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ゴミ38 達人、準備する

 全国20都市を巡回しなければならない。

 そのために必要なことは、大きく分けて3つだ。

 1つ、ほとんど部屋に戻ってこられないから、部屋を解約する。しかも泥棒に入られたし。仕事量が20倍になって、収入も20倍になるが、そうなると部屋のグレードを上げたい。頻繁に戻ってこられるとしても、今の部屋を解約するのは同じだ。

 というわけで、さくっと解約。


「ご利用ありがとうございました。」





 2つ、アローの分のテントとか、2人分の食糧とか、旅支度を調える。この辺は、俺の専門じゃないから冒険者をやってきたアローの案内に従う。俺もこっちの世界に来てからある程度の期間はサバイバル状態だったとはいえ、これからの旅は次々と別の街へ渡り歩く。きっと勝手が違うだろう。

 まあ、とはいえ次の目的地は、西のキオートだ。徒歩で4~5日の距離だそうだから、王都よりは近い。そこまでの移動は、王都まで行った俺にとってそう難しいものではないだろう。


「え? これだけ?」


 アローが用意した物は、ほんのわずかだった。

 え? これって、普通は1話使ってちょっとデート的な気分とか出しながら消化するイベントじゃないの?


「他に何か必要か?」

「いや……その……。」


 ……悪名高いアローさんは、資金に余裕がなくて節約志向なのだそうだ。「節約のコツは、欲しくなりそうなものを視界に入れないことだ」ですって。なるほど、賢い。


「そこらの屋台で買い食いとかにご興味は?」

「ない。」

「デスヨネー……。」

「うまい物が嫌いなのではないぞ? うまい物を食べてしまうと、普段の粗食がつらくなるから控えているだけだ。

 でも、これからは浩尉がくれた弓と助言でバリバリ活躍するからな。余裕ができてからの楽しみにとっておくのだ。」

「ああ……そりゃ、いっぱい活躍してもらわないとな。」


 1日分の飲料水と、2回分の食糧。

 アローが用意したのは、それだけだった。1つ隣の街へ移動するたびに宿泊するのだから、キャンプ用品は必要ない。魔物と遭遇しても無理に戦う必要がないので、回復薬も常備している量で十分だ。

 なるほど。たしかに。

 まあ、いざとなれば俺のゴミ袋に一式入っているし、問題ないだろう。

 ちなみに、アローは俺が護衛に雇っている冒険者。手続き的にはそういう事になっている。ちゃんと冒険者ギルドを通して、1ヶ月の護衛依頼として手続きを踏んでいる。期間が満了したら、また冒険者ギルドへ行って、同じ契約をするわけだが。

 俺としては、アローを冒険者から専属護衛に引き抜いてもいいのだが、アローがそれを望まなかった。せめて悪評を返上してからでなければ、逃げたみたいで嫌だと。たしかに、冒険者たちにアローの真価を知らしめて「ざまぁ」の1発ぐらいやってもいいだろう。そういうわけで、しばらく1ヶ月ごとに冒険者ギルドで契約することになっている。

 なので、引き抜いて専属にすれば俺の収入を折半してもいいが、今の手続きでは普通に護衛依頼としての料金しか支払っていない。過剰な金額を支払うと、枕営業でパトロンを手に入れたとか言われて、活躍してもアローの評価に結びつかない。





 3つ、ゴミ拾いLV5の効果検証だ。レベルが上がって今度はどんな効果が出るのか。LV4が自動分別だったのは、今の俺には残念だ。利用できない。リサイクルの技術を開発して商売にしないと、ゴミから分別した素材も売り物にならない。LV5が、すぐに役立つような効果だといいんだが。

 とりあえず街の中のゴミ拾いをやってみて、そのあと処理場でもゴミを拾ってみた。

 というわけで、処理場なう。西の平原だ。


「……何も変わらないな。どうやって調べたらいいのか……。」


 どんな効果が出るのかまるで分からない。ヒントなし。レベルが上がったことだけは分かるから、何か新しい効果が追加されているだろうという事は確実視できるのだが。

 しかし、普通にゴミ拾いをしてみると、特に変化はないのだ。

 今までのやり方では使わない能力だという事は分かるか。じゃあ、何か違うやり方をしてみれば……とはいえ、違うやり方って、どんなやり方だ?


「人に貸せるようになる、とかじゃないのか?」

「……なるほど。その線は今までにないな。」


 今までは、手放すとチート効果が解除されていた。つまり人に貸しても、チート効果のないただの道具になっていた。レベル5でその制限が解除されている可能性はあるだろう。

 とはいえ、メイゴーヤの長年のゴミをしこたま詰め込んだゴミ袋は渡せない。もし違っていたら、大量のゴミが溢れ出て、俺たちが危険になる。いつかのチンピラみたいにゴミの津波に埋まってしまうだろう。しかも量があのときとは全然違う。自力で這い出せる量じゃないはずだ。


「よし、これを試そう。」

「これは? ……ただの棒のようだが?」

「ただの棒だ。

 ただし、俺はこれをゴミ拾いの道具として使える。」


 箸のように持って、近くにあった大きなゴミをひょいとつまみ上げる。

 足がガタガタになったテーブルだ。ちゃぶ台ぐらいの大きさで、酒場とかでよく置いてあるやつだ。両手でがっちり掴めば普通に持ち上がる重さだが、棒2本でつまんで片手で持ち上げるのは、普通では無理だろう。

 そのまま旗でも振るように激しく振り回してみる。ガタガタだった足がもげて飛んでいったが、箸にしている棒2本は折れていない。足より遙かに細いのに。


「……と、このように、ゴミの重さを無視できるのと、棒が折れない効果がついている。

 これを貸して、アローが同じことをできるなら、貸し出せるということだろう。」

「よし。やってみよう。」


 アローが棒を受け取って挑戦する。

 だが、俺は忘れていた。この国には、箸というものを使う文化がない。ナイフとフォークで食べる国なのだ。


「……むう? この……あれ?」


 つまんで持ち上げるはずが、棒をうまく動かせず、つまむ事ができない。

 そのうち棒が手からポロッと落ちて――


「おっ……と……?」


 拾わなくては――と思ったとたんに、棒が空中で静止した。


「は……?」

「あれ……?」

「もしかして、そういう……?」

「……貸すとかじゃなくて、動かせるのか?」


 念じてみると、思い通りに動かせた。

 人に貸すとかじゃなくて、サイコキネシスみたいに思い通りに動かせるのだ。


「マジかよ……これなら、全国20都市、同時に継続処理できるんじゃねーの……?」


 どこまでの動きをプログラムできるか、どこまで離れても使えるか、というのが問題だな。

 それに、同時に操れる数とか持続時間とかに制限がないかどうか。

 よし、いろいろ試してみよう。

5.****:ゴミ拾い用具が***・***で**ようになる。


正解は、


5.自動操縦:ゴミ拾い用具が半自動・全自動で動くようになる。

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