アリサのステータス
翌日。朝のルーティンをしていたら、一ヶ月ぶりにミナお姉さんのところに向かう事が出来た。ミナお姉さんの世界は、更なる進化を遂げていた。無の空間のようだった単色の世界ではなく、自然が出来ていた。
そこ一軒家が建っている。その一軒家の周りには、テーブルと椅子が置かれていて、自然豊かな場所でお茶が出来るようになっている。さらに、その近くには大きな木が生えていて、ブランコがあった。
「えぇ~……どういう事……?」
「姫奈様」
ミナお姉さんが後ろからやって来たので、振り返って抱きつく。ミナお姉さんは私を受け止めて、頭を撫でてくれた。ここ最近はずっとお預けだったので、存分に甘えたい気持ちが強い。でも、その前にミナお姉さんと話したいことがあった。
「ミナお姉さんに訊きたい事があるんですが良いですか?」
「はい。では、家に入りましょう」
ミナお姉さんに背中を押されながら家に入ると、その充実した家具に驚かされた。本当にここに住んでいるかのような感じだった。家具も綺麗なもので、私の好みな感じだ。そこのソファに座って、ミナお姉さんに寄り掛かりながら話す。
「実は人をドラゴンにする呪いによって、身体にドラゴンの要素が残ったままになっている子がいるんです」
「はい。見ていましたので存じております」
「ミナお姉さんは、何か知りませんか?」
神様であるミナお姉さんなら何か知っていてもおかしくはないと思って訊いてみた。
「呪いに関して言えば、私には分かりません。ですが、前にも申し上げた通り、姫奈様の【竜の血】からその呪いに自然発展するという事はありません。その呪いは人為的に作られたものと考えるべきでしょう。もしかすると、アーティファクトによるものとも考えられます」
「アーティファクト……ケーリュケイオンは関係ないですよね?」
「あの杖ですね。はい。あれは、回復と修復の機能を兼ね備えた杖のようです。仮に封印を解いていったとしても竜に繋がる事はないでしょう」
「なるほど……」
ここで原因が分かれば嬉しかったのだけど、さすがにミナお姉さんもこの世の全てを知っているわけじゃない。それに観察対象は私限定だ。これは仕方ないと諦めよう。
「それと姫奈様にその類いの呪いは通用しませんので、ご安心ください」
「ミナお姉さんの力が守ってくれるんですか?」
「はい。私の繋がりにより、その呪いは弾かれるはずです」
「嬉しいです」
アリサをどうにかする方法をミナお姉さんが知らない以上、他に訊かないといけない事はない。いや、この家の事が気になるけど、今はそれ以上にミナお姉さんと久しぶりの時間を過ごしたい。
最初に話した後、二時間ほぼ丸々ミナお姉さんとイチャイチャしながら過ごして、現実に戻ってくる。すると、目の前にアリサの顔があった。本当に間近にいるから、ちょっと驚いた。
「どうしたの?」
「昨日も今日も祈っているなと思って」
「うん。習慣だからね。アリサは、何か習慣だった事とかないの?」
「何だろう……覚えてない」
「そっか」
こうした些細な事でも何かのきっかけで思い出す事もあり得るので、時折訊くようにしている。例えば好きな食べ物とか、嫌いな食べ物とか、好きな匂いとか、お風呂は好きかとか。食べ物や匂いは分からなかったけど、お風呂は好きという事が分かった。ドラゴン時代にも入っていた記憶が朧気にあるらしい。
「さてと、今日はアリサはお留守番ね。ミモザさんが一緒にいてくれるから。文字の練習をしておいてね。ギルドとかでは使う事になるから」
「うん。分かった」
まだアリサの事を知らせる事は出来ていないと思うので、私は一人でお金を稼ぎに出る。アリサの旅支度で大きな出費になるので、お金はどんどんと稼がないといけない。アリサが一緒に来られるようになったら、もっと沢山稼げるだろうから、その内安定すると思うけど。
それからアリサが一緒に来られるようになるまで、一週間掛かった。でも、おかげで、アリサの事は周知されてギルドでの登録もスムーズに行う事が出来た。アリサの保護者には、イヴナイアさんがなってくれた。
アリサもイヴナイアさんに心を開いているみたいだから丁度良かった。検査結果では、現状問題は無い。
ここからは戦闘して何か変化がないかを確認する事になる。そこで、まずはアリサのステータスを確認する事にした。
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アリサ Lv98『賢杖ケーリュケイオン』
職業:竜魔導師Lv1
MP:67170/67170(100)『1000』 21970+45200
筋力:96020(50) 38920+57100
耐久:105490(50)58390+47100
敏捷:54778(50)『1000』32678+22100
魔力:69155(100)『2500』 48985+20170
器用:20387『500』
運:980
SP:1220
スキル:【杖術Lv56】【長杖術Lv39】
【火魔法Lv8】【水魔法Lv7】【風魔法Lv8】【土魔法Lv7】【雷魔法Lv8】【光魔法Lv3】【闇魔法Lv4】【竜魔法Lv10】【竜王魔法Lv8】
【MPタンクLv100】【至大至剛Lv100】【金剛不壊Lv100】【輿馬風馳Lv100】【聡明叡智Lv100】【五感強化Lv89】
【MP回復量超上昇Lv100】【MP貯蔵庫Lv67】【重撃Lv100】【強靭Lv100】【跳躍Lv100】【軟着陸Lv100】【見極めLv100】【暗視Lv100】【隠密Lv100】【気配察知Lv10】
【火耐性Lv10】【火炎耐性Lv10】【水耐性Lv10】【氷耐性Lv8】【風耐性Lv10】【暴風耐性Lv10】【土耐性Lv10】【金属耐性Lv10】【雷耐性Lv10】【雷電耐性Lv10】【光耐性Lv10】【光熱耐性Lv10】【闇耐性Lv10】【暗黒耐性Lv3】【魔法耐性Lv10】【斬撃耐性Lv10】【刺突耐性Lv10】【打撃耐性Lv10】【物理耐性Lv10】【痛覚耐性Lv10】【苦痛耐性Lv10】【激痛耐性Lv10】【精神耐性Lv10】
【高速再生Lv100】【竜の血Lv100】
【竜の心臓】【竜鱗】【竜翼】【不死】
職業控え欄:魔法使いLv78 貴族Lv67
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思ったよりも異常だった。ドラゴン時代の生活で沢山戦ってきたのだと思う。ただアリサがずっと戦っていたかは分からない。大人しくしていた時代の方が長かったりするかもしれないから、レベルから生きていた年月を考えるのは難しいかな。
加えて、私が持っている【不死】を持っている。理由は明確だ。そういうドラゴンだったから。ただ【不死】は特別なスキルのはずだけど、ミナお姉さんが話していた通りアーティファクトが関係しているのかな。あの技術は普通のものではないだろうし。
後はドラゴンらしいスキルも持っていた。これは普通の人では取れないようなスキルだと思う。私の【女神との謁見】と似たような扱いかな。
そして、もう一つ気になる事があった。
「貴族?」
「貴族。私、貴族?」
「ええ……私に訊かれても……でも、職業にあるって事は、貴族だったんじゃない? 何か思い付くような事はない?」
「う~ん……分からない」
これで何か思い出してくれればと思ったけど、アリサは貴族と聞いても何も知らないらしい。一応ミモザさんに伝えて、ハヤトさん経由に貴族の行方不明者の中にアリサの名前がないか確認してもらう事にした。あまり期待しない方が良いだろうけど。
そんなこんなで初依頼を行う。私とパーティーを組んでいるので、一応アリサを連れたままEランクのマッチョボアの討伐依頼を受けられる。
準備を整えて、アリサと一緒にヌートリアから外に出た。
「アリサは、魔法で戦うんだよね?」
「うん。昔は……そうしてた? でも、スキルにあるから」
「まぁ、よく分からない魔法もあるしね。ドラゴンも魔法を使うのかな?」
「分からない。使いそうな魔法はスキルにあるけど……でも、叩く方が早いよ」
確かに、あのドラゴンの状態だったら殴った方が早いかもしれない。あの巨体から繰り出される拳とか正直怖いし。
「そっか。まぁ、割と質量はあったしね。基本的には攻撃してくるモンスターを倒す感じだけど、なるべく綺麗に倒して。綺麗倒せば、その分だけお金を貰えるから」
「綺麗に……魔法で出来るかな?」
「分からないから、色々と試してみよう。そこから使える魔法を見つけられれば良いよ。それと綺麗に倒すって方針は自分達よりも弱い相手だけね。強い相手には全力で掛かって良いから」
「うん。分かった」
結論から言うと、アリサは物理の方が遙かに強かった。アリサの蹴りが、マッチョボアの巨体を空高く飛ばすのを見た時、私はアリサを怒らせないようにしようと心に誓ったものだ。
因みに、魔法に関しても威力は異常だった。グリフォンなんて目じゃない。身体が傷だらけで弱体化していなかったら、あの男や改造人間達相手でも圧倒していたと思われる。
初成果は、マッチョボアが百体分になった。これでも絶滅していないのだから、モンスターの繁殖力は恐ろしい。
ついでに言えば、人型になったアリサには、他のモンスターを怯えさせるだけの威圧感はないらしい。あれは竜の姿があるからこそ起こっていた現象なのだろうと、イヴナイアさんは言っていた。
アリサも一緒に戦い始めてから、どんどんとお金が貯まっていく。出費で大分引かれているけど、それでも日々の暮らしや、唐突な出費に耐えられるくらいには貯まるだろう。
そして、ハヤトさん経由で調べた貴族についての話は分からないとの事だった。取り敢えず、現状の行方不明者の中にアリサの名前も特徴もないらしい。そう都合良くは分からないという事だろう。
だから、これからの旅で何か分かると良いな。




