↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
異世界転生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/176

ヒナを探して

 街の外からの激しい轟音と黒煙と森林火災。そんな報告を受けたメイリアは、即座に仕事を放り捨てて駆け出していた。その方角は、ヒナが依頼を受けている平原がある方角だったからだ。門から飛び出したメイリアは、一直線に平原に向かい、周囲を見回した。


「ヒナちゃ~ん!!」


 呼び掛けに返事がない事を確認したメイリアは、平原の中を移動していく。だが、どこにもヒナの姿はない。


(ヒナちゃんがいない……あの子なら、森がこの状態になった時点で、街に戻ってくるはず。でも、そんな知らせは全く入って来ていない。もしかして、ああなる前に森に入った?)


 メイリアは森の中に入っていく。向かう先は火災が起きている場所だった。この状況で森に入ったとすれば、そこ以外にヒナがいるとは考えられないからだ。森林火災が起きた瞬間に、ヒナは避難の選択をするに決まっている。そう考えるくらいには、メイリアもヒナを信頼していた。


「この傷……グリフォン? 何でこんなところに……」


 木々に付いた風の刃の跡を見たメイリアは、即座にグリフォンを疑った。風の刃と火事を合わせれば、考えられるモンスターの中にグリフォンが上がり、この場に来るかもしれないという条件を付ければ、更に絞り込めるからだった。

 周囲を見回したメイリアは、森の中に入ってすぐの所に落雷があったような焦げ跡が残る倒木を見つける。ヒナが持つアーティファクトが雷を纏うという事を聞いていたため、ここで戦闘があった事が分かり、一気に血の気が引いた。


「ヒナちゃ~ん!!」


 メイリアは、青い顔でヒナを探し回る。ヒナの戦闘の痕跡を追って行くと、その延長線上には森林火災が起こっている場所がある。そして、進んで行き続けると、段々と地面が激しく抉れている場所が見られるようになっていった。それはグリフォンの最後の一撃により生じたものだった。森林火災が起こっている場所よりも少し離れているが、グリフォンが空高くから放ち、ヒナの攻撃により散ったため、現場からかなり離れた場所にも着弾していたのだ。

 メイリアもグリフォンであれば、ここまで出来るという事に加えて、ここまでの力を出す時は追い込まれた時のみという事を知っていたため眉を顰める。


「ここまでの力を出させた……ヒナちゃんのステータスなら出来なくはないか。でも、これじゃあ……ヒナちゃん……」


 メイリアが周囲を急いで見回しながら移動していく。燃え盛る森の中にも躊躇なく踏み入った。そうして突き進んでいくと、木々がなくなり、更地のようになった場所の中央で横たわっているヒナを発見する。それも無残な姿で。


「ヒナちゃん!!」


 メイリアは、悲鳴にも近い声でヒナを呼び駆け寄る。ヒナを揺り動かそうとして、手を止める。そんな事をして良い状態ではないという事は、見ていれば分かったからだった。見た目だけで言えば、そんな事をしても無駄なのだから。


「あっ……」


 メイリアの目には涙が溜まっていく。だが、すぐにヒナの身体の異変に気付いた。その異変はヒナの傷口に起こっている。


「再生が始まっている? という事は生きている……?」


 メイリアの知識では、再生系のスキルは生きている人間にしか適用されない。死体であれば、どれだけ損壊していても、身体が再生していく事はあり得ない。

 そのため再生しているという事は、まだヒナが死んでいないという事を表していた。ヒナは【不死】を持っているが故に、特殊な方法で自害しない限り、死に至る事はない。そのため傍目からは死んでいるようにしか見えない状態でも生きていた。

 ただし、現状意識は失われている。


「この状態で?」


 左腕、右脚、左脚の欠損。左側頭部の一部欠損。左眼球破裂。顎部欠損。右側頭部から首に掛けて火傷。右腕一部が炭化し全体が火傷。胸から腹に掛けて裂傷。内臓損傷。全身に細かな切創と火傷。

 メイリアからすれば、本当に生きている事自体が不思議な状態だった。


「いや、生きているなら」


 メイリアは、腰に付けているポーションポーチから、回復ポーションを取り出してヒナに掛ける。普通は切り傷など軽傷に使うものなので、現在のヒナには雀の涙程度効果しかない。だが、全身にある細かい切創を塞ぐ事で、再生の力を重傷となっている箇所に集中させる事が出来る。


「今は動かす方が危険よね……」


 メイリアはそう言いながら空を見る。そこには、ヒナが倒したグリフォンよりも一回り大きなグリフォンが飛んでいた。メイリアは、グリフォンからの怒りの感情を感じ取っていた。

 ただそれ以上にメイリアも怒気を纏っていた。メイリアは、腰に差している剣ではなく、【アイテムボックス】から出した真っ黒なネックレスを掴んだ。ネックレスは漆黒の剣となり、刀身に赤い線が走る。狂剣ダーインスレイヴ。メイリアが持つアーティファクトだ。


『キェエエ……』


 咆哮するグリフォンの背後にメイリアがいた。グリフォンの声が途切れ首が落ちる。

 後ろに抜けているメイリアが纏う雰囲気は、これまでヒナが見てきたメイリアとは全く別のものだった。冷酷無残という印象を強く受けるような雰囲気だった。グリフォンを見るその瞳には怒りという感情すらも存在しない。


「うるさいわ」


 グリフォンが地面に吸い込まれるように落ちていった。メイリアも軽く着地して、グリフォンの近くに来ると、その心臓にダーインスレイヴを突き刺した。そのまま何度もグリフォンを突き刺してから止まる。


「……少し苛立ちすぎたわね」


 表面上は感情を失っているように見えて、本質であるメイリアの感情は奥底に残っていた。冷酷なように見えて、行動自体はその感情に起因している。

 メイリアは、滅多刺しにされたグリフォンの死体を【アイテムボックス】に入れる。そして、ダーインスレイヴもネックレスに戻して【アイテムボックス】に入れた。すると、いつもの通りメイリアに戻る。


「ふぅ……ヒナちゃんは……」


 両頬を叩いて正気を取り戻すように促したメイリアは、ヒナの傍に来る。現状メイリアがヒナに対して出来る事はない。メイリアは、ヒナの身体が動かしても大丈夫な状態に回復するまで、護衛する事しか出来なかった。

 ヒナの怪我は、少しずつ治っていく。大怪我なので、ゆっくり回復しているように見えているが、実際のところはあり得ない速度での回復となっていた。

 メイリアが警戒しているところに複数の人の気配がしてきた。それを敏感に察知したメイリアは、剣に手を掛けてそちらを向く。

 メイリアが向いた方向から現れたのは、ハヤト達盗賊アジト調査団だった。森林火災という惨状を見たハヤトは、即座にこの場所に向かう事を決めていた。

 そして、その場にいるメイリアと傍に寝ている遠目からは判別が不可能となっているヒナもいる。グリフォンがいないためにハヤトは状況が分からずにいた。


「どういう状況だ?」

「それは後でお話しします。ミモザ様。ヒナちゃんの治療をお願いします。まだ生きていますので」

「えっ!? ヒ、ヒナちゃん!?」


 ミモザは、青い顔でヒナに近づくと、ヒナの状態を見て固まる。ミモザから見ても、これで生きているのが不思議だったからだ。だが、再生が始まっているので、生きているという事は分かった。


「『浄化』『慈愛の御手』」


 ミモザは、何の迷いもなく聖女としての力を使う。『浄化』で、ヒナの身体に含まれてしまう不純物などを消し去ってから治療していく。白い手のような光が、ヒナを包み込み治療が始まった。内臓から復元されていき、ヒナの再生能力と合わせて着実に治っていく。

 この間に、メイリアは、自身が分かる範囲で状況を説明していた。


「グリフォン……そういえば、ジェーンも戦闘したと言っていたな?」

「ああ。私が倒したのは二体だが、それ以上にいたんだろうな。こっちに逃げてきて戦闘になったってとこじゃね?」

「つまり、俺達のせいという事だな……」

「はぁ? 違ぇだろ。こいつの運が無かっただけだっての。グリフォンがどこに何体いるかなんて分かりっこねぇんだからな」


 ジェーンはそう言うが、ハヤトの表情は変わらなかった。自分達の調査の過程で生じた事がヒナを傷付けたという事実は変わらないと思っているからだった。それを見て、ジェーンは眉間に皺を寄せていた。

 魔物の動きさえも責任を感じる必要はないと本気で思っているからだった。


「グリフォンの親玉と思われる個体は倒しています。ですが、グリフォンが何体いるか分からない以上、この辺りの危険度は高くなっているものと考えられます。騎士団を派遣させますので、伝令を頼みたいのですが」

「おう。俺達が行くぜ」


 そう言って前に出たのは、ガンクとバルガスだった。捕まっていた当事者として、調査団に参加して当時の状態の説明などをしていたのだ。


「ヒナの嬢ちゃんが、その状態だと姉ちゃんも動けねぇんだろ?」

「ええ。助かるわ。少し待って」


 メイリアは、グリフォンの死体を出すと、その羽の一部を千切って、ガンクに渡す。


「これを持っていって。それで説明したら通じると思うわ」

「分かったぜ」


 羽を受け取ったガンクはバルガスと一緒に治療されているヒナの元に来る。


「意識はあるのか?」

「いえ、この状態で生きている事が不思議なくらいです。意識がちゃんと戻るかどうか……」


 バルガスの確認に、ミモザはそう答える。傷は問題なく治せる。だが、それで意識が戻るかどうかはミモザにも分からなかった。この状態で生きている人間を治した事がないからだった。


「そうか……」


 ガンクとバルガスは眉を寄せながらヒナを見て、何も出来ない悔しさに拳を固く握ってから、ミモザに頭を下げてイースタンへと駆け出していった。


「俺達は周辺警戒だ! グリフォンがいないか確認してくれ!」


 ハヤトの指示で調査団が動き出す。本格的な調査は騎士団に任せるとして、ヒナの安全を確保するために、この周辺にグリフォンが潜んでいないかを確認に向かわせた。


────────────────────


メイリア Lv78『狂剣ダーインスレイヴ第二段階』

職業:狂剣士Lv48

MP:14180/14180

筋力:25657(3800)『4000』

耐久:15310『3000』

敏捷:14810(2650)『3000』

魔力:10210『2000』

器用:9605

運:780

SP:0

スキル:【剣術Lv100】【片手剣術Lv68】【体術Lv49】【武闘術Lv28】【投擲Lv29】

【闇魔法Lv10】

【MPタンクLv18】【大力Lv33】【金剛Lv29】【脱兎Lv39】【叡智Lv18】【巧緻Lv10】

【MP回復量超上昇Lv39】【MP貯蔵庫Lv2】【重撃Lv100】【相殺Lv100】【強靭Lv100】【跳躍Lv98】【軟着陸Lv100】【壁走Lv78】【見極めLv100】【暗視Lv100】【隠密Lv88】【気配察知Lv10】

【火耐性Lv10】【水耐性Lv8】【風耐性Lv10】【雷耐性Lv10】【土耐性Lv9】【光耐性Lv7】【闇耐性Lv8】【斬撃耐性Lv10】【刺突耐性Lv10】【打撃耐性Lv10】【痛覚耐性Lv10】【苦痛耐性Lv10】【精神耐性Lv10】

【高速再生Lv77】【アイテムボックスLv10】

職業控え欄:旅人Lv12 平民Lv18 剣士Lv37


────────────────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。