぇ、ここがどこだかは分かる?」

「それも分からねぇ。おい! 誰か心当たりある奴はいるか!?」


 ガンクさんの確認に、皆が首を横に振る。つまり、私達がいる現在地は誰も分からないという事だ。完全なる迷子である。


「盗賊のアジトだし、街や人里から離れた場所にあるのかな?」

「そこら辺は盗賊によるな。こいつらは用心深いところがあったんだろ。となると、やっぱ街道を探さねぇとな」


 街道があれば、街へと繋がっているはずなので、それが見つかれば街道に沿って歩いて行くだけで、確実に街に着く。だから、森を抜けた今は街道を探す方にシフトするという事だろう。でも、それがここに確実にあるとは限らない。


「街道かぁ……草原には必ずある?」

「場所によるな」

「じゃあ、ここからも長いかもかぁ。長めの休憩にする?」

「そうだな。ヒナの嬢ちゃんも休んどけ」

「うん」


 ガンクさんの肩から降りた私は、レパの横に座る。すると、レパが私の頭を誘導して、膝枕をしてくれた。草原に寝転がって、レパの膝枕で寝るのは結構気持ちが良い。そのまま寝られそうな気持ちになるけど、その前にステータスの確認をしておく。


────────────────────


ヒナ Lv4『雷鎚トール』 Lv2→Lv4

職業:採掘者Lv4

MP:22/22 12+10

筋力:122(16)『1000』 82+20+20(【槌術Lv1】)

耐久:79(8)『500』 74+5

敏捷:40『200』 31+9

魔力:21『100』 9+12

器用:44『100』 38+6

運:14(8) 8+6

SP:24 12+12

スキル:【槌術Lv1】

【剛力Lv1】

【採掘Lv5】

【見切りLv1】【気配察知Lv4】

【雷耐性Lv1】【痛覚耐性Lv8】【精神耐性Lv10】

【再生Lv5】

【不死】【女神との謁見】


職業控え欄:旅人Lv1 平民Lv1


────────────────────


 レベルが2も上がったけど、筋力は合計で20しか上がっていない。でも、他のステータスの伸びを見るに、普通に良い伸びではあるのだと思う。ボス盗賊との戦いが大きいと思うけど、確かな事は分からない。

 それにSPの利用先もどうするかが悩みどころだ。このステータスの伸びを見るに、SPはかなり重要なものだと分かる。


「レパって、ステータスどうしてる?」

「え? どうしてるって?」

「SPの振り分け先とかが迷っちゃうから」

「あぁ……基本的には溜め込むかも……私も初めてレベルが上がったけど、振り分けたいって思わないから」


 正直、私も同感だ。SPがあるから振り分けなければって思うけど、そもそもどこか伸ばしたいステータスがあるかと言われると、現状では何とも言えない。


「そっか。なら、私もそうしようかな。正直、どれに振れば良いか分からないし」

「ちゃんと考えて振り分けた方が良いって教えられるしね」

「そうなんだ」

「うん。取り敢えず、ヒナは少し眠りな。ヒナは重要な戦力なんだから」

「う~ん……そうする」


 レパに頭を撫でられながら眼を瞑ると、すぐに意識が飛んだ。色々とあったから、結構疲れていたみたい。まぁ、実際疲れ過ぎて動けなくなったくらいだから、当たり前と言えば当たり前か。

 大体四時間くらい寝てしまい、太陽が真上まで上っていた。


「寝過ぎた……」

「いや、そうでもない。子供達にとっても良い昼寝の時間になった。その間に、奥の方で街道も見つけたしな」


 私の元に来たバルガスさんがそう言った。いつの間にか先の方を探索してくれたみたいだ。私や子供が爆睡していたから、大人達は大人達で動こうって事になったのかな。


「そうなの?」

「ああ。ただ街までは発見出来なかった。ここから街までは森以上に歩く事になるかもしれん」


 どこまで探索していったのか分からないけど、森以上に歩くという事は、それくらいは探索してくれたという事が分かる。私が寝ている間にそこまでしてくれたのは感謝だね。


「それじゃあ……」


 そろそろ出発と言おうとした瞬間、空から落ちてきた液体が私に命中する。首が折れるかと思った。


「うぶっ……」


 落ちてきた液体は、若干黒い赤色の液体だった。その鉄のような匂いがする。つまり血だ。


「うぇ~……何これ……」


 私が空を向くと、そこにはフラフラと空を飛ぶ小さな点が見えた。バルガスさんも見上げていた。


「あれは……ドラゴンか?」

「ドラゴン? ドラゴンって、あんなフラフラと飛ぶの?」

「いや、ヒナの嬢ちゃんに降ってきた血を見るに怪我をしているみたいだ。あの高さなら、こっちには来ないだろう。それよりも身体を洗って貰え。ドラゴンの血は、時々毒が混ざっているからな」

「それ早く言ってよ!! リリアンナさ~ん!!」


 私は急いでリリアンナさんのところに行く。リリアンナさんは、全身真っ赤私を見て驚いていた。


「ちょっ!? 何があったの!?」


 リリアンナさんはすぐに水を出して、私を洗ってくれる。服も血だらけなので、纏めて洗う感じになっていた。


「これ血?」

「多分……」


 私が答えると、リリアンナさんは、私が着ている服を摘まんで確認し始めた。そして、難しい表情をする。


「う~ん……完全に染みこんでいるから、服は新しくしないと駄目ね」

「は~い」


 身体を洗って、タオルで拭いた後、新しい服に着替えた。すると、レパが私の元にやって来る。さっきまで子供達の準備をさせていたから、私が血だらけになってもこっちに来られなかったらしい。


「ヒナ、大丈夫?」

「大丈夫だよ。首がやられるかと思ったけど、特に痛みもないしね」

「そっか。それなら良かった」


 レパはそう言って、私を抱きしめる。大分心配してくれたみたい。


(ただ血だらけになっていただけなのだけど……いや、普通に心配するか)


 そんな事を思いながら空を見ると、ドラゴンらしき存在は、もう大分移動していた。さすが、空を移動しているだけある。


(怪我は大丈夫なのかな。ちょっと心配かも……)


 ちょっとしたトラブルが発生したけど、取り敢えず何も問題がなくて良かった。バルガスさんが言っていたような毒とかもなさげだしね。身体から血の匂いがするようなしないような気がする感じだ。


「おし! 出発すんぞ!」


 ガンクさんの呼び掛けで、私達は再び移動を始める。草原を一時間近く歩いていくと、ようやく街道に着く事が出来た。でも、街道に人はいなかった。


「人がいれば、街までどのくらいかも分かったのに」

「そこは仕方ないよ。それより、ヒナは、足大丈夫?」

「え? うん。平気だよ」


 私達は裸足で歩いているから、レパは気にしてくれたみたい。


「もし痛くなったら言ってね」

「うん」


 正直、坑道でも裸足だったから、そこまで気にしていなかった。足の痛みとかも【痛覚耐性】で耐える事が出来るしね。だから、レパのお世話にならずに、そのまま街道を進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ