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ゴミ113 閑話 ???

 水害による被害はきれいに片付いてしまった。

 街は日常へ戻りつつある。

 アイル全土が浸水して、ほとんど全戸が床上1m以上の浸水、半数近くが倒壊し、家財道具は水浸し、工場は納品待ちの製品やら加工待ちの資材やらが流されて、元に戻るには年単位の時間がかかるだろうと思われた大災害だったにもかかわらず、だ。


「五味浩尉……か。」


 やはり、あいつは脅威だ。やはり、あいつがネックだ。


「廃棄物処理特務大使なんて称号をもらうだけのことはある……。」


 ()()()()これほど大規模な()()()()()()()()()、あいつ1人の活躍(せい)で、復旧・復興にかかるはずだった時間が年単位で短縮()()()()()()()

 キオートでのスタンピード、ダイハーンでの汚職、ディバイドでの同時テロ、ゴッドアの流行病、ヒルテンでの病殺兵器の開発……すべて奴1人のせいで潰れてしまった。

 奴がラキヒルを通ったと聞いて、悪い予感がした。調査してみると、ラキヒルで製鉄業に絡む利権をめぐって対立していた反社会的組織2つが、奴の通過中だけ休戦状態になっていることが分かった。反社会的組織同士の抗争によって、ラキヒルの製鉄業は様々な営業妨害を受けていた。それが、たった一晩のこととはいえ、休戦状態。ラキヒルの製鉄業者は、多くがその夜に大量の製品輸送を成功させた。


「奴が通っただけで、チンピラどもが静かになるとは……な。」


 裏社会は情報が早いから、奴らの戦力を警戒していたのかもしれない。キオートでのことは、冒険者たちにも知れ渡っている。裏社会でも同様だろう。反社会的組織といっても、冒険者や兵士と違って戦闘員とは言えない。戦力的には、単に素行不良の一般人だ。下手に巻き込んでキオートのスタンピードみたいに潰されてはたまらないということか。

 しかしその場合、川の水なんかぶちまけたら無辜の民が犠牲になる。抗争は街中でやっているからな。奴は騎士爵という公的な立場があり、王の命令で動いている。無辜の民を巻き込むような事はしないだろう。であれば、警戒する理由がなかったのではないか、とも思える。

 だが、川の水落としを喰らう可能性は低いとはいえ、それ以外は無力というわけでもない。巻き込んだら返り討ちにあう危険は高く、さらに報復行動やゴミに関連づけての調査が始まると厄介だと思ったのかもしれない。叩けば埃が出る連中だ。

 とにかく一時休戦したことで、妨害がなくなったラキヒルからの鉄材の輸送はスムーズになった。そのためアイルの工場も活発化する。

 その活発化を抑えるためには、何らかのダメージを与える必要があった。水害が必要だったのだ。


「間違っていなかったはずだ……。

 ……だが、まさかこれほどとは思わなかった。奴の実力を読み違えた私の落ち度だな。」


 我らの悲願を成就するには、人間の戦力をできるだけ削っておかねばならない。魔物を使って街を襲わせたり、病気をはやらせたりするのも、そのためだ。そして私の役目は、この工業地帯で軍需産業の発展を抑えること。

 水害を起こすと、アイルの街には順調に被害が出た。

 だが、奴が現れて、たった3日で片付けてしまった。たった3日だ。年単位の時間が、たった3日に縮められてしまった。


「あれが裏目に出たのか……?」


 奴が片付けている3日間、私は何とか邪魔をしようと思った。ディバイドでの競技場崩壊のときの救助活動の情報からヒントを得て、派遣できる人員を可能な限り派遣した。片付け作業に混じらせることで、「人間が乗った瓦礫は持ち上げられない」という欠点を突いて作業を遅らせる計画だった。善意に偽装したから、奴はまだこちらに気づいていないはず。

 だが、その作戦は失敗に終わった。被災地にやたら人員を送り込んでも、どこにどれだけの作業が必要か把握できず、また活動のための拠点や物資が足りないために、邪魔にしかならない。普通はそうだ。奴は普通じゃないが、少なくともいくらか邪魔になるはずだった。ところが、どういうわけか的確に指揮命令が働き、邪魔になるどころか手伝いになってしまった。奴は、被災地の状況を把握する能力でも持っているというのか?


「とにかく、何とかしなければ……。」


 結局、3日で作業が終わってしまった。軍需産業の発展を抑えるという目的は、水害まで起こした割には、ほとんど効果がなかったわけだ。製品・資材・設備・資料などを失って、完全に通常営業に戻るには時間がかかるが、年単位の時間を短縮された。早いところではもう操業を再開しているし、半年もしないうちに、多くの工場が操業を再開するだろう。そうなれば、その従業員たちも日常へ戻っていく。

 この状況を食い止めるには、もう1度水害を起こすしかないだろう。


「……こちらの存在に気づかれる危険はあるが……。」


 もう1度水害を起こせば、前回の水害に耐えた建物でも、倒壊するものが増えるだろう。1度目の水害のあとに買い直したり作り直したものもダメになる。助成金が足りなくなるはずだ。ゴミの問題とは別に、お金の問題になるのだから、奴にも手が出せないはず。

 タイミングは、人々が助成金を頼りに色々と買い直した頃がいいだろう。時間的には1~2週間といったところか。

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