表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
異世界旅始め

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/152

ヌートリア観光

 翌日。ミナお姉さんの元には行けなかった。それでも一日は始まる。午前中はマッチョボアとメディカルバートとホーンラビットを狩って。五万リルを稼いだ。想定していたよりもマッチョボアとメディカルバートの数が少なくて、そこまで稼げなかった。それでも十分な額を稼げてはいる。


「最近、湖の周りにマッチョボアが集まってきているようなので、湖周辺に行けば狩る数が増えるかもしれませんね」


 受付をしてくれたカトリーナさんがそんな事を教えてくれた。実際、昨日は長時間という事もあったけど、湖の周辺で結構な数を狩れていたので正しいと思う。


「普段はそんなんじゃないんですか?」

「普段は草原にも多く生息しています。草原にいる時は、あまり好戦的ではないので休みに来ているという事が多いですね。ですが、不用意に近づくと襲ってきます」

「まぁ、普通はそうですよね。でも、草原にもいるんですか? イースタンからヌートリアに来る間に、マッチョボアの姿は見ませんでしたよ?」


 ガンクさん達と一緒にイースタンからヌートリアに来ている間、マッチョボアの姿は見ていない。今にして思えば、ヌートリア近くに来ていた時にホーンラビットの姿も全然見えなかった。イースタン方面では、そこら辺をぴょんぴょん跳んでいる姿を良く見ていたのに。


「はい。その件について、現在勇者様ご一行がお調べになっています」

「ハヤトさんが? 勇者って、結構色々な事をするんですね」

「そうですね。勇者様は、大抵お優しい方が多く、ちょっとした違和感のようなものでも詳しくお調べになってくれる事が多いです」


 エルフで長生きしているカトリーナさんが言うと説得力がある。

 そして、ハヤトさんがそうして細かい事を調べてくれる理由について一つ思う事があった。それはゲームの存在だ。

 この世界がゲームっぽいシステムであるステータスが存在するという事もあって、少しゲーム的な見方をしたくなってしまう。ゲーム的な見方で言えば、こうした些細な出来事が後々に大きな出来事に発展するというゲーム以外にも漫画とかでもよくある事を想定してしまうという事だ。

 だから、盗賊のアジトとかグリフォンの調査も後々に大きな被害が起きないようにと意識していたとも考えられる。

 少なくとも私はカトリーナさんの話を聞いて、もしかしたら何かしら悪い出来事がどこかで起こっているのではと考えたし。


「まぁ、ハヤトさんが調べてるなら、あまり気にしなくても良さそうですね」

「ヒナちゃんは、勇者様と親しいのですか?」


 私が勇者であるハヤトさんを名前で呼んでいるから、カトリーナさんは少し気になったみたいだ。


「イースタンで縁があって、少しお話をしたんです。私達が脱出した後に歩いていた際、街まで送り届けてくれたりした事があったので。でも、私はミモザさんの方が好きですね」

「聖女様ですね。お気持ちは分かります。私も一目見てお綺麗な御方だと思いましたから。今代の聖女様は、燈灯教から選ばれたという事もあり世界を明るく照らし守って頂けそうですね」


 選ばれる宗教からそういうところまで考えられるらしい。こんな感じで勇者とかに期待を寄せている人が多いのかもしれない。


「あれ? さっきの話なんですけど、まだ勇者パーティーってここにいるんですか?」


 そう。さっきはそうなんだと流してしまったけど、今の話から考えると、ヌートリアにミモザさんがいるという事になる。これはしっかりと確認しておきたい。


「はい。まだ出立なされたという話は聞いていません」

「どこの宿かとかって知りませんか!?」


 私がカウンターに乗り出して訊くからか、カトリーナさんは少し面食らっている様子だった。


「えっと……申し訳ないのですが、そこまでの情報は存じません。そして、ギルド職員として情報を知っていたとしても、その情報を他者にお伝えするのは厳しいかと」

「あっ、そうですよね……」


 個人情報の取り扱いの基礎みたいなものだ。不用意に他人の情報を他者に与えるわけもない。そういうところも意外としっかりしている世界のようだ。こればかりは仕方ない。自分とミモザさんを繋ぐ運命を信じよう。


「色々と教えて頂きありがとうございました」

「いえ、午後は同じように依頼を?」

「今日は街の観光をしていこうと思います。お金の余裕は出て来ていますし、これ以上依頼を受けていくのは、体力的にも厳しくなっていくかもしれませんから。さっきのお話を聞いて、狩り場を湖周辺にすれば大丈夫そうだとも思いましたので」

「なるほど。私もそれが良いと思います。裏通りなど、人気のない場所ではお気を付けて」

「はい。じゃあ、失礼します」


 カトリーナさんに一礼してカウンターを離れる。カトリーナさんは、手を振って送り出してくれた。昼食はギルド内の飲食店で済ませるのだけど。今日はカトリーナさんの休憩時間と合う事がなく、一緒にお昼を食べる事はなかった。


 一旦宿に戻って、雷獅鷹の衣から普通の普段着に着替えてから、再び街に繰り出す。白いワンピースと黒いレギンスを穿く。インベントリを大っぴらに見せないためにポシェットを掛けて、歩きやすさ重視でいつも履いているブーツという姿だ。

 気楽な姿で街を歩いて行く。ヌートリアには水路が多く存在する。そして、その水路沿いには屋台なども並んでいた。水路を見ようとすれば、必然的に屋台も目に入るので、商売として上手なのかな。普通に邪魔だと思ってしまう自分もいるけど。

 ご飯はさっき食べたので、食べ物系屋台に興味はない。

 水路はもう少し後のゴンドラで楽しむとして、最初は色々なお店を見て回る事にした。そこまで高い買い物は出来ないけど、少しくらいは買っても良いと思っている。

 色々な雑貨屋があったので全部回ってみたけど、特にこれが欲しいというものはなかった。私は旅をするから、割と実用品を求めるところがある。そのためか、ちょっと可愛いなと思っても、今は要らないなという風に判断してしまい買おうという風にはならない。ぬいぐるみだったら、別なのだけど。


「あれ? これはガラス屋?」


 陳列窓にガラスのコップとかが並んでいるのを見て、ちょっと興味をそそられた。高そうだけど、どのくらいの値段かは分からないので参考にするために入ってみる。ポシェットを自分の前に持って来て、絶対に引っ掛からないようにしながら中に入る。


「おぉ……綺麗……」


 そこには綺麗なガラス細工が並んでいた。実用出来るコップとか食器とかもあるけど、小さな置物とかも綺麗なものがいっぱいある。結構惹かれるけど、買っても仕方ないので見るだけにしておく。

 中にはガラスペンなども存在した。一応、イースタンで騎士団の人に貰った筆記用具があるから、これを買うこともないかな。かなり惹かれるけど、ここは鉄の意志で店を後にした。


(どこか定住する場所が決まったら、ああいうのも買いたいな。おしゃれな置物とか憧れるし)


 今は定住しようと気はないので、こういうものは寝る時に一緒にベッドに入るぬいぐるみだけで良い。

 その後、小さな本屋を見つけたので、いくつか小説を購入しておく。お風呂の時の暇つぶしになるからね。今回のイースタンからヌートリアに行く時みたいに馬車を使えるか分からないし、そもそも馬を操るのは私になるから移動時間の暇つぶしとかには出来ないけど、私にとっては重要だ。


「これで大体のお店を見て回れたかな。よし! ゴンドラに乗ろう!」


 ウィンドウショッピングに時間を使って、日が傾き始めているから急いでゴンドラ乗り場に向かう。


「嬢ちゃん、一人かい?」

「はい。一人じゃ乗れないとかってありますか?」

「いや。ご両親がいるなら一緒の方が良いと思うぞ」

「あっ、両親はいないので大丈夫です」

「そうか……」


 船頭さんは少し申し訳なさそうな顔をする。船頭さんが気にするような事でもないと思うけど、ここで何か言うのはちょっと違うかもしれないので、そのままゴンドラに乗り込む。


「えっと……街の一周でお願いします」

「少し高いぞ?」


 さっき値段表を見ていたので、街の一周が一番高いプランという事は知っている。そして、それが今の私にちゃんと払えるというこことも知っている。だから大丈夫だ。


「はい。大丈夫です」


 そう言って代金を支払う。


「確かに。んじゃ、行くぞ」

「はい」


 ゴンドラが動き始める。街の一周に掛ける時間は一時間近く。でも、水路から見上げる街は綺麗で、水路を泳ぐ魚達もよく見えたので、退屈する事は全くなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ