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ゴミ227 達人、推理する

 12月27日、ニーゲッタ。

 チョーオーカーから540㎞、徒歩なら2~3週間かかる距離だが、レジェンドエルフに存在進化したアローや、職人に存在進化したオーレさんなら、普通に歩く感覚で1000㎞/h以上のスピードが出る。あんまり飛ばすとソニックブームとかで周辺に被害が出るので、100㎞/h程度に落として5時間半。ニーゲッタに到着したのは、13時半ごろだった。

 20都市の1つだけに、ニーゲッタもすごい都会なのだが、その外側には広大な農地が広がっていた。農業都市とでも言えばいいのだろうか。

 だが農地に用はないので、そのまま市街地へ。入ったとたんに分かる異様さには、すぐに気づいた。まるで田舎のように人気がない。人がまったくいないわけではないのだが、明らかに都市の規模に対して人口が少なすぎる。しかも、わずかに見かける人々も、まるで元気がない。


「ニーゲッタにいるのは『魔族』の『植える者』だったな。」


 「置く者」から聞き出した情報だ。

 そして「染める者」が言っていた事だが、「植える者」はダイハーンの領主に寄生虫を植えて操っていたらしい。


「ダイハーンでの事を考えると、領主はすでに操られているんだろうな。」

「でしょうな。街がこんな有様になっていることから見ても……。」

「でも、何が目的でこんな事を?」


 アローが口にした疑問に、俺もオーレさんも答えられなかった。

 ちなみに七味唐子さんから受け取った「動く木の人形」は、しゃべれないらしく、大人しく俺の肩に座っている。一応こちらの会話は聞こえているらしく、俺たちが何かしゃべるたびにキョロキョロと頭部を動かしている。その顔には目も鼻も口もなく、完全にのっぺらぼうなのだが、動きを見るとまるで人間が肉眼で見ているような動きだ。

 閑話休題。

 敵の狙いが「この国を奪う」という事だとは知っているが、それとこれとが何の関係があるのか? 農業都市の住人を弱らせて、国を兵糧攻めにするつもりだとしたら、いくら何でもお粗末すぎる。いくら大規模な農地を持つといっても、ニーゲッタ1つダメになったぐらいで国全体がどうこうなるようなものではない。

 だとすると、別の目的があるのだろう。

 俺たちは「置く者」を尋問して情報を得ているが、その「置く者」も残ったメンバーが何をしているのかは知らなかった。すべては首魁「奪う者」が計画した事らしい。配下はその指示に従っているだけで、他のメンバーが受けた指示を知らない。下っ端――存在進化の回数が少ないメンバーに至っては、自分たちが受けた指示が「何のためにそんな事をするのか」という事さえ、教えられていなかったという。


「……さっぱり想像もつかない。

 だが、考えてみてくれ。

 もし自分なら、自分が国を奪う側の立場なら、ここで何をする?」

「……そう、ですな……。」

「そんな事を言われてもな……。」


 オーレさんとアローは、考えて込んでしまった。

 質問した手前、俺も考えてみよう。


「もし、俺がこの国を奪おうと考えるなら、必要なものは3つだ。

 1つは、活動資金。それをどうやって稼ぐか、資金源が必要だ。

 2つ目は、仲間。いくら『達人』でも、1人でできる事には限界がある。むやみに暴れても都市の1つぐらいなら滅ぼせるだろうが、国を奪おうとするなら、数の暴力による永続的な波状攻撃への対策や、奪ったあとにどうやって管理するかという事のために、どうしても仲間が必要になる。

 3つ目は、拠点だ。仲間がいるなら、拠点がなければ連携がとれない。連携には報告・連絡・相談が必要だが、どこに向けてそれらの情報発信をすればいいのか分からないと困る。だから拠点は必須だ。」


 要するに、国家に対抗できるだけの組織を作る。

 組織ができたら、あとは相手の戦力をそぐために、経済封鎖や軍事拠点の破壊・制圧、追加の資金調達などをおこなう。今までに潰してきた全国20都市での事件は、そういう事だったのだろう。

 だが、今や敵勢力は残り3人。とても国家に対抗できるような組織ではない。

 だというのに、いまだにここで何かやっている。

 相手戦力をそぐための活動ができなくなっても、組織づくりの要素は残るはずだ。組織力を回復しなければ、国家に対抗できない。

 で、組織づくりの要素を3つに絞り込んだので、あとは消去法だ。


「なるほど……?」

「それで……?」


 アローとオーレさんは、まだ分からないという顔をした。


「このうち、拠点はできるだけ王都から離れた場所に用意したい。あまり近いと情報が簡単に伝わってしまうから、準備が整う前に潰されるかもしれない。

 そういう意味で、このニーゲッタは正直微妙だ。首都との間に山脈を挟んでいるとはいえ、距離を取るなら南か北に用意した方がいい。この国は南北に長いからな。

 また、活動資金については、これまでに見て来た『都市の実効支配』でかなりの金額を調達できるだろう。しかし、搾取するには住人が生産活動をしていなければならないから、住人自体を減らすようなことは避けるべきだ。

 従って、住人が少ないこのニーゲッタの状況を考えれば、敵がここでやっている事は、資金調達ではないと考えられる。

 すると、残るは『仲間集め』だ。」


 そういう事になる。


「奴らの仲間を……?」

「つまり、『悪人』の方向へ存在進化させると……?」


 そこで次の疑問に行き当たる。

 つまり「でも、どうやって?」という事だ。


「人間から悪人に存在進化するには、何か悪いことをやり続ければいい。

 強制的に悪事を働かせ続ける方法……つまり、敵がここでやっているのは、治安の悪化じゃないか?」

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