↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
異世界旅始め

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/176

カトリーナさんと食事

 カトリーナさんの案内でヌートリアの街を進んで行く。そして、その中にある大衆食堂に入っていった。結構お客さんで賑わっているけど、私達が座る席はあったので運が良かった。


「安く美味しく栄養面でも自分で気にすれば問題がないお店となっています」

「なるほど」


 確かにメニューを見てみると、野菜中心メニューとお肉中心メニューがあり、しっかりと考えておけば栄養面では問題はなさそうだ。取り敢えず、サラダとステーキを頼む事にした。飲み物は果物のジュースだ。

 カトリーナさんもサラダとローストビーフを頼んでいた。それを見て一つ気になった事があった。


「カトリーナさんってエルフの方ですよね?」

「はい」


 向こうの世界でのイメージで、異世界において耳が尖っている種族と言えばエルフとなる。そして、エルフのイメージとして、一つ強いものがある。


「エルフの方って、お肉も食べるんですか?」

「はい。特に野菜に拘っている者でなければ、通常の食事を摂ります」


 イメージでベジタリアンだと思っていたけど、普通にお肉も食べるらしい。まぁ、私の勝手なイメージだったから、異なっていてもおかしくはないのだけど。


「そうなんですね。イメージで野菜中心の生活をしているものかと」

「森に住んでいるので、そういうイメージが強いのかもしれないですね。ですが、森にいるという事は、森に住む動物を狩るという事もあるのです。なので、普通にお肉も食べますよ」

「へぇ~、そうなんですね」

「私からも質問しても良いですか?」


 ここで拒否をすれば、カトリーナさんとの距離が広がるだけだ。それは私の望むところではない。それに質問されて何か困る事があるわけでもない。


「はい。良いですよ」

「ヒナちゃんは、どうしてヌートリアに来たのですか?」

「何となくですね」


 私がヌートリアに来た理由は、本当に何となくだった。理由っぽい事で言えば、ミモザさんが向かったのがヌートリアだからと答えられなくもないけど、カトリーナさんからすればどういう事みたいな理由だ。

 それを抜きにしたら、私達がいた場所からイースタンと逆方向に伸びている道を歩いてみたかったというのがあるかな。もしかしたら、イースタンじゃなくてこっちの街にお世話になっていたかもしれないし。

 でも、総じて言えば、何となくこっちで良いかというのが大きい。どうしてもヌートリアじゃないといけないという理由はない。どういう街かも知らなかったし。

 レパ達がいる街までの道程も、ここだけじゃないしね。


「のんびりと旅をしたいというだけなので。ガンクさん達とは行き先が同じだったので、行動を共にしていたという感じですね」


 恐らくカトリーナさんが聞きたいであろう情報も合わせて答えた。旅というわりにガンクさん達とはすぐに別れているからね。気にならないわけがない。

 そんな話の途中で、注文していたものが届いた。ひとまず食べながら話すという事になる。


「そうなのですね。では、観光などが目的になるのでしょうか?」

「はい。どこか綺麗な場所とかってありますか? 確か、街の近くに湖があるんですよね?」

「はい。ですが、湖にもモンスターがいるので観光というには危険過ぎますね」


 確かにその可能性は考えていなかった。水のモンスターがいるから危険になる可能性は普通にある。討伐依頼を受けようにも水のモンスターと戦うのは難しそうだから、色々と考えないと。


「湖に雷を落とす事って大丈夫ですか?」

「そうですね……駄目ではないですが、自身に感電するかもしれない事に加えて、周囲にも人がいるかもしれないという事を考えてください」

「あっ……そうですね」


 最悪雷鎚トールの力を使えば良いかと思っていたのだけど、それによって生じる私以外への被害を考えていなかった。下手に使って感電死させてしまったら、普通に罪だからね。相手が盗賊なら勝手に感電して死ねって感じだけど。


「ここってEランクが受けられる討伐依頼とかってありますか?」

「はい。いくつかあります。湖内のモンスターの討伐はDランクからですので、まだ受けられませんが、その周りにいる動物型モンスターの討伐はEランクのものになります。かなり凶暴なモンスターが多くなりますので、十分にお気を付けてお選びください」

「分かりました。でも、一応Eランクなら戦えるというモンスターなんですよね?」

「はい。ギルドが定めたランクで言えばそうなります。ですが、ランクだけではなく自身の実力から考えて依頼を受けて頂けると幸いです」

「分かりました」


 ここら辺のモンスターは本当に凶暴なモンスターが多いのかもしれない。そうじゃないと、ここまで念入りに言われる事もないだろうし。まぁ、ホーンラビットも凶暴と言えば凶暴だけど。


「回復ポーションはお忘れなくお持ちください」

「はい」


 一応、騎士団の皆から時々貰っていたので、インベントリの中に十本くらい入っている。取り敢えずは問題ないはず。【高速再生】のせいで、ポーションを使うのが勿体ないってなっているから、そこの意識も変えた方が良いかな。稼げるようになったら、沢山買えるようになるし、割り切って使った方が安全だからね。


「湖を観光されるのであれば、十分にお気を付け下さい」

「はい。そうだ。ここら辺にぬいぐるみ屋とかってないですか?」

「ぬいぐるみですか?」


 カトリーナさんは、きょとんとしていた。まさか、この話の流れでぬいぐるみ屋の場所を訊かれるとは思わなかったのだろう。だが、これは重要な問題だ。もしかしたら欲しくなるかもしれないから。


「ギルドから離れた場所にありますので、後程ご案内します」

「ありがとうございます」


 ちゃんとぬいぐるみ屋があって良かった。もしかしたら、全国チェーン店とかなのかな。イースタンにもあるぬいぐるみ屋と同じチェーンだったら、質とか種類が期待出来る。


「ぬいぐるみがお好きなのですか?」

「そうですね……多分?」

「多分?」


 現状、私が持っているぬいぐるみは、レパっぽい緑色の蜥蜴の少し大きなぬいぐるみ、ビビアンさんっぽい羊のぬいぐるみ、ミモザさんっぽいシスター熊のぬいぐるみ、メイリアさんっぽい騎士のぬいぐるみというメンバーだ。何が言いたいかというと、メイリアさん以外、身体の関係を持った相手のぬいぐるみという事だった。

 つまり、私がぬいぐるみに求めているのは、私が好きになった人を思い起こせるようなものという事になる。そんな馬鹿正直な事を言える訳もないので、曖昧な言葉になってしまった。

 あまり深追いはされなかったので、この話はここで切り上げられる事になった。その代わり始まったのは、私が何故一人旅をしているのかという話だった。

 特に隠さないといけない事でもないので、私が盗賊に捕まった話からして、細かいところをある程度省いて説明していくと、カトリーナさんが涙を溜めていた。割と衝撃的な人生ではあるから、そういう反応になるのも無理はないかな。


「私の長い人生でも、そこまでの経験はありません……小さなお身体で本当に苦労なされたのですね……」


 確かに盗賊のところでの生活は苦労だったけど、その後の生活は割と色々な意味で奔放になっていた部分があるから素直に頷きづらい。だから、私の話題からカトリーナさんの話題に変えよう。


「長い人生って、カトリーナさんは何歳くらいなんですか?」


 年齢を訊くのは失礼かもしれないけど、エルフという事もあって、ちょっと気になった。


「今は……三百歳前後でしょうか。百五十歳を超えた辺りから、年齢に興味がなくなってあまり数えていないので」

「おぉ……」


 確かにそこまでいくと、自分の正確な年齢とかに興味は持たなさそう。大人になれば、誕生日とかも気にならなくなりそうだし、私でも同じだと思う。

 大体の年齢でも本当に長く生きている事が分かったので、一つ気になった事を訊いてみる事にした。


「じゃあ、カトリーナさんは魔王とかを知ってるんですか?」

「魔王ですか……」


 カトリーナさんは、これまでとはまた違った反応を見せる。嫌な出来事を思い出すようなそんな感じの反応だ。


「あれは災害というのが適切でしょう。普通の人類には為す術がありません。勇者が倒してくれるのを待つしかないのです。その間モンスターの動きが活発になりますし、それによって大きな被害が出る事もあります。勇者が召喚されましたので、再び魔王が現れるようですが、今回は早く討伐してくれる事を祈るばかりです」


 カトリーナさんもカトリーナさんで辛い経験をしている気がするけど、カトリーナさんは災害によるものという風に考えていて、私みたいな人の悪意による不幸はないって事なのかな。

 そんな話をしている間に二人とも食事を終えたので、食堂を後にした。その後、カトリーナさんに案内されたぬいぐるみ屋は、本当にイースタンにあったぬいぐるみ屋と同じ店名であり、カトリーナさんに確認したところ、全国チェーン店だという事が分かった。。

 そして、再び宿前まで送って貰い解散となる。


「今日はありがとうございました。明日からよろしくお願いします」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。良い夜を」


 カトリーナさんはそう言って、手を振りながら去って行った。私も宿に入って、取っておいた部屋に入る。部屋の中は宿舎よりも少し小さいくらいで、普通に良い部屋だった。ベッドが二つだからツインの部屋になっているみたい。全部の部屋がツインなのかな。

 お風呂とトイレは別々になっていて、小さな脱衣所兼洗面所も完備されている。お風呂自体も詰めれば、二人くらい浸かれそうな大きさの良いお風呂だ。


「これで一万リル。大分安いよね……元取れてるのかな……いや、このくらいの宿ならまとめて払って泊まる人もいるだろうし、リピートするお客さんもいるから大丈夫なのかな」


 色々な意味で宿が心配になるけど、運営出来ている時点で成功しているのだろうから心配するのも失礼かな。

 ベッドに飛び込みたい欲求を抑えて、湯船にお湯を溜めながら頭と身体を洗っていく。そして、湯船に浸かって疲れを癒す。


「ふぅ……久しぶりのお風呂は良いなぁ……」


 レパとお風呂に入っていた経験が、私を更にお風呂好きにしたらしく、前世の自分よりも長風呂になっている。

 お風呂を済ませたところで、身体を拭いて髪をしっかりと乾かしてからベッドに腰を掛ける。


「ふぁ~……そうだ。皆出さないと」


 私はぬいぐるみ達を出していく。皆を並べて、蜥蜴のぬいぐるみを選んで抱きしめながらベッドに入った。


(明日からは、討伐依頼を受けてお金を稼ぎつつ……観光もしていきたいな……)


 まずやるべき事は街に馴染む事。依頼をこなしていき、街の外も探検して旅を満喫しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。