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果てなき空で”果て”を目指す物語  作者: 琉 莉翔
謎の集団 リリオウド編
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再会

 情報を脳内と議論で整理する間に、エボット、イリエル、ミラの三人が合流した。


「ミラ姉ちゃん!」

「アルト!」


 ミラが現れた瞬間、少年、アルトは喜び一色の声を上げた。ようやく知っている人間に会えたからだ。

 ミラも自分の名前を呼ぶ。知り合いだったらしく、ミラは無警戒に走り出した。

 二人は手を取り合い、再会を喜んでいた。


「ミラ姉ちゃん! よかった無事だったんだね!」

「アルトこそ! 襲撃されたと分かった時は気が気じゃなかったよ!」


 微笑ましい光景を前にしても、全員警戒を解くわけにはいかなかった。むしろイリエルにいたってはさっきよりも警戒しているように見える。

 もし仮に二人が襲撃されても、そして万が一にも話を聞かれないよう、二つを守れる適切な距離を取り五人で集まる。

 まずは状況を知らないエボットとイリエルに状況を知らせるところからだ。


「俺からだ、三、四軒ほど見たが、見た限り住民は殺されていた、遺体の様子、家の荒れ方からして、相当雑に殺したんだろうな」


 サグは思わず唾を飲んだ。

 見てしまったのは扉に付いた血だけだったが、ディオブは全てを見たのだろうと思うと苦しくなる。

 サグは自己防衛や度を超えた怒りのために相手を殺すことはできるが積極的にする快楽殺人者では無い。だから血や遺体に対し傷ましさや苦しさを感じる程度の感性は残っていた。

 それはテリンとエボットも同じだった。サグと同じような、眉間に皺を寄せた苦々しい表情になった。


「そっちはどうだ?」

「えっ、ああ、まだ一軒しか見てなかったけど、そこはただ荒らされたってだけで血とか遺体とかは無かったよ」

「物音がしたからその場所を開けたら、あのアルトって男の子が居たの」


 全員の視線だけがアルトに向いた。

 一人無事だった、という事以外誰がどう見ても普通の少年だ。


「あの子、よっぽど怖い体験をしたんじゃないかな……私たちを見て震えていたから……」

「テリンが銃口向けてたからでしょ?」

「それもあるけど!」


 どこかずれ始めた二人の会話に、思わず三人が苦笑いを浮かべた。

 醸し出す空気はどこか緩かったが、全員が大きな疑問に気づいていた。

 ディオブの見た惨劇の跡と、サグとテリンが見た”ただ荒らされただけの家”、その二つにどうしてこれだけの差ができているのか。そこが目下大きな疑問となっている。

 考察を始める上で、サグが一番最初に思い当たったワードは”オリアーク”だ。そしてこのワードを導くには、一つ残酷なことをしなくてはならない。言葉が口の側で詰まったが、息で無理矢理言葉を押し出した。


「アルト、思い出して欲しいんだけど、襲ってきたやつらはオリアークの他に何か言ってなかったかな」


 サグの発言のせいで、ミラとアルトを除く全員に、電流よりも鋭く、音よりも素早い衝撃が駆け抜けた。

 言葉から一秒ほどの間を置いて、エボットが思いっきりヘッドロックをかました。


「バカか!? こんなショック受けてるガキ相手に!」

「いやっだってそれ聞かないと話が先に……!」


 エボットだけでなく、テリンも無言でべしべし頭のてっぺん辺りを叩いてきている。痛くは無いが衝撃は来るためうざったくて仕方ない。


「……言ってたよ……」


 話しかけられ黙っていたアルトは、ゆっくりと言った。

 テリンとエボットは音を聞いた瞬間にピタッと動きを止めた。代わりに全神経を耳に集中させる。

 サグはエボットの腕から脱出し、アルトの目をまっすぐに見つめた。


「なんて言ってた?」


 全員が、一音さえも聞き逃さない。それほどの緊張感が場に流れた時。


「シッ!」


 イリエルが厳しく言った。

 口の前に人差し指を立て、明らかに黙れと訴えている。

 全員がイリエルを見た。イリエルはすでに見て分かるほどの警戒をしていた。


「どうした」

「何かくる……複数だ」

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