表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/245

ゴミ215 達人、ダンジョンへ

 10月10日、夜。トボル。

 イリマイオトグ遺跡から多数のアンデッドが出現。領主は兵士に指示して対応に当たらせたが、対応しきれなかったらしく俺たちに応援を求めてきた。

 というわけで、俺たちはイリマイオトグ遺跡へ。


「とりあえず数を減らすことから始めるか。」

「了解。」


 俺は、腰のゴミ袋から小さいくず鉄を取り出し、まとめて掴んで投げつける。ただの投擲だが、それを俺のステータスでやると、とんでもない威力になる。砂を投げたようにくず鉄が広範囲に飛び散り、アンデッドをまとめて破壊した。

 アローは、七味唐子さんからもらった鉢植えから枝をむしり、矢として放つ。着弾と同時に、枝の先端にあるつぼみが爆発し、白米を飛び散らせる。その威力は破片手榴弾に匹敵する。存在進化した俺たちなら耐えられるが、アンデッドは耐えられずバラバラになる。

 バラバラになってもアンデッドは動きを止めないが、それでも身体構造的に実行できる動作には制限がかかる。腕だけになってしまっても動くとはいえ、五体満足のようには動けないというわけだ。大きく動きを制限してしまえば、あとは兵士たちが一方的に処理していく。もっと細かく砕いて動けなくしたり、魔法で浄化したり。

 数回の攻撃を繰り返すと、戦局はすっかりこちらの優勢になった。


「んじゃあ、あとは任せて突入していこう。」

「分かった。」

「ダンジョン攻略といえば冒険者の醍醐味だな。」

「まあ、そういうの専門にしている冒険者もいるが。」

「というわけで、Sランク冒険者の登場だ。」

「2人とも、久しぶりですな。」


 Sランク冒険者オーレ・ツエー・ブーン。

 Aランクの頃から、強すぎてパーティーが組めないという剣豪だが、ダイハーンで猫耳商会の本店を訪れ、魔道具を購入して対応できる状況を増やしたことでSランクに昇格した。

 今回は、事前にこういう流れになるだろうと予想できたので、呼び寄せておいた。


「オーレさん。お久しぶり。

 調子はどうですか?」

「聞いてくだされ! 先日ついに『人間』から『素人』に存在進化しましたぞ!」

「おお!」

「それは、おめでとうございます。」


 存在進化は1回でもできたら凄い事だ。

 この世界に来たときから達人だった俺には、その苦労はいまいち分からないが、魔族勢力以外には七味唐子さんとアローぐらいしか存在進化した人物を知らないのだから、その希少性だけは理解しているつもりだ。


「そうすると、Sランク冒険者としての活動がますますはかどりそうですね。」

「そうですな。

 年内いっぱいで引退かと思っておりましたが、もう少し続けられそうです。」


 オーレさんは嬉しそうに笑う。

 俺としては護衛に雇いたい気持ちもあるのだが、本人がSランクを切望してきたのだから、その活躍は喜ぶべきだろう。


「すみませんな。五味殿の護衛になるのは、もう少しあとになりそうですぞ。」


 見透かされていたようだ。


「いやいや、存分に活躍してください。冒険者のままでも、依頼を出せば雇えるのですから、こちらとしては雇用形態が違うだけのことです。」


 正社員と派遣社員ぐらいの違いだ。

 日本だったら給料が全然違ってしまうから生活レベルまで違ってくるが、この世界でSランク冒険者を雇うには大金が必要だ。派遣社員というより、専門業者といったほうが正しいかもしれない。

 まあ、一般的に「冒険者」といったら派遣社員と言った方がしっくりくるような連中を指すわけだが。


「まさしく。

 で、今回はダンジョンの攻略、その案内人という事でしたな。」

「そうです。よろしくお願いします。」

「では、行きますか。」


 オーレさんが進む。

 周囲のアンデッドがバラバラになって動けなくなる。

 俺たちはそのあとをついていった。

 楽ちんだが……オーレさん、頑張りすぎじゃね?


「そんなハイペースで戦って、()()のですか?」


 俺はスタミナ切れを心配したが、


「素人に進化してから、スタミナも増えましてな。

 このぐらいのペースなら一晩中でも続けられますぞ。」


 オーレさんは、弱点だった体力の低さ――実際には消耗が激しすぎる事が問題だったが――を克服したようだ。大変喜ばしい。


「それより、お二人はどうなのですかな?」

「どう……とは?」

「……やれやれ。その様子では、まだ関係に進展はなさそうですな。」

「ああ、いや、それは……。」


 俺が心の整理をつけるだけだ。

 俺の自意識過剰でなければ、アローはすでにいつでもいいのだろう。


「……ふーん?」


 オーレさんは俺たちを見比べるように視線を動かした。


「見たところ、五味殿が童貞こじらせて変に気負っている、といった所ですかな。」

「いや、別に童貞というわけでは……。」

「商売女を買っても、それは『経験』とは言えませんぞ? あんなのは所詮、金で買った時間だけ演技をしてもらうというだけの関係ですからな。男女の関係について学ぶところは少な目ですぞ。」


 どうも、何を言ってもダメそうだ。

 まあ、実戦に勝る訓練なしというのは同意だが。

 いや、そもそもオーレさんの言うことが正しいというのがある。変に気負っている、か……。うーむ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでくれてありがとうございます。
楽しんでいただけたら、幸いです。

「楽しめた」と思っていただけたら、上の☆☆☆☆☆をポチっと押していただきますと、作者が気も狂わんばかりに喜びます。
バンザ━━━┌(。A。┌ )┐━━━イ!!

「続きが気になる」と思っていただけたら、ブクマして追いかけていただけると、作者が喜びのあまり踊りだします。
ヽ(▽`)ノワーイ♪ヽ(´▽`)ノワーイ♪ヽ( ´▽)ノ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ