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一月 有希子との出会い


二〇二×年 一月


 一日

 日本の元旦といえば、初詣が一般的だ。大学生の青年、浅水貴之あさみず たかゆきもその一人で、自宅から程近い神社でお参りをしていた。大学四年生の彼は、すでのこの春からの就職先も決まっており、残りの三ヶ月の大学生活は、いわゆる消化試合といったところだ。

 神社でお参り中の舞台となるこの街は、北海道の県庁所在地である札幌市から、車で二、三時間程かかる『室別むろべつ』市と呼ばれる場所に位置している。人口は一〇万人程度と小規模ではあるが、それでも半径三〇km圏内では最も栄えた町である。都心に住んでいる人から見れば、不便なな田舎に思えるが、この街にいれば必要最低限のものは手に入ることから、町としての機能は十分に果たしている。

 しいて言えば、北海道内で人口一〇万人以上の都市は、本州でいうところの県庁所在地と同レベルである。その結果、この室別市近隣に住む人間は、室別市が都会と思っており、上京イコール室別市という式が成り立っている。

 井の中の蛙思考が、室別市議会議員にも浸透したためだろう。室別市には大学が誘致され、『室別大学』が設立された。北海道民ならほとんどの人が知っている有名大学ではあるが、本州に進出すると知名度が一気に激減する。グローバル化が叫ばれているこのご時世であるが、海外では『MUROBETSU COLLEGE』を知る学生は皆無である。

 大学の偏差値はおおむね五〇くらい(全国展開する某予備校の調査では四〇にも満たない)で、成績が中~下位に位置する北海道の進学校の生徒に大変人気のある大学だ。大学は総合学科を備えており、経済学部・文学部・理工学部・教育学部と、人口に対してより取り見取りの学科を有している。町の規模の割に総合学科を備えた大学を設立してしまった結果、室別市内の高校三年生の、実に半分近くもの定員が受け入れ可能になってしまった。

 全国からはるばる室別大学に入学する冒険者など皆無であり、大学を誘致したツケとして、毎年のように全学科で定員割れを起こしており、某ネットサイトでは『名前を書けば合格できる大学』とまで揶揄される始末である。だが、実際にはそんなことはなく、大学は絶対評価制のため、試験である基準以上の、そこそこの点数を取らなければ合格できない。そのため、れっきとした名門大学である。北海道の中では・・・

 貴之は生まれも育ちもこの室別市で、大学も『近いから』という単純な目的で、この室別大学を選択した。高校の成績も、市内で二番目の学力を誇る進学校のちょうど中間に位置していたため、進路相談の際に学校の先生からも、室別大学を一番として推された。何もかもが平均的であり、秀でた才能もないことから、ある意味、老荘思想から見ればまさに理想の境地である。だが、貴之自身には偉人の考えなど微塵も理解してはいなかった。

 無事に室別大学に合格するも、特にやりたいことも将来の希望もなく、淡々と大学生活を三年九ヵ月もの間過ごしていた。大学生活は残り三ヵ月もないが、わずかな学生生活でやりたいことを叶えるため、はるばる大きな神社ではなく、近所の神社へとやってきたのだ。もちろん、『近いから』が理由である。

 神社といっても路面に面している神社であり、通称『道端神社』と呼ばれている。呼んでいるのは貴之のみであるが。入り口から本堂まで僅かに五歩程度でたどり着けるほどの広さしかない。さらに言えば、隣の民家の方が土地としては広い。

 そのため、初詣であるにも関わらず参拝客など皆無であり、神社には貴之一人しかいなかった。それどころか、神社の周りには犬の散歩しているおじいちゃんしかいなかった。

「神様、仏様、大仏様、キリスト様、アッラー様、ゼウス様、孫子様、恋の女神様、サンタクロースのおじさま、ついでに早くに逝った幼馴染・・・なんだか色々ものが混ざっていますが、そこはお構いなく。私はどうしてもこの三ヶ月の間にやりたいことがあります。それは、有希子さんと付き合うことです!」

目を見開き、背景が赤い炎で表されるような、仰々しいほどの祈りをささげていた。有希子さんというのは、貴之が意中の人である倉田有希子くらた ゆきこのことである。

 同じ大学の同級生で、成績優秀・容姿端麗・人望も厚くいつも女子グループの中心的存在だ。一言でいえば、映画に出てくるヒロインのようなものだと、貴之は解釈している。

 これまで貴之は二人の女性と付き合っていた。だが、二人とも貴之をつまらない男と判断し、付き合ってから三ヵ月少々で別れを突きつけられている。

 貴之は願いを叶えるべく、賽銭を奮発するため一万円入れようとしたが、悩んだ末に一〇分の一の額に減額された。神様、仏様、大仏様、キリスト様、アッラー様、ゼウス様、孫子様、恋の女神様、サンタクロースのおじさまでの豪華メンバーで千円となれば、割に合わないのは言うまでもない。それどころか足りないと、罰が当たりそうだ。

 先ほどの犬の散歩をしているおじいちゃんは、この人は一体何をやっているのだろうと白い目で見ていた。そのため、よそ見をしていた結果として、老人はすってんころりんと、凍った地面に足を滑らせ転んでしまった。

「おじいちゃん、大丈夫ですか?」

 転んだおじいちゃんを見て、貴之が慌てて老人のもとへ駆け寄る。しりもちをついたと思われるおじいちゃんは、しきりに尾てい骨辺りを押さえていた。

「おじいちゃん、今救急車を呼びますから」

「い、いや、大丈夫じゃ」

「それなら、おじいちゃんの家にまで送りますよ。家はどこですか?」

 貴之は、老人をおんぶして老人の家まで運ぶことにした。飼い犬は主人の後をついていくような形で歩いて行った。老人の家は近く、神社から歩いて五分程度の場所にあった。玄関を開け、段差があるところで老人を降ろした。

「ありがとう、お若いの。君みたいな心優しき若者がいたとは、正直驚いた。お若いの、君にはこれから素晴らしい一年が待っているに違いないぞ」

「えぇ、そうなればいいですね」

 そうして、老人は自慢の長い白いひげを触りながら貴之を見送った。貴之は世間話としてしかとらえてはいなかった。だが、これから怒涛の一年が幕を開けようとは、彼にはまだ知る由もなかった。


 神社で初詣を済ませた貴之は、その足で親友の稲本弘志いなもと ひろしのもとに向かった。先に説明した室別大学で共に経済学部に所属している。弘志の実家は帯広市であり、大学入学当初から下宿に住んでいる。いわば半一人暮らしの身だ。

 そのため、実家暮らしの貴之にとっては弘志のもとには行きやすい環境であり、事ある度に弘志の下宿でたむろしていた。それは、正月と言えど、例外ではなかった。

 新年のあけおめメールで、弘志が実家に帰省していないことを知った貴之は、暇な時間をつぶすために、新年早々弘志に『今日弘志の下宿に行くわ』とメールを打った。ちなみに、一般的な学生は実家の戻っているか、学生生活最後の冬休みだと意気込んで、海を渡ってバックパッカーとして精力的な活動をしている強者もいた。

 貴之は途中のコンビニで缶ビールを数本とおつまみのお菓子を購入して、弘志の下宿にお邪魔した。

「弘志、いるかぁ?」

「なんだよ、本当に来たのかよ。なんで正月早々からお前の顔を見なくちゃならないんだ?」

 出てきたのは、ぼさぼさ頭の茶髪にスウェット姿で缶ビールを片手に持っていた弘志であった。どうやら弘志も正月早々にも関わらずすることがないようで、玄関から正月恒例の特別番組が映っているテレビと机の上に置かれているミカンが顔をのぞかせていた。察するに、寝正月と言ったところか。

 部屋に入ると、六畳一間という下宿の部屋の狭さを最大限に活かせるように配置されたクローゼットの下に、脱ぎ捨てられた服が散乱していた。あたりには空になったビール缶やヤングジャンプやらヤングマガジン系の雑誌が床を埋め尽くしていた。どこの下宿もヤローが住んでいると、同じような光景になるだろうか。

「まぁ、こうして頻繁に顔を合わせることができるのもあと三ヶ月な訳だし、いいじゃんいいじゃん。ビール買ってきたから飲もうよ。と言っても、既に飲んでるか・・・」

 貴之はコンビニで買ってきた缶ビール六缶パックを取り出し、二人で乾杯した。毎年放送されている、正月でしかテレビで見ることのないおじいちゃんたちが漫才をしているお笑い番組を見ながら、しばし屈託なない話をした。

「それで、貴之は四月から東京に行くけど、この街に未練はないか? 生まれてからずっとこの街で二二年間も過ごしてきたこの街を」

「特にないな」

「な、なんだとぉ? お前はそれでいいのか?」

「じゃあ、弘志はこの街に未練はないのか? それに、お前の実家は帯広市で、この室別には大学から生活をしているから、未練なんかないだろ?」

「一切ないね」

「お前もか!!」

ど こにでもありそうな、男二人でのくだらない会話である。この二人の会話は、友達となってから、ずっと漫才調のコミュニケーションをとっている。どちらかがボケたことに対してツッコミを入れる。ちょっとすると、今度はボケとツッコミが入れ替わる。だが、この二人が今まさに放送されているテレビにコンビとして出ても、笑いは取れないであろうが・・・

 弘志も四月からは東京に就職する予定だ。貴之は大手広告代理店、弘志は大手銀行の内定をもらっているため、世間一般から見れば勝ち組の部類に入るだろう。だが、それは世間一般が定めたものであり、この二人は大学生活でまだまだ物足りないものがいっぱいであったため、自分たちは負け組の部類に入るのではないかとヒヤヒヤしていた。

「貴之、俺たちに足りないものは何かわかるか?」

「お金、か?」

「違うわぁ!」

 激高した弘志は、貴之に恐らくプロレス技であろう、『空中なんちゃらチョップ!』と叫びながら、一見すると普通のチョップをかました。なんちゃらというのは、正式名称を弘志が忘れていたためである。チョップはなぜか見事にクリーンヒットした結果、貴之は頭を抱えうなだれる。

「い、痛い。何をするんだ?」

「お前は何もわかっとらん。俺たちは第一希望の企業の内定を勝ち取ることができた。大学生活のうえでやるべきことは果たした。卒業研究も教授の言うことを黙って聞いていれば単位をもらえる。つまり、大学にいる意味はほとんどない。だが、大学生活でまだ足りないことがある!」

 それはなんだと、貴之は目で訴えていた。何となく察知した弘志は貴之がまだ答えていないのにも関わらず、口を開いた。

「いいか、それは恋愛だ!!」

 弘志が、空になったビール缶を握りつぶして高らかに叫んだ。隣の部屋に迷惑にならないかと貴之は心配したが、どうやら、留守らしい。正月だから当然か。いらぬ心配をしたのち、貴之も弘志の考えに同調した。

「お、おまえもか。よ、よかったぁ~」

 この二人は大学生という時間が有り余っているときに、まともな恋愛をせずに勉学にいそしんでいた。当たらずと言えど遠からずではあるが・・・ 

 そのため、成績はいたって優秀なため大手企業に就職できた。その他の時間はよく男どもとバカをやっていた。要約すると、この二人はモテなかったというわけだ。

 余談であるが、貴之も弘志も世間でいうキモオタではない。二人とも細マッチョ体型で、ルックスも悪くはない。身長は貴之が一七〇cm近くであり、弘志はさらに五cm程度高い。町の広報誌で『街ゆくお洒落さん』なるコーナーに二人して掲載されたこともある。要約すると、この二人の会話はあまりにマニアックなため、女性ウケしないということだ。

「だが、あと三ヵ月の大学生活なんか、あったものか。付き合ったとしても、すぐに離れ離れにならなくちゃいけない。それなら、東京で一花咲かせようじゃないか!」

 なおも熱弁を振るう弘志である。一理あるとしても、貴之は有希子と会えなくなるのが心残りであった。例え三ヵ月の大学生活だとしても、最後の最後まであきらめたくはなかった。このことは、酒が入って説教臭くなっている弘志には、今は話さないでおこう。

「そうだ、弘志。お前にお年玉だ」

 この空気を変えるべく、貴之は事前に用意したお年玉を渡すことにした。カバンからパンのキャラクターをモチーフとしたポチ袋を取り出し、弘志に差し出した。突然のお年玉発言に驚く弘志。これまで親戚にしかお年玉をもらったことがなかったためか、目を丸くして驚きを隠せなかった。

「な、なんだって? それはうれしーな、そーかそーか。お前からお年玉とは。同級生からお年玉をもらうだなんて、なんか不思議な気分だな。でも、ありがとー」

まんざらでもない表情の弘志は、しゃがれた笑い声をあげていた。

「では、早速失礼」

 弘志がポチ袋の中身を見た途端。突然壊れたねじまき人形のように狂い出した。

「くおぉぉらああぁぁぁ!! お年玉に一円とは何事か!? 中身の金額よりポチ袋の代金の方が高いってどういうことだああぁぁぁぁ?」

「お年玉だろ? 玉だから一円玉なんだよ。札を入れたらお年札になるだろ?」

「あー言えばこーゆーじゃないか!」

「一円を笑う者、一円に泣くと言うものだ! それにお前は『一円玉のなんちゃらがらす』って歌を知らないのか?」

「知らねーよ!!」

 頭の出来は小学生と同レベルの二人であるため、お年玉をもらう資格は十分にある。いや、今どきの小学生の方がよっぽど大人である。よって、この二人の会話についていける女子など、この世界では存在しないことが、これまでのやりとりで証明されたに違いない。

 二時間ほど飲んで程よく酔いが回ったのち、酔っぱらった弘志が面倒くさくなったため、貴之は適当な理由をつけて弘志の下宿を後にし、家路に向かっていた。正月でありながら、巨大なトラックが縦横無尽に走っている室別市の幹線道路の歩道を一人歩く。

 貴之は歩きながら悩んでいた。友人の弘志とヤイヤイやっているのもあと三ヶ月、さらに有希子さんと付き合ったとしても、すぐに離れ離れになる。

 思えば二二年間もこの街にいたものだ。小学校、中学校、高校、大学と、それぞれの区切りで思い出がいっぱいある。弘志には未練なんかないって言っちゃったけど、この街でやり残したことはいくつかある。中には、もう叶わないこともあるけど。

 それに、社会人ってなんなのだろう。これまでの大学生活のようなノリではいけないことは、分かっている。世間一般では、サラリーマンとして黙々と仕事をすることは、『つまらない大人』として見られている。それに、東京は室別とは違って大都会だ。

 果たして、自分が東京という怪物の街で生き残っていけるのだろうか・・・

 貴之が物思いにふけっている横で、夕焼けが海に沈み、あたりを朱くしていた。冬の季節のため、赤みが帯びているのは海の一部と、室別市の街のシンボルとなる岬であった。

 貴之が赤く染まった岬を眺めながら、歩くスピードが徐々に落ちていき、やがて立ち止まった。

「あの岬には、色んな思い出があるな。でも、まだあの岬とは切っても切れない関係になるのだろうな。なんとなくだけど・・・」


一一日

 大学の冬休みも終わったすぐの三連休。冬休み明けの憂鬱な授業で休みボケの身体が悲鳴を上げている中、救いを与えてくれるのはこの『成人の日』と呼ばれる祝日なのだ。ハッピーマンデー万歳。

この救いの三連休に、貴之は弘志ともう一人の友人、新野昭一しんの しょういちとともに、スキー旅行として北海道内にあるニセコに行くことになった。貴之たち三人は大学の同じ経済学部であるが、昭一だけが違う研究室に所属している。そのため、貴之と弘志はよく顔を合わせているが、昭一と話すのは一ヵ月に二,三回となってしまった。かつては毎日のようにつるんでいたのであったが。

 この三人が友達になったのは、大学一年生の六月に行われた体育祭のことである。キャッチコピーで『世界のホームランキング・ベーブルースを超えていけ』のポスターを目にして、体育祭実行委員会に『世界のホームランキングはバリー・ボンズだ!』と、たまたま同じタイミングで抗議しに行ったことで、意気投合したように、そのまま友達となった。この三人の共通する話題が野球であり、この一件以来、三人はよくつるむようなったのである。

 三人は一ヵ月に一度、札幌ドームまで日帰りで日本ハムファイターズ戦を見に行っていた。朝早くに札幌行きの特急に乗り込み、試合が終わるとすぐに札幌駅に向かい、室別市内へと戻っていく。土日の試合はデーゲームが多いため、日帰りするには十分なスケジュールである。この生活を四年も続けていた。

 途中で、特急に乗ると大人しくしてなきゃいけない同調圧力が嫌になったのか定かではないが、昭一が突然車を購入した。大学四年生の四月のことであった。それも、大学生にしては豪勢なステーションワゴン(中古)を備えていた。そのため、大学四年生の時は、札幌に向かう足は昭一の車であった。お金がなかったため、室別市から札幌までは高速道路を使わず、北海道民では『下の道』と呼ばれる、一般道路での走行であった。

 このゲレンデ旅行も、当然のように昭一の車で決行された。ステーションワゴンのため、三人分のスキーと荷物を入れることができる。ちなみに、スキー板は、車の屋根に取り付けてある。

「あぁあ、せっかく大学最後のスキー旅行を彼女と満喫しようとしたのに、それがなぜ貴之たちとヤロー三人組で行かねばならないのだ」

「どっちにしても僕を含めこの三人は彼女なんてものはいないから、別に格好をつける必要はないんじゃないか?」

 貴之が弘志に冷静にツッコミを入れた時だ。

「俺はいるけどな」

「「えぇーーー!!!」」

 昭一の告白に、貴之と弘志が驚愕の声を上げる。

「こ、このおおぉぉぉぉ・・・裏切り者ぉぉぉ!!」

 昭一が運転しているにも関わらず、弘志は正月早々に貴之にもくらわせた『空中なんちゃらチョップ』をまたしてもかました。

「ぐぅわああぁぁぁ」

 チョップの衝撃で昭一の視界が一瞬振られた影響でつられたのか、ハンドルが右側に傾いた。すなわち、対向車側にハンドルを切ってしまった。

「「「うわわわわわわああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

 三人は声にならない悲鳴を上げた。幸いにも対抗車はいなかったため、昭一のハンドルさばきで進路を戻すことができ、事なきを得た。新年早々地方のニュースで、自分たちの交通事故死が報じられることを危惧した貴之が、弘志の両手を押さえつける。三人の鼓動はなおも早いままだ。BPM一八〇の鼓動を保ち続けていた。

「バカヤロー! 下手すれば死ぬところだったじゃないか!」

「うーむ、まさかここまで威力のあるチョップだとは思わなかったな」

 貴之が珍しく激高したにもかかわらず、懲りない弘志である。この男をこのまま雪山に放りだしてやろうかと、貴之と昭一はルームミラー越しにこわばった視線で対話していた。

 弘志を落ち着かせたのち昭一から話を聞くと、彼女と知り合ったのは昨年にバイト先であったとのことだ。話をしていくうちに、共に室別大学に通っていることがわかり、すぐさま意気投合したとのこと。同学年であったことも、親密に拍車をかけたのかもしれない。

 室別大学は学部が違えば別の部族かのように、お互い干渉はあまりしない。そのため、入学式から卒業式まで一言も口を聞かず、顔と名前が一致しない人が大半を占めている閉鎖的な大学である。

「チックショー、バイトなら俺もしているぞ。なのにどうして彼女ができないんダァ!」

「そりゃ、もさいトラック運転手の隣につきっきりなら、女の子に会うことなんか一切なかったろう。女の子に出会う目的でバイトするなら、なんでそんなバイトを選んだんだ?」

「いい時給だったんだよ!」

「金につられたのか・・・」

 弘志と貴之のやりとりに、昭一が締めのツッコミを入れる。

 三人は大学から車で二時間程度のスキー場に向かっている道中、車内はヤロー三人のためか、下世話な話が盛んであった。途中『空中なんちゃらチョップ』のせいで死にかけたものの、三人はニセコに無事着いた。

 辺りを見渡すとニセコは国際スキー場のためか、外国人が多い。ニセコ特有のパウダースノーを求め、世界中の外国人が冬季に押し寄せることと、辺りは西洋風の建物が並んでおり、町自体が外国の雰囲気を醸し出していた。唯一ここは日本だと思えるのは、北海道民には愛着のあるコンビニのセイコーマートの看板だ。だが、セイコーマートの外観も西洋風の建物になっているのであったが。

 ゲレンデには、大きなカーブを描きながら滑り降りる、スノーボーダーやスキーヤーであふれかえっていた。到着した時刻は一五時であったためか、夕焼けの影響でやや暗くなっており、粉雪が視界を遮らない程度に舞っていた。

「さて、これから目一杯滑るぞぉ!」

 お前の人生の下り坂をな、というツッコミを弘志に入れようか悩む貴之と昭一である。スキー場についた三人は、ホテルにチェックインしたのち、すぐにリフトに乗り込み人生のくだり坂、いやいや、ゲレンデを滑っていた。

「いやっほー」

 三人の中でスキーの腕に自信があるのは弘志だ。豪雪地帯の帯広出身であるためか、華麗なテクニックで斜面を下っていく。昭一も弘志ほどではないが、そこそこ滑れる部類に入る。ほぼ初心者なのは貴之だ。

「チックショー! 弘志と昭一相手なら、あらゆる分野で優っていると思っていたけど、スキーだけはなぜこうも奴らの方に分がある?」

「それが人生というものだよ、貴之くん」

 やかましいわ! と、弘志に突っ込みたかったが、負け犬の遠吠えになるため、ここは肩を震わせながら、何も反論しない貴之である。

 ちなみに、北海道民が全員スキーを滑ることができると思ったら、大間違いである。北海道には豪雪地帯とそうでない地帯で、冬季の体育の授業が異なっている。豪雪地帯はスキー、そうでない地帯はスケートかアイスホッケーが主流となっている。室別市は積雪が少ないため、後者に値する。その結果、室別市出身の貴之はスキーの腕があまり上手ではないのだ。昭一の実家は函館市であり、スケートが学校の授業であったが、近くにスキーができる山があるため、毎年のように滑っていた。

 二度目のゲレンデを滑るべく、三人はリフトに乗り込む。リフトを待つ人が先ほどよりも多くなってきた。恐らく、貴之たちのようにホテルにチェックインしてからゲレンデに乗り込んできたのだろう。あたりは暗くなってきたため、カクテル光線がゲレンデを鮮やかに照らし始めた。

「しかし、いつまでも初心者向けコースだけじゃ飽きるよな。なぁ、次は上級コースに行こうぜ」

「はい?」

 弘志の発案に、口をぽかんと開き呆然とする貴之。ただでさえ初心者コースでヒーヒー言うレベルの貴之には、上級コースは酷であった。一方の昭一はうっすら笑みを浮かべ、グッドサインを出していた。

 三回目のリフト搭乗をしたのち、弘志と昭一は上級コースへと移動した。斜面の角度的に貴之の技術では雪ダルマ滑りになることが目に見えていたため、貴之は初心者コースでひとり滑ることになった。

「あいつら、僕をひとり残していきやがって。一人でスキー場に来ていると思われるじゃないか。なんだったら、このまま帰ってやろうか、えぇ!?」

 おひとりさまに対して無礼な発言をしながら、ギラギラとした目つきで若干自暴自棄に陥る貴之。その姿はまるでダークサイドに足を踏み入れたかのような、遠い昔、遥か彼方の銀河系の戦士のようであった。

 だが、運転してきたのは昭一のステーションワゴンである。帰ろうにも帰れない。銀河一早いと言われているポンコツの宇宙船も、このゲレンデには見当たらない。ポンコツのステーションワゴンならあるが。さらに、貴之一人が帰ったところで、悲しむ人など、誰もいない。冷静に考えた結果、泣く泣く初心者コースをひとり駆け出した。

 弘志たちといるときには聞こえなかったが、ゲレンデの雪が溶けてしまうほどの恋愛がしたいという、冬の代表曲がBGMとして流れていた。貴之は、自分もその曲の歌詞の通りに、ゲレンデで有希子さんと恋がしたいなぁ、とあれこれ妄想を働かせていたその時であった。

 コースの端で一人で滑っている女性が目に入った。どこかで見たことのある人だ。あれは・・・まさか! と思いつつ、ゴーグルで狭くなった視界のため、少し距離を詰め姿を確認する。やがて、表情を認識すると、貴之が思わずつぶやく。

「あれは・・・有希子さん? 有希子さんじゃないかぁ!」

 なんと、スキー場に憧れの有希子さんがいたのであった。なんて運がいいんだ、と浮かれる貴之。最初に滑った時よりも、ゲレンデにはスキーヤーたちで溢れかえっていたのにも関わらず、いとも簡単に有希子を見つけることができた貴之は、引き寄せの法則でも使ったのだろうか。

 有希子の様子を見ると、上級コースを断固拒否した実力の貴之の目ですら、有希子のスキーの腕前は決して上手いとは、お世辞にも言えなかった。あくせくしながら、のらりくだりとややへっぴり腰になりつつ滑っていた。スピードも、小学生くらいの女の子に軽く抜かれていた。いつも明るく何でもこなしている有希子の姿からは、まるで違っていた。ここまで余裕のない表情を貴之は初めて見た。初めて見たと言っても、貴之は、事実として大学内ではあまり話をしていないが。そのため、明るく何でもこなしている有希子の姿は、貴之の脳内イメージである。

 でも、どうして有希子さんはひとりでいるのだろうかと、貴之は疑問に思っていた。だが、そんなこと言っている場合ではない。これはチャンスだ。抑えきれない欲情を何とか制御しつつ、一刻も早く有希子のもとに向かいたいが、自分の意思とは異なりおぼつかない足取りで、貴之は有希子の元へ駆け寄る。

「あ、あの。倉田、有希子さんですよね」

「えっ? あっ、は、はい?」

 ———し、しまった。いきなり声をかけられては警戒心を抱かれるに違いない。ま、まずいぞ。これでは完全に不審者扱いだ。ここは、自分の名前を言うのが得策か。

「あ、あの。室別大学文学部の倉田さんですよね。僕も室別大学の経済学部にいます。名前は浅水貴之です」

「はい。あ、浅水さん、ですか?」

 ———同じ大学に四年もいる中、なんと僕のことを知らないようだ。なんてこったい。今までの僕の大学生活は一体なんだったんだ? 

「あ、あの。僕のこと知ってますか?」

「・・・・・・・」

 どうやら知らないようだ。

「あ、あの。去年の学校祭のこと覚えてますか?」

 今から三ヶ月前のこと。貴之は学部の出し物の宣伝のため、プラカードを持って学内を歩いていた。だが、貴之にとって、学祭の案内などこれっぽっちも興味がなかったため、当然のごとく、人目がつかないこと場所でサボっていた。

「全く、大学の学祭なんか何が楽しいんだ? 高校生じゃあるまいし。それに、大学の学祭といえば、これからブレイクしそうなバンドやお笑い芸人が学祭の目玉としてステージに出てくるじゃないか。それがなんだ、あのスペシャルゲストは? 亡くなった偉人をあの世から呼び出し憑依できる、津軽の恐山で修業をしたイタコだと? 織田信長と話したいと言ったら、津軽弁を話す織田信長が出てきたり、エイブラハム・リンカーンと話したいと言ったら、津軽弁の日本語を話すエイブラハム・リンカーンが出てきたり・・・ あれはお笑い芸人なのか? きっとお笑い路線だとブレイクするかもしれないが、イタコとして真面目にやっているとすれば、よくわからん。それに、この大学は、どこからそんな人材を見つけてきたんだ? それだけのセンスがあるなら、お笑い養成所のコースを学部に入れたらどうだ?」

 貴之があれこれと室別大学の学祭について、ブツブツとつぶやいているときであった。メイド服の格好をした女性がペットボトルの入ったケースを重たそうに運んでいた。

「姿を見るに、あれは大学内でも『美人と可愛いを足して二で割らない女子』として、一部のマニアックなヤローどもにカルト的に支持されている、倉田有希子さんじゃないか。これは願ってもないチャンスだぞ。私が白馬に乗った王子様のように、手伝って差し上げましょう」

 ちょっとした下心のつもりで、貴之はメイド服の有希子を手伝うことにした。

「手伝いましょうか?」

 貴之は白馬に乗った王子様のように振る舞った。

「!!! あ、ありがとうございます」

 貴之は一応男のため、二リットルペットボトル六本ケースは、それなりに苦慮せずに運ぶことができた。顔を近くで見るのは初めてだが、横顔を見ると、確かに『美人と可愛いを足して二で割らない女子』のフレーズは、あながし間違いではない。

 それに、性格もよさそうだ。普通、ルックスがいい女子なら、周りがちやほやするから、知らず知らずのうちに天狗になる傾向がある。よって、さえない男を下僕のように扱うのがお決まりだ。もっとも、そんな女子は二〇代中盤に差し掛かると美貌が崩れ、誰からも見向きもされず、残ったものは傲慢な性格だけである哀しき人生が待っているが。

 だが、有希子さんは僕が手伝っている横でしどろもどろになっている。手伝わせてしまうのが申し訳ないと言った表情だ。顔も性格もいい。こんな女子が果たしてこの世にどれだけ存在するのであろうか。少なくとも、室別大学では倉田さんただ一人であるのは間違いない。

 有希子のメイド服姿の格好に対して、心のシャッターで写真を撮りまくる貴之。この時間を少しでも長くいたいため、わざと荷物を運ぶ速度を落としていた。

 だが、いつまでも夢の時間が過ごせると思ったら大間違いであり、気が付けば指定の場所に到着し、夢の時間も終わりを告げることとなった。

「あ、ありがとうございました。そ、その・・・もし、よかったらこれをどうぞ」

 その時もらったのは、有希子の学部で出しているメイド喫茶の食券であった。これはチャンスとばかりに、貴之はメイド喫茶の出し物に行くことにした。もちろん、弘志と昭一には内緒であった。

 ほどなくして、ルンルン気分でメイド喫茶に貴之が出向くと、そこは下心を出した『美人と可愛いを足して二で割らない女子』の有希子を見たいがため、一部のマニアックなむさくるしいヤローどもで埋め尽くされていた。有希子はそのヤローどもに作り笑いを存分に装っているように見えた。

 自分もそのうちの一人になるのかと考えた貴之は、お店に入ることはなかった。結局それ以降、有希子と会うことはなかった。


「あぁ、その話を聞いて思い出しました」

(この人が学祭で手伝ってくれた人なのね。馬の被り物を被ってたから、あの時は分からなかったけど)

貴之にとっては想定外のことであった。事実、学部の出し物は競馬であったため、宣伝として馬の被り物をしていた。サボっていた時、貴之は馬のかぶり物を外すのを忘れていた。そのため、いきなり馬の被り物をした人物に声をかけられれば、ギョッとするだろう。

 有希子は、声をかけられたとき、目を見開いて驚愕した。当初貴之(馬)を危ない人物だと思っていたため、荷物を運んでもらったら、さっさとその場を後にしたかったのだ。その様子が、どうやら貴之にとってはしどろもどろに見えたらしい。

 メイド喫茶のチケットを渡したのも、さっさとチケットを渡してその場を去ったのだが、この事実を貴之が知ることは永久になかった。

 ———白馬に乗った王子様ではなく、自分が馬そのものになっていたということを。

 馬の被り物の事実を、貴之には伝えることをしなかった有希子。そのため、貴之の顔はこの時初めて見たのであった。だが、そんなことはつゆ知らず、貴之はショックを受けていた。有希子さんにとって、僕の存在なんか、その辺の石ころと同じなんだ、と。

 だが、ここで貴之は起死回生の発想を閃く。誰も邪魔者がいない中で有希子さんを独り占めできる。こんな奇跡二度とない。あの路面の神社のご加護のおかげか。まさかあの神社にそんな効力があったとは。確かに、あのおじいちゃんの言う通り、『素晴らしい一年』になりそうだ。そう考える貴之は、ひょっとしたら室別市一番のプラス思考の持ち主なのかもしれない。

「あの、倉田さんは一人でスキー場に来ているのですか?」

「いえ。それは違います。そんなわけないじゃないですか」

 ———あれ、なんかあっさりしてる。なんかそっけない。なんなんだこの空気は。お前は早くあっちに行けということか。僕なんかどうでもいいってことなのか。なんだか、手足が重くなっていくのが感じ取れる。

「あ、あの。別に一人で来ているわけでなく、大学のサークル仲間と来てます。その、私一人だけがあまりスキーが上手くないので、他のみんなはスリルを楽しみたいがために、上級コースに行ってしまいました。私一人を置いて」

「ぼ、僕もです。そうなんですよ。奴ら、自分たちだけ楽しい思いをしに友達を残して行きました」

 ———あれ、なんか共通の話題が成り立っているぞ。これは、有希子さんの気を引くことができるかもしれない。ならば、出たとこ勝負だ。

「あ、あの。有希子さん。せっかくなら二人で一緒に滑りませんか?」

「えっ、はい?」

「いや、その・・・側から見れば一人でスキーに来ているように見えてしまいますので・・・だけど、僕をスケープゴートにすれば、周りからはカップルとして見えるはずです」

 数秒の沈黙があった。よくよく考えればなんてことを言っているんだと、貴之は後悔していた。だが、貴之の後悔とは裏腹に、有希子の答えは意外なものであった。

「わかったわ。一緒に滑りましょう」

 奇跡が起きた。心の中で大々的なガッツポーズをしていた。心の中の背景では、くす玉が割れ、ラッパやら太鼓やらが鳴っており、黒子が紙吹雪をばらまいていた。

「それじゃ、このゲレンデを滑り終わったら、もう一回登りましょうか」

「そうですね。行きましょう」

 貴之は人生の絶頂に到達した感覚になっていた。あの有希子さんと一緒にゲレンデを滑ることができることは、夢にも思わなかったことだろう。生きててよかった。

「貴之さんって、スキー滑れるんですね」

 見た感じ、有希子さんはちょ~~が付くほどの初心者のようだ。

「ちょっとだけですけど」

「それなら私にスキーを教えてください。私を置いて上級コースに滑りに行った友達を見返してやりたいんです」

 見返せるだけのコーチング力は、貴之には備わっていないのは明らかであるが、基本的なことは教えることができた。

 だが、そんなコーチング力の有無は、貴之にとってはどうでもよかった。ただ、有希子さんと一緒にいるこの時間が何よりも大切なのだ。よく映画で『時間よとまれ』と見飽きているシーンがあるが、貴之はその気持ちがはっきりとわかる気がした。

「じゃあ、まずはボーゲンから始めていきましょうか」

 スキー初心者の貴之による、スキーレッスンが幕を開けた。貴之はあくまで紳士的に振舞うことを意識していた。ここで変な下心を出せば、全てがパーになる。憧れの有希子さんと会話ができる反面、嫌悪される可能性もある。

 だから、ここはスキーを教えることだけに専念しようと、貴之は腹をくくった。その甲斐あってか、有希子はボーゲンができるレベルにまでなった。

「そう、その調子です。少しの時間でうまくなりましたね」

「そ、そうかしら」

「この調子なら、友達も驚きますよ」

「本当ですか?」

 貴之と最初に会ったときと比べ、有希子の表情は和らいでいた。口を横いっぱいにして広げる満面の笑みは、貴之にとっては天使そのものに映った。


 二人が一緒に滑ってから三〇分後、有希子の方のグループが上級コースから滑り降りてきたようだ。

「貴之さん、ありがとうございました。私は、これからサークル仲間と合流しますので」

 有希子は両手を大きく振る。じゃあね、と言わんばかりに、有希子は友達のグループと合流した。一瞬こちらを振り返ったかのようにも思えた。貴之は手を振ってその場に立っていた。

 追いかければよかった? 

 だが、そんな男前な度胸は貴之には備わっていなかった。

 やがて弘志と昭一も上級コースから滑り降りてくるのが見えた。貴之はがっくりと肩を落とし、一気に現実に戻された感覚に陥った。そうだった、ゲレンデには有希子とではなくヤローどもと来ていたのだと、貴之は落胆した。

「いやぁ、悪いねぇ。自分たちだけ上級コースで滑っちゃって」

「別に、いいさ・・・」

 弘志たちに対しての貴之の答えは、間違ってはいなかった。むしろ、弘志たちが上級コースに行ったおかげで有希子さんに会うことが出来たと、内心で思っていた。一緒に滑ることができた。それで充分だった、と。

(あの神社の効果か、今年は出だしから調子がいいぞ)




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