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果てなき空で”果て”を目指す物語  作者: 琉 莉翔
謎の集団 リリオウド編
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得た確信

 四人は簡単に装備を整え、急いで島の中央部へと向かって走り出した。

 音がした方向はわかっている。民家エリアだ。

 しかしなぜ中央部に向かって走っているのか、簡単だ、中央部には平和に事を進めようとしていた者たちがいた。そこに真意を確かめるため。

 動き出した事態に対し、サグ達は働きかけることはできない。

 中途半端な実力で手を出し、命を危険に晒すだけで終われば、何の意味もない行為で終わってしまう。

 だがある程度権力というか、島民達に寄った考えと力を持つ人たちに働きかければ、何とかなる可能性がある。

 サグを先頭にテリンと続き、ミラを肩車した状態のエボットが続く。

 島は現在緊張状態にある。革命のスタートに確信はなくても、銃声に対し最大限の警戒体制で進むべきだ。

 だからこそ、三人は作り出したそれぞれの武器を携え、走るわけでもないが一定の速さで移動していた。

 曲がり角に差し掛かり、サグが建物にピッタリと張り付いて先を見つめる。


「サグ、どう?」

「一応何も見えない、大丈夫」


 サグのゴーサインを見て、三人も動き出す。

 サグが先頭を務める理由はいくつかあるが、何よりも素早く攻撃を繰り出せる事にある。

 剣技と雷属性の魔法。不足の事態や突然のサルにも対応できる技術。

 リリオウドでの敗北と猿達への不覚、今のサグに油断は無い。


「ミラ、魔力コントロールはどうだ?」

「大丈夫、魔法もある程度は」


 ミラはエボットの肩の上で魔力コントロールを続けている。

 未だ完璧とは言えないが、ある程度魔法として技を出せる程度には、ミラも魔力を操れるようになってきている。

 走り、四人は程なくして会議をした建物にたどり着いた。

 しかし、その建物の扉には鎖が何十にも巻きつけられ、南京錠でガッチリロックされている。

 

「サグ」

「うん」


 サグは剣を取り出し、自分自身の雷属性の魔力を間に流し込んだ。

 刃の表面で稲妻が弾け、剣が雷の光を浴び輝く。

 魔力を流し込んだせいか、自らの魔力から生まれた存在が故か、剣が自らの一部であるかのような錯覚を覚えた。

 剣を高々と掲げ、力任せに振り下ろす。すると銀色の鎖はバギンと音を立て簡単に切り裂かれてしまった。


「すっげ、それが本気の剣技か」

「今のは技術じゃない、力でただ振っただけだ」


 三人はサグの言葉に驚いたが、言ったサグ自身が自分の言葉に心から驚いていた。

 握る剣を見つめ、ぼんやりとした顔をしてしまっている。

 本気とはいえ力任せ、ここに技術という全力が加われば……サグは少しだけ恐ろしい想像をしてしまった。


「行こう」


 扉に引っかかっている鎖を乱暴に引っ張り捨てる。

 ギイィと、軋み音を立てて扉はゆっくり開いた。まだ午前中なのに建物の中は暗く、光があまり入ってきていない様子だった。

 薄暗く静かで広い空間というものは、いつ何時であっても一定の不気味さを持っている。

 少し怖がりつつ、四人は建物の奥へ奥へと踏み入る。

 まず目指すは前に通された会議室。逆にそこしか知らないので仕方ないのだが。

 会議室にも同じように鎖と南京錠が施されていた。また同じようにサグが剣を振るい侵入した。

 すると中には、会議に参加していたお偉い方が猿轡を噛まされ、ロープで全員捕えられていた。


「なっ!?」

「とりあえず拘束を外そう!」


 急いで拘束を外してそれぞれ解放していく。


「なにがあったんですか!」

「……もうしわけない、革命は、始まってしまった」


 その一言が、彼らを戦いへと誘う。

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