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みうへ  作者: A氏
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私の中の父はいつの間にあんなに落ちぶれたのだろうか...

頭の中にあった草案をじわじわと書いています。時間はかかるかも

 私の中の父はいつの間にあんなに落ちぶれたのだろうか。

 両親は共働きで特に給与がいいわけでもなかったが平均的な生活は送れていたと思う。私が幼稚園に入った頃にはできちゃった結婚だった夫婦の愛はとっくに冷めていて、私はその狭間にいた。

 私の父は何も母に言い返すこともしなかった。まるで学習性無力感。父は言い返さないのが一番早く終わるとわかっていたし、言い返さずただ大丈夫なふりをするのが一番かっこいいとでも思っていたのだと思う。ただただ母からの感情に任せた理不尽な暴言や暴力に耐えるだけ。

 いつしか仕事も課長になり、仕事のストレスも家庭のストレスも全て酒で解決を図ろうとするようになった。

 愚かだ。

 何も解決はしない。ただ現状を紛らわすだけの道楽である。会社でも愚痴は一切言わなかった。では孤独な父はどうやって凌いできたのか。その孤独を酒以外の手段で避けることはできなかったのか。今となっては会話をすることもできない。

 父は死んだのだ。一人寂しく死んだのだ。

 ある意味自殺と言ってもいい。セルフネグレクトだ。

 酒を大量に飲み、それでもなんとか仕事をしていた。大手カーディーラーだった。父は毎日震える手を隠し、酒の臭いを隠しなんとかやっていた。間違えがないか、自分がバレていないか不安な日々であった。

 5年前のクリスマス。愛犬が死んだ。母が飼いたくて買ったのだが、面倒はほとんど父が見ていた。父は母より思い入れを持っていたと思う。

 葬式の日。ひたすらに酒を飲んでいた。それを見かねた母は例の如く罵倒し、葬式に出さなかった。父は家を飛び出し、車でどっか行ってしまった。式も終わり火葬をしていた頃、父は走って帰ってきた。

 「どうしよう。」

 そうひとこと私にいうと業務用ウイスキーをラッパ飲みしていた。車はない。5分もしなかった頃である。次は警察が来たのだ。そして告げられた。

 「近くで電柱に突っ込んでいる車がありまして、おそらく〇〇さんの車だと思われるんですが、心当たりありますか。」

 「なに。そんなん今ここに酒飲んでる野郎がいますよ。もうなんなの。今日葬式なんだよ。なんでこんなことになんの。ねえ...」

 そう言って警察になのか独り言なのか当たり散らかす母。

 この混沌とした葬式は忘れることはないだろう。父は事情聴取のため、実況見分のため、同行していった。現行犯ではないから飲酒運転としては捕まえられないらしい。いや警察のせめてもの計らいなのだろう。

 私の愛犬の最後は家族が揃わない中、骨壷に納められて終わったのだ。

卑屈で偏屈な人間が現実に疲れて書いています。

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