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ゴミ17 達人、ゴミ拾いLV4に目覚める

今回から主人公は、街の人たちと普通に会話できるようになりました。

 大工のおっさんに言葉を教わり始めてから2ヶ月、俺は日常会話のほとんどが可能になった。なんか、めっちゃ分かりやすくて、すらすら覚えられた。おっさん、大工より教師やったほうがいいんじゃないか?

 それと、ゴミ拾いも続けてきたおかげで、とうとう技能がレベルアップした。


「ステータス。」


名前:五味浩尉ごみひろい

種族:達人

年齢:39

性別:男

技能:ゴミ拾いLV4


 そう! ゴミ拾いのスキルがLV4になったのだ!

 ……で、どんな効果があるんだろうか? また検証しないといけないのか? と思ったのだが、その心配はなかった。

 今度の特殊効果はすごく分かりやすかったのだ。

 ズバリ! 自動分別である。

 ゴミ袋に収納しているゴミを、素材別に分別してくれるのだ。たとえばベルトのバックル。ベルトがちぎれてバックルが落ちていた。これをゴミ袋に入れると、バックルは金属として分類されるが、そのバックルの中に残ったベルトの切れ端は、革として分類され、取り出すときには別々に取り出すことができる。まあ、これはバックルをちょっと操作すれば手動でもできる事だが。

 地球で拾ったナイフも分別できる。このナイフは、刃は金属製で、グリップは樹脂かプラスチックみたいな素材でできている。ネジで固定してあるわけではなく、おそらく鋳造みたいに溶かした樹脂の中へ刃を突っ込んで冷やし固める方法で固定してあるのだろう。つまり手動では分解できない。その代わり、樹脂が割れたりしない限り、ネジが緩むみたいにガタつく事はない。このナイフも、樹脂と金属に分離して取り出せる。

 これが何の役に立つか。それが重要だ。

 金属だけ取り出すとか、革だけ取り出すとか、そういう事ができるわけだが、今のところ拾ったゴミは収納したままにしてあるので、分別してもしなくても関係ない状況だ。どんなゴミを拾ったのか、もう覚えていないものもあるから、素材別に取り出せるのは便利かもしれないが、取り出しても利用する方法がなければ無意味だ。

 だが、言葉も通じるようになったし、たとえば鍛冶屋へいって金属のゴミだけ取り出せば、くず鉄として買い取って貰えるかもしれない。





「無理だ。」


 はい、ダメでした。


「理由を聞いてもいいか?」


 尋ねると、鍛冶屋は大きなため息をついた。


「金属なんて何でも同じだと思ってねぇか?

 そんなわけないんだよ。

 たとえば剣ってやつは、純度100%の鉄でできてるわけじゃない。真っ赤に燃える炭の中に突っ込んで、鉄に炭を吸わせるんだ。そうすると硬くなるからな。

 じゃあ、剣を溶かして鉄に戻せば、また剣を作れる。……そう思ったんだろ?

 だが剣を溶かして鉄に戻すってことは、鉄に吸わせた炭を全部吐き出させないといけねぇのよ。んで、俺たち鍛冶屋は鉄に炭を吸わせる方法は知ってるが、吐き出させる方法は知らねぇ。」


 なるほど。そういえばリサイクル品を作るには、新造品を作るよりも高い技術力が必要だと聞いた事がある。紙も、再生紙が登場した頃は、用途が限定的だった。ゴミやインクを取り除く技術が未発達だったから、新造品に比べると白さが劣るとかゴミが混じるとかの問題があったからだ。


「う~ん、なるほど……。」


 困ったな。これじゃあ分別しても役に立たない。

 革職人に革のゴミを出しても、縫い合わせて使うわけにはいかないだろう。同じ理由で布もだ。

 そうなると……頑張って自作すれば、布団ぐらい作れるかもしれない、といったところか。だが、それには針と糸が足りない。

 とりあえず鍛冶屋にはお礼を言って立ち去った。


 う~ん……しかし困ったな。LV4の使い道がない。

 別の角度から考えるべきか……?


「あ、そうだ。」


 いい事を思いついた。





 行政の指示に従って出されたゴミは、どういう手順で、どこへ行くのか。

 街を見ると、馬車はあっても自動車は見かけない。エンジンというものが存在しないようだ。であれば当然、地球のようなゴミ収集システムやゴミ処理場は存在しないのだろう。

 では実際どうなっているのか? ゴミを追ってみよう。




 ゴミ集積場で待つ事しばらく、業者がゴミを回収しに現れたので、後を追った。

 業者は馬車で現れ、ゴミを積み込んで街の外へ。街から1kmほど離れた平原に、草も生えていない荒野になった部分があり、馬車はそこに止まった。

 業者はゴミを馬車から降ろすと、


「ファイヤーストーム!」


 叫んだかと思うと、突如として炎が吹き荒れ、ゴミの山が燃え上がった。

 かっこいい! これだよ、これ! やっぱり魔法といったら、こういうやつだよ!


「ピットフォール!」


 いきなり地面に穴が空いた。ちょうどゴミを焼いた灰の真下だ。

 灰は重力に従って穴に落ちる。業者――もとい魔術師が指を鳴らすと、穴は消えて地面は元通りになり、灰は地中に埋まった。


「……ふむ……。」


 すごい。とにかく凄い魔法だ。燃やして埋める。派手で、手早く、効果的。そして派手だ。見栄えがいい。大事なことなので2度言いましたよ。見栄え、コレ大事。こう……「魔法を使ってるぜ! 感」が出まくりだ。いいなぁ……魔法……いいなぁ……。

 ただし、その内容は、ゴミの処理方法としては間違っている!

 これは、やっぱり領主に面会を求めないとダメだな。でも、その前にちょっと情報収集をしておくか。

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