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ゴミ214 達人、領主に会う

 10月10日、トボル。

 今日は領主に面会する日だ。

 予定通りに領主に面会するが、例によって名前が長く、覚えられない。

 お互いに自己紹介して、領主からトボルについてざっと説明を受ける。説明の内容は、昨日・一昨日で見て回った程度のことだった。


「こういう街だから、トボルには4つゴミ処理場がある。では順番に案内を。」


 と言う領主に、俺はその案内を断り、


「昨日までにゴミ処理場らしき場所は、4か所とも見つけています。

 地図はありますか?」

「おお……! それはそれは。大使殿は仕事が早いな。」


 領主はトボルの地図を持ってきた。


「昨日までに確認した場所は、ここと、ここと、ここと、ここです。

 ゴミ処理場で合っていますか?」

「合っている。さすが、廃棄物処理特務大使殿だ。」

「では、今すぐにでも処理を開始できます。

 現場への通達を待ってからにするつもりですが、どのぐらい待てばいいでしょうか?」

「同じ都市の中のこと。明日までには通達できます。」

「分かりました。

 それでは、明日からゴミ処理を開始します。」


 そういう事になった。


「そういえばリモーラの事件は大変でしたね。」


 時間が余ったせいか、領主が話を振ってくる。


「トボルでも影響がないか、魔の手が伸びていないか調査中です。」


 おや? これはフラグじゃないか?

 と思った次の瞬間、足音が近づいてきて、兵士がノックもなしにドアを開けた。


「大変です!」

「馬鹿者。来客中だ。

 ノックぐらいせんか。」

「申し訳ありません! ですが緊急事態です!」

「何がだ?」

「イリマイオトグ遺跡から、アンデッドが多数、出現しました!」


 ほら、フラグだった。


「アンデッドか……。」


 指示を飛ばし始めた領主をしり目に、俺はディバイドでの事を思い出した。

 あのときも遺跡からアンデッドが出てきて……そうか、今回はそのリベンジマッチか。

 あのときはまだ俺も、大した事はできなかった。直前に起きた競技場の崩壊……その救助作業で徹夜したっけ。今なら「自動収集」を使えば一瞬で終わる。樽に爆発の魔法を仕掛けた奴がいる、というところまでは調査で分かったものの、その犯人は分からずじまいだった。

 遺跡から出てきたアンデッドも、遺跡の中にアンデッドを召喚し続ける魔法陣が設置されていたことは分かったものの、犯人は分からないままだ。手がかりを残さないほどの、並ならぬ術者という事だけが分かったんだったな。

 まあ、でも、アンデッドだけなら領主の兵士だけでも対応できるだろう。ディバイドでもそうだった。アンデッドが脅威なのは、数が増える事と「致命傷」という概念が存在しないタフさぐらいだ。


「忙しくなってきたようですから、我々はこれで。

 明日、ゴミ処理を開始したのち、出発することにします。」

「承知した。大したもてなしもできず、すまない。」

「いえいえ、お気になさらず。」


 というわけで、俺たちは領主の屋敷を出た。


「来るかな?」


 アローが言う。


「来るだろうな。」


 俺は答えた。

 そして俺たちは、宿屋に引きこもった。時間を持て余して、俺は近況報告の手紙をいくつか書いて、世話になった人たちに送った。もちろんワープ技を使って。送る相手は、アイルの役人たち、ソーホーゲンの領主(領地運営の相談役)、猫耳商会の会長エコさん、2000年前の達人・七味唐子さん、Sランク冒険者オーレさん、それから言わずもがなだが王様にも送る。

 そんな事をしていると、予想通り、領主の手の者が俺たちのところへやってきたのは、夜だった。


「すみません。大使殿はこちらですか?」


 部屋をノックすると同時に、男の声が聞こえてくる。

 まあ、それ以前にガチャガチャと鎧の音がしていたから、相手の正体は分かっている。兵士だ。


「廃棄物処理特務大使、五味浩尉男爵だ。

 何者か?」

「トボルの警備兵団に所属しております、兵士の――」


 名乗ってくれたが、名前が長い。

 残念、覚えられない。


「で?」

「領主様からの要請です。

 イリマイオトグ遺跡に現れたアンデッドの群れを殲滅するべく、ご協力を賜りたいと。」


 予想通りだ。


「アロー! 出番だぞ。」


 隣に部屋を取っているアローに向けて、壁を叩く。

 すぐに隣から壁を叩く音が返ってきた。





 というわけで、兵士の案内でイリマイオトグ遺跡にやってきた。

 ひしめくアンデッドの大群と、それを取り囲んで封じ込める警備兵団。


「……ディバイドの時より多いな。」


 というのが率直な感想だった。

 1体1体の強さは、ディバイドの時と同じぐらいのようだ。今の俺には苦労する相手じゃない。しかし数が多いという事は、面倒くさい。


「ディバイドの時は骨折していて役に立てなかったからな。

 今度は存分にやらせてもらう。」


 アローはやる気満々だ。

 ま、その方がありがたい。


「んじゃあ、やるか。」


 俺たちはアンデッドの群への攻撃を開始した。

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