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優華とみどりと変人と  作者: ばたじょ
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第4章 クールビューティー松川

どうも、ばたじょです!


ついに第4章です!いやめでたい!え、本当ですよ?


今回はタイトルに書かれた人物が一体どんな輩なんだ⁉︎とわくわくしながら読んで頂けるとより楽しむことができるかもしれませんね!


それでは本編スタート!いってらっしゃい!

下駄箱のある一階にてひとまず廊下を歩いていく。優華に抱えられているみどりちゃんは楽しそうにキョロキョロと辺りを見回しているようだ。


「学校だし特別面白い物なんてないんだけどねー」

「まあまあ、みどりちゃんが楽しめればそれで大丈夫だよ〜」

「それもそうね、あっそういえば明日の授業代行なんだけど、アイデアある?」

「そうそう、それなんだけどね〜」


フッフッと笑みを浮かべて直子は自信満々に言い放つ。


「その名も…クラスのみんなでみどりちゃんを観察しよ―――」

「はい却下ー」

「ふえぇぇぇぇ?」

「当たり前でしょ!この短期間で他の人たちに変な現象は見られているけど、肝心のみどりちゃんはまだ目撃されていないわ。なら、このまま明かす必要は無いと思う」

「そ、そうかなぁ〜、みどりちゃんがこんなに可愛いんだよってみんなに知って欲しいけどなぁ〜」

「それは直子が授業の時間を使ってまでみどりちゃんを観察したいだけなんじゃ?」

「えへへ〜、優華ちゃん鋭いなぁ〜」

「えへへって…まったく…」


直子の私利私欲なアイデアを却下しつつ、優華は自分のアイデアを出す。


「私は授業代行で、生徒それぞれが過去のタイムカプセルを開けよう…っていうのを考えているわ」

「おお、タイムカプセル⁉︎えーっと、小学生の頃に埋めたやつ〜?」

「埋めたというよりも、小学校に保管してあるんだけどね。それに直子と私は別の小学校だったわね」

「そうだよ!クラスの皆は同じ小学校じゃないんだよ〜⁉︎」

「そこは前もって事情を言って取りに行けば大丈夫だと思うわ」


優華たちの住む町では学校の数が極端に少ない。それだけ小規模な町だと想像して頂きたい。そのため町の中に属する小学校も3校程であり、中高生になっても同じ学校に通うことも多々ある。そのため、優華の言う通り、町の小学校を2〜3校周ればタイムカプセルは容易に回収可能だ。


「でもでも、全員がタイムカプセルを預けた確証はないよね〜?」

「その時はその時、少なくともタイムカプセルに心当たりがある直子と私で残る学校は一校よ…それに」

「それに〜?」

「今回はタイムカプセルを開けるだけじゃなく、新たに未来の自分へとタイムカプセルを作ろうとと思ってるわ」

「ふむ、それなら仮にタイムカプセルを預けたことがない人がいても授業に参加できるね〜」

「そういうこと。自分のタイムカプセルを開けるだけじゃなく、他の人と見せ合う楽しみ方もあるし…それに道徳の授業としてはセーフじゃない?」

「セーフだと思うよ〜、それに〜」


直子は満面の笑みを浮かべて言う。


「何か指摘されてたら五大先生が映画を観てることバラしちゃえばいいんだよ〜」

「……直子ってたまにさらっと怖いこと言うわよね…」


そんな優華のぼやきなど気にせず直子は鼻歌を交えながら歩いていく。

廊下を進んでいくと最初に職員室が見えてくる。まだ早朝ということもあり、数名の教員しかいない職員室は静かだ。


「ここは入っても仕方ないわね」

「いや待って、まずは覗いてみるのが定石だよ!」

「いや、なんの最善策よ一体?」

「シーッ!つべこべ言わずついて来な!」

「何キャラよ⁈」


直子は無駄に良い身のこなしで忍者のごとくサッと職員室に忍び込む。


「それは覗くのではなく侵入というのよ直子」

「おっと素人は足手まといだ、すまないがここで待っててくれ」

「ついて来なって言ったのは誰だったかしら…」


直子が職員室を探索する姿を扉越しで見守る優華とみどりちゃん。

しばらく職員室内を中腰の姿勢で探索すると、直子はこちらに向いて手招きする。


「どうやら今は誰もいないみたいだよ〜」

「どうだかね、最悪バレたら提出物の用事とか適当に誤魔化せばいいか」


教員に出くわした時の対処法を考えつつみどりちゃんと一緒に職員室に入る。

入学式が終わり新入生たちの事務作業などがあるのだろう。どの教員たちのデスクも指でつつけば、雪崩が起きそうなくらいに様々な書類で山積みになっている。

そんな教員たちのデスクには一切目もくれず、直子は始めから目的が決まっていたかのように1つのデスクに向かっていく。そのデスクは他の教員たちのとは異なり、まだ開封していないスナック菓子やタバコの箱やらが散乱している。


「ふふん〜、今日もごちになります!五大先生〜」

「菓子泥棒をしに来ただけかい!」

「菓子泥棒だなんてとんでもない!拝借しているだけだよ〜⁉︎」

「どこのガキ大将の言い分よ⁈」

「それにね、毎回ちゃんとお返しはしてるんだよ〜?ほら今日も持って来たもん!」


ごそごそと鞄の中を弄り、小さなビンを取り出す。


「じゃじゃーん!直子特製、ぬか漬けセット!」

「いやいや待て待て!何故にぬか漬け⁈美味しいけどさ⁈」

「説明しよう!直子特製ぬか漬けとは、温厚直子が趣味の1つであるぬか漬け作りをきっかけに誕生した物である!内容はニンジン、ナス、ダイコン、キュウリのスタンダード四天王たちだ!」

「自分で説明するんかい!そして説明は結構普通だし!」

「おーおー姉ちゃん、さっきからワシのぬか漬けに文句しか言うとらんのう〜、一度食うてみな!」


直子は素早い動きで瓶の蓋を開けると、懐から出した爪楊枝で瓶の中からナスをサルベージしてそのまま優華の口めがけてぶん投げる。


「あむ⁈」


突如、前方から飛来してきたナスのぬか漬けに上手く反応出来ず、そのまま勢いで口の中に迎える。

優華は口から爪楊枝を抜いて、もぐもぐとナスを咀嚼する。


「く、くそ…普通に美味しいじゃん…!」

「でしょでしょ〜?お粗末様でした〜」

「で、直子は毎日ぬか漬け用意してるわけ?」

「できるならそうしたいところだけど、数に限りがあるからね〜、昨日の差し入れはチーズの燻製だったよ〜」

「アンタのチョイスってなんか面白いのよね…」


そんなやり取りを交わした後、直子は五大のデスクにぬか漬けの入った瓶を置く。そしてデスクに置いたある付箋を一枚取り、何かを書き残して瓶に貼る。


「それは何のメモ書き?」

「これはね、お菓子のお礼と今日はぬか漬けだからその説明だよ〜」

「これじゃ菓子泥棒というかただの物々交換ね」

「まぁそうなるね〜、あと五大先生もね、毎回付箋を返してくれるんだよ〜」

「へえ〜、あの五大先生にも律儀な一面があるのね」

「うんうん!五大先生はなんだかでちゃんと生徒と向き合ってくれる良い先生だよ〜、ちなみにそこに貼ってある付箋が昨日の差し入れの感想だと思うよ〜」

「ああ、ここに貼ってあるやつね…」


デスクの端っこに空になったタッパーが置いてあり、その上に五大の筆跡だとわかる付箋が貼ってある。

優華はその付箋を剥がし、読んでみる。


"次回また燻製をするならホタテとビーフジャーキーもよろ"


「いや味の感想じゃなくて私的なリクエストじゃない⁈」

「ほほう、燻製は初めてだったからチーズだけにしたんだけど…よし!次はホタテとコーンビーフだね!」

「いや素直にリクエスト聞いちゃったよ⁉︎あとコーンビーフじゃない!ビーフジャーキー!」


ぬか漬け入りの瓶を置いた後はデスクの上に散乱している未開封のお菓子たちを回収するだけである。直子は事前に持ってきたのであろうエコバッグにお菓子を入れていく。


「本当奇妙な関係ねあんたたち…」

「ん〜?あ〜、優華ちゃんはどれがいい〜?」

「遠慮しておくわ」

「優華ちゃんてあまりお菓子とか食べてるイメージないよね〜」

「嫌いではないんだけど、自分から食べようとは思わないわね」

「ほえ〜、今時の女の子では珍しいタイプだね〜」

「な⁈直子に言われるとは…!」


今時珍しいタイプの女の子に珍しい認定をされたことで謎の敗北感に浸る優華。

人知れずに凹む優華に気がつくことはなく、直子はお菓子を詰め終えたエコバッグを縛る。


「はい、みどりちゃん!今回の主役なんだから好きなものを選んでいいよ〜」

「…まず食事をする概念があるのかしら?」


ニコニコ笑顔でお菓子の詰まったエコバッグをみどりちゃんに差し出す。

みどりちゃんは相変わらずの無表情でエコバッグを見つめると、完全に入りきらないために半分はみ出ている棒付きキャンディを指差す。


「これだね〜、はいどうぞ〜」

「意思はあるからやっぱり感情…というよりも自我があるのね」


みどりちゃんは親指以外はゴムまりのような手でキャンディを受け取ると、包みを剥がさずに口に放り込む。


「………………………ムスッ」

「あ、少し不機嫌になったわね」

「大丈夫!これはね、こうして包みを剥がして舐めるんだよ〜。名前はペロペロキャンディって言うの〜」

「なんか大体みどりちゃんの感情がわかるようになってきた気がする…」


直子がペロペロキャンディの包みを剥がして再びみどりちゃんに手渡す。


「はいみどりちゃん〜、あーん」

「いや子どもか⁉︎あれ、子どもか!」


もはやどちらが正しいかわからず、優華は自分にツッコミを入れる。

みどりちゃんは大きく口を開け、ペロペロキャンディを迎え入れる。


「あーん」

「……ん⁈あんた今喋った⁉︎」

「え〜?みどりちゃんはお喋りできるよ?」

「うそ、てことは今までの感情表現は口で言ってたの⁉︎」


まさかの真実に頭が追いつかない優華である。

みどりちゃんは数秒無言のまま、ペロペロキャンディを口で咥えたまま味わった後に一言。


「……………あま」

「本当だ喋ったぁぁぁぁ⁉︎」


どうやらこの緑頭、短い文字でなら話すことができるらしい。


「てことは…初対面の時は単純に無視されてただけ⁉︎」

「みどりちゃんは気まぐれなんだね〜」

「気まぐれというか自由すぎるわよ!」


こうして学校探索の一発目、職員室は無事に完了したのであった。

一同は職員室を後にして次なる目的地に向かって二階に続く階段へと足を運ぶ。


「職員室の先は来客用の玄関だから二階に行くしかないわね」


優華たちの通う高校は、生徒たちが出入りする大きな正門とは別に来客用の玄関が校舎の横に位置する。

一階には職員室の他に生徒指導室や応接室など、めぼしい場所は無いため、優華たちは二階に向かうのであった。

二階には、1〜3年生の教室が学年毎に分けられている。全学年のクラスがそれぞれ2つずつしかないため、ワンフロアに生徒が全員収まるという珍しい構造になっている。また、生徒たちの教室以外にも視聴覚室や調理室、理科室など特定の授業に必要な設備が集中している。

補足すると、体育館は校舎に隣接する形で別校舎として二階と一階から行き来可能である。そして地下一階には図書室はと美術室、物置倉庫となっている。

地下にもスペースはあるのだが、実質図書室と美術室のみなので、図書室は特別に他校よりも比較的に広い造りになっている。


「こうなったら時間の許す限り、しらみつぶしに見ていくわよ!」

「うんうん!いざ出陣じゃ〜!」

「…………………ゴー!」


もはや、やけくそ気味な一同は二階のフロアを順番に見ていく。

階段を登り、最初に目に入ったのは理科室と隣接されている実験準備室である。

部屋の中には名前の知らない薬品たちの匂いが混ざり合い独特な香りが充満していた。


「失礼します…って誰もいるわけないか…」

「うへ〜、いつ来てもこの部屋は凄い匂いだねね〜」


理科室内はカブトガニのような、見たことのない生命体のホルマリン漬けや剥製が複数展示されている。それ以外は、メダカだのタニシだのが生息する水槽や実験器具が収納されているガラスケースなど、理科室にありそうな物が揃っている。

すると、突然理科室内にある準備室へ行き来するための扉が開き、何者かが入って来る。


「おや?こんな早朝に来客とは聞いてはいないが?」

「げっ!いるじゃない…!直子、みどりちゃん隠して!」

「それがね〜、いつのまにかいなくなっているんだよこれが〜」

「うそ⁉︎…いや、今は返ってその方が良いか…⁉︎」

「なんだ、挨拶も無しか 今時の学生は学校内でも挨拶ができないとは…我が校も堕ちたものだ」

「はあ、すみませんね。おはようございます、はい終わり…直子、次行くわよ」

「うん、先生またね〜」

「ああ、気をつけて戻れよ…っておいおい!えっ、冗談だよな?待ちたまえ!おおおおい!!」


入って早々優華たちの塩対応に松川は全力で制止しようとする。


「もう…何ですか?私たちに何か用事ですか?」

「それ私の台詞!…コホン、君たちこそ!こんな朝早くから何か用か⁉︎」

「いえ、思い違いでした。それでは失礼します」

「思い違いぃぃ⁉︎ まぁ待て!そうだ!今日は特別に私が発明したこのコーヒーサイファンで美味しいコーヒーを調合してやろうではないか!」

「先生〜、たぶんサイファンではなくサイフォンだと思います〜」

「というか、こういう時はフラスコとか理科室にある器具で作るから面白いのでは?」

「ぐぬぬ、対面して早々、要求の多い奴らだな君たちは…」


松川由香里まつかわ ゆかり、本校において理科を担当している。

常に白衣を身に纏い、服装は大人っぽく落ち着いた雰囲気である。

普段の授業が無い時間は、ほぼ理科室に引きこもるために費やしている。

理科室内から続く実験準備室には、彼女の発明品だの外で拾ってきた壊れた電化製品などが散乱しているらしい。もっとも理科の担当教員に任命された日から独断で部屋の鍵をカードキーに変更してしまったがために、実験準備室に出入りできるのは松川だけである。

松川は基本的に、他の教員とは一歩引いて行動しているため、普通に過ごしている生徒なら松川のことをクールで綺麗な大人っぽい人物像を浮かべるであろう。

しかし、優華や直子など一部の人からすればそれは周りが勝手に想像しているイメージである。

本人曰く人と関わることが大の苦手であるため、意識的に人前で顔をしかめたり腕を組んだりとしていく内に校内一のクールビューティなんてレッテルを貼られてしまったのである。おかげで教員間で友達は一人か二人しかいない。つまり学校ではほぼ孤立状態である。

優華たちがそんなクールビューティこと松川と親しくなれたきっかけは、過去に直子が休み時間に理科室から松川の白衣を強奪…もとい、拝借したことが始まりである。その日、松川はたまたま予備の白衣を自宅に置いて来てしまったため休み時間が終わるまであちこち探し回っていた。その時、必死に白衣を探す松川の形相を見た生徒・教員たちは事情を知らないため、血眼になるほど機嫌が悪いのだろうと近づくことはなかった。

当の本人は血眼というより、半泣きで白衣を探していたそうだ。

後々、直子が白衣を返しに行った際に偶然半泣き状態の松川と出くわしたために酷く叱られたそうだ。

そんな小さな出来事以来、何故か叱られた立場であるはずの直子は定期的に理科室へ訪れるようになった。そのため優華は直子を経由して松川と親しくなれたのであった。


「言わせてもらうがなぁ、君たち新入生の分際で私に馴れ馴れしくしすぎだぞ!…まぁ別に絡んでやっても構わないけど…」

「ええー、私は松川先生と一緒にいると楽しいんだけどなぁ〜」

「松川先生、そもそも私たち以外にも生徒が理科室に訪れることありますか?」

「うっ、そ、それは…レポ――」

「提出物とか業務連絡は含まれませんよ?」

「うう……!」


どうやら、現時点で直子と優華以外で松川と親しくする者はいないらしい。


「あのね先生、自分から関わらないと友達できないわよ?」

「う、うるさい!そんなこといちいち生徒が気にすることではない!」

「え〜、迷惑だった先生….?」

「ううっ!そ、そんなことないぞ⁈たまにならな!嬉しいことも…ないぞ?」

「チョロすぎませんかね松川先生⁈」

「本当⁉︎松川先生ありがとう〜!」

「くっ、まぁいい…君たちなら、私の仕事の邪魔をしないという条件で出入りを許そう」

「へえ、仕事してるんだね〜」

「てっきりガラクタイジリが本職かと」

「違う!私はれっきとした教職員だ!」

「でも、前回の理科の授業は私たちに自習をさせて、自分は実験準備室でガラクタイジリしてたのにね〜?」

「おい待て!何故それを知っている⁉︎準備室の戸締まりは完璧だったはずなのに!」

「フッ、簡単なことだよ松川先生…」


直子は自信ありげな表情を見せ、顔に手を当てて松川の周りを一周する。


「その日、自習が始まる五分前、私は実験準備室に忍び込んでいたからさ!」

「な、なんだとー⁉︎」

「いやあんたは休み時間に何をしてるのよ⁉︎」

「えへへ〜、お昼ご飯に使うガスコンロをお借りしようと思って〜」

「何故いつもそうやって大掛かりなお昼ご飯にしようとするのよ⁉︎」

「一日一日を真剣に生きているからこそ、常に違う味を追求したいんだよ〜!」

「いやこの際、温厚がガスコンロを勝手に持ち出したことなどどうでもいい」


途端に松川の声音がガラッと変わる。優華は松川から放たれる殺気に近いものを感じたり一歩後ずさりする。


「温厚直子、君は準備室の中で何を見た?」

「ん〜?特に読んでも理解できそうにない書類の束とか、それくらいですよ〜。だって、ガスコンロを見つけた後は、松川先生がロボットみたいなのを作ってたところをずっと監視してただけだし〜」

「あんた、それ同性でもグレーゾーンよ」

「ふええ⁉︎」

「フン、まぁいい。ちなみに温厚が見たというロボットはこいつのことだろう?」


松川は懐から出したラジコンのコントローラーのような物を両手で構えると、親指でレバーを倒す。


"ウィーンガシャン、ウィーンガシャン…"


コントローラーの指示に従うように松川の背後、準備室の扉が自動で開放され、奥から何かが四足歩行してくる。


「派手な演出ね」

「これから何が起きるのか楽しみ〜!」

「あんたは本当、お気楽ね」

「さあ!見るがいい!前回の理科の授業一コマを犠牲にして発明した私の傑作メカニック!」

「教員失格な前説、ご苦労様ですね」


奥から登場したのはとても可愛らしい女性…に見えた。上半身までは普通の人間と変わらないのだが、下半身は足が四本生えていて、その見た目は蜘蛛のようだった。腰周りにはティーカップが複数内蔵されており、背中には


「さあ、自己紹介したまえ」

「ハイ!ドウモ御二方、初メマシテ!私ハ松川博士モトイ、マスターノ手ニヨリ誕生シマシタ!」

「なんか色々とツッコミどころの多いロボットですね⁉︎」

「驚くのも無理はない。こいつは世界で初の最新型コーヒーサイフォンだからな!」

「…はい?今、なんと仰いましたか?」

「驚くのも無理はない」

「その後!」

「こいつは世界で初の最新型コーヒーサイフォン」

「そこよ!こんな凄そうな見た目のロボットがコーヒーサイフォン⁉︎」

「凄そうとはなんだ。実際、凄いのだぞ…おっと私のしたことが、ついうっかり名前をつけていなかった」

「どーでもいい!」

「じゃあシンプルに"サイフォン"とか〜?」

「よし、採用」

「そこは適当なのね!」


直子に命名されたサイフォンは人間らしく嬉しそうな表情を浮かべる。


「サイフォン!コレヨリ、私ノ名前ハサイフォンデス!ステキナ名前ヲアリガトウゴザイマス!」


サイフォンは四本足を器用に操り直子の目の前まで歩いてくる。


「自律型ロボットなのですね」

「当然だ。今時、自分の意思で動くことのできないロボットなど操り人形同罪だ。勿論AIも搭載されているから、あらゆる事象・現象…。あとはそうだな、人との会話を通してサイフォンは学習していく」

「なるほど、つまりさっきのコントローラーは演出ですか?」

「馬鹿を言え、自律型ロボットだぞ?万が一、暴走などで危険と判断された時の為にこのコントローラーが…おや?私のコントローラーは?」

「ああ、それなら今は直子が待ってますよ」

「は?何をーー」


松川は訳がわからず、優華に言われた通りに直子の方を見る。


「むむ〜、このコントローラーがある限り、サイフォンちゃんは松川先生の奴隷ってことなんだね」

「いや、奴隷というか、普通に仕事の合間に美味しいコーヒーが飲めればいいと思って…」

「要約すると、松川先生の手のひらで踊らされているということよ直子」

「何を言っている⁉︎誰がそんなデタラメを信じるものか!」

「松川先生!」

「な、なんだ温厚。発言を許可しよう」


直子は片手でコントローラーを握り、両目から涙を流しながら松川に訴えかける。


「たとえ作り物であろうと必ず意思が、命が宿っているんだよ!」

「お、おお?」

「だからこそ!私は思うの…!作られたものであっても、皆平等であるべきだと!サイフォンちゃんも同じ、作られたものだけど意思はある!」

「そ、そうなのか?猫神君?」

「さあ?」


すると、熱烈な演説を終えた直子はコントローラーを真上に投げる。


「な、おいまさか⁉︎」

「こんな鎖は不必要だぁぁぁ!」


そして直子は叫びながら、上から落下するコントローラーを勢いよく殴り飛ばす。

見事に握り拳が命中したコントローラーは、"メキッ"という音を立て、そのまま理科室の窓ガラスを割り校庭まで飛んでいく。

当然の如く、コントローラーはバラバラの粉微塵になり校庭に散在している。


「なんてことをするんだ君は!制御装置はあのコントローラーだけなのだぞ⁉︎」

「ゴ、ゴアンシヲ!サイフォンハ、マスターノコトヲ裏切ルコトハアリマセン!」

「サイフォンちゃん!これであなたは自由の身だよ!あとはどう生きるか自分で考えるんだよ〜!」

「くっ!もしもサイフォン学習暴走でも起こしたら、温厚君、責任は君が取ってもらうぞ!」

「大丈夫、もしもサイフォンちゃんの身にそんなことが起きても、私が必ずしも阻止してみせるよ〜!」

「全く、君という奴はつくづく我が道を行くな⁉︎もう仕方ない…サイフォン、三人分のコーヒーを頼む」

「承知シマシタ!」


指示を受けたサイフォンは、腰周りに装備されたマグカップを器用に三つ手に取る。そして背中から三本のアームが出現すると、三本のアーム先端から沸騰したコーヒーを三つのマグカップへと同時に注ぐ。


「オ待タセシマシタ!サイフォン特性、アメリカンコーヒーデス!」

「本当にコーヒーメーカーなのね、ありがとう」

「私、ブラックコーヒーは飲めないんだよう…」

「オ任セヲ!」


サイフォンは直子のマグカップに人差し指指を入れると、指先がストロー状に変形し、そこから牛乳を注ぐ。


「オ待タセシマシタ!直子様専用プログラム、コーヒー牛乳デス!」

「わあ〜!凄い凄い〜!サイフォンちゃん、ありがとう〜!」

「本当、無駄にメカニックね」

「まぁ、基本的にコーヒーメーカーだからな」


松川はサイフォンから受け取ったコーヒーを口にム含むと、胸ポケットから指示棒を取り出し、そのまま優華の頭上を指し示す。


「ところで猫神優華、君には随分と年の離れた妹がいるものだな?」

「妹?私に妹がいること先生に教えましたっけ?」

「初耳だな、しかしそこまで容姿が似ていないとは…いや失礼今のは失言だったな、謝罪する」

「あ、いえ…別に義理の妹であることは隠しているわけではないので大丈夫ですよ」

「それなら良かった、いや何、髪の色が緑色の人種など、見たことも聞いたこともなかったものでな」

「緑色の髪の毛?はは!松川先生ったら何をおっしゃる―――」


(緑色の髪の毛…まさか!?)


ようやく松川が指示棒で頭上を示していた理由が理解できた優華は、頭上にしがみついている緑頭を引き剥がす。


「みどりちゃん⁉︎いつのまに⁉︎」

「……………ワクワク」

「本当だ!ワクワクって口で言ってる!」


間近でみどりちゃんが喋ったことに驚きを隠せない優華だが、瞬時に次の行動に移す。


「松川先生紹介しますね、こちらはえーっと…」


(やばい!私としたことが、何も考えてなかった!)


「なんだ、言えないのか?いや…その焦り方は何か隠してるな?」


(この人おっちょこちょいに見えるけど、何故か隠し事とかできないのよね…!まずい!)


すると、隣にいる直子が真剣な表情で優華の肩に手を乗せてくる。その表情からは「優華ちゃん、ここは私に任せて!」と言っているように感じられ、優華は黙って後ろに下がる。


「松川先生、この子は優華ちゃんの妹でも弟でも無いんだよ…」

「次は君か?いいだろう、ならば答えろ!」

「フッ…」


直子は肩までギリギリ届かない髪の毛を下からかきあげ、目を見開く。


「この子はみどりちゃんって言うんだよ!しかも不思議な力を使える妖精さんなのです!」

「いやバラしてどーする⁉︎」


つい数秒前に直子を信用した自分を殴りたいと思う優華であった。

最終的に、優華はみどりちゃんと出会った経緯から知っている情報は全て話すことにした。

始めはみどりちゃんに関して話すことを躊躇っていたが、この不思議な妖精は学生二人でどうにかなるものではないと優華は判断した。


(それにゆりちゃんなら、むしろ人が寄り付かないしバラすにしても、そもそも友達があまりいるとは…)


「気のせいだろうか?猫神優華、君は何か失礼なことを考えなかったか?」

「ギク!いえいえ!普段、私たちに良くしてくれているゆりちゃんにそんなこと考えるわけ…あ!」


優華は慌てて口を手で塞ぐ。理由は簡単、松川のことをあだ名で呼んでしまったためである。そして松川は生徒にそのあだ名で呼ばれると、なんだか馬鹿にされている気持ちになるのであまり好まないらしい。


「ゆり…ちゃん…?」

「すみません!で、でもゆりちゃんって言うのも可愛いくて良いと思いますよ!」

「うんうん!私もね〜、松川先生よりもゆりちゃんの方が親しみやすくて良いと思うよ〜」


必死に弁明する優華とフォローする直子。

しかし松川の耳には二人の言葉が届くこともなく涙目で肩をプルプルと震わせている。


「ゆりちゃんじゃないもん…!私は先生だもん…!う、ううぅ…」


「大丈夫、泣くことじゃないよ!ゆりちゃん!」

「あんたそれわざとでしょ⁉︎」


優華の叫びも虚しく、ゆりちゃん…失礼、松川

目は涙がいっぱい溢れている。


「ううう、うぇぇぇぇぇん!」


(猫神優華・高校一年生、入学してはや二週間、先生を泣かしました。)


その後、直子がよしよしやハグを駆使してなんとか号泣する松川を泣き止ませる。


「ひっ!ひっく!うっ、うう…」

「ドウドウドウ〜、よしよしよし、痛いの痛いの飛んでいけ〜」

「最初と最後の宥め方は違う気がするんだけど…」


そう思いつつも、松川を泣かせてしまった立場なので気まずくて指摘しづらい優華である。


「もう大丈夫、こちらこそはしたない姿を見せてしまった…すまない」


涙を拭い、サイフォンから受け取ったティッシュで鼻をかみ、何事もなかったかのように振る舞う。


「これは私の悪い癖だ。ほら、私って周りから結構近寄りがたい存在だって思われてるだろう?それは昔からずっと変わらないんだ」


涙や鼻水は拭えても、泣いた後の充血した目は隠せないので、優華たちに見られないよう俯き加減で話す。


「始めのうちは自分から関わろうと努力していたつもりだった。だが、次第に私な無理に人と関わる必要なんてないのでは、と思うようにもなった…それがこの有様さ」


松川は、はにかんだ笑顔を見せるが、優華や直子にはその雰囲気から無理をしているのだろうと読み取れる。


「全く、私という人間はどこまでいってもダメな奴だよ…あと二年もすれば三十路になるのに、人との会話に慣れていないがために、しかも年下に泣かされるとはーー」

「それでいいの?」


これまでの自分を吐露して嘆く松川を遮るように、問いかける優華。


「松川先生はこれからも、そのまま人と関わらない生活することになってもいいの?」

「良し悪しを問うまでもない、根本的に私が変わらない限り今と同じ人生を歩むことになるだろうな」

「だったら!」


優華は松川の両肩を握って乗り出すような姿勢で言い放つ。


「だったら変わろう!いや先生なら変われますって!今と同じ人生だなんて送らせるもんですか!」

「ねこ、がみ…⁉︎」

「松川先生、私決めたわ!」


言いながら優華は両肩を握っていた手を下に持っていき、松川の両手を包み込むように握る。


「なな⁉︎猫神!ててて手を⁈」

「いつか松川先生が素直に笑って人とお話しできるように今日から特訓します!」

「なっ⁈何を言い出すかと思えば、特訓だと⁉︎」

「その通りです!いい先生?これまでの人との接し方は忘れましょう!そして新しく、クールビューティーからマイルドビューティーになるためにも時間のある時に私たちとお話をたくさんしましょう!」

「く、クールビューティー⁉︎…いやしかしだな、私には科学部の運営という使命が…」

「科学部は部員がいないため活動休止だと聞いてるよ〜?」


すかさず直子が退路を塞ぐ。


「全く君たち、言ってることが無茶苦茶だぞ!それに…その…さっきから私の手を…」

「松川先生!」

「は、はい⁉︎」

「安心して、私が卒業するまであと三年もあります、人と関わる必要なんて無いとは二度と言わせない!松川先生を根っこから治してやろうじゃないですか!」


優華は隣にいる直子に振り向くと、少し困ったような顔をして問いかける。


「そのためには直子、あんたの力も必要よ、いいかしら?」


直子はその日一番の笑顔で全身で表現するように応える。


「うん!優華ちゃんのお願いならお安い御用!それにゆりちゃんが困ってらのなら尚のごとく!」

「き、気持ちは嬉しいが…本当にいいのか?

別に私は今すぐ改善したいとは思ってはいないし、それに長年この状態だから慣れっ子だぞ…?」

「松川先生、最初に言いましたよね?始めは変わろうと努力したって?」

「あ、ああ」

「それが既に答えじゃないですか、ずっと前の話かもしれないけど先生は変わりたいって思ったんでしょう?」

「……うん」

「大丈夫ですよ!時間はかかると思いますが、その変わりたいという気持ちがある限り私と直子が全力でサポートしますよ!」


そして優華はそれまで握っていた松川の手をゆっくりと離し、そのまま指切りの形にする。


「ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーら……どうしようかな?」

「じゃあ科学部に入部するとか〜?」

「そんなのでいいの⁉︎」


楽しそうな二人を見てクスッと笑みがこぼれる松川。


「ああ、構わん、もしも約束を破ったら君たちは卒業後も現役部員としてこき使ってやるからな!」

「げっ⁉︎それはますます約束を破れないわね」

「だといいが……あと…」

「あと?まだ何か悩み事でも?」


松川は顔を赤らめてもじもじしながら優華のことを見つめる。


「人に自分の悩み事を話しことがなかったから、それに聞いてもらった上に助けてくれるときた」

「ええ、もちろん!二言はありませんよ!」

「それにな」

「うんうん、それになんですか?」


すると、松川はそれまで指切りげんまんをしていた手を解き、今度は自分から優華の手を包み込むように握り返す。


「ま、松川先生?」

「あんなに、誰かに真剣に向き合ってくれたのは始めてで…その、何と言えば良いが…つまりだな!」


そして松川は先程とは異なる恥ずかしいがための涙を浮かべて叫ぶ。


「猫神優華!私は君に惚れてしまったようだ!」

「…………………」

「むむむ〜?」


しばし生まれる沈黙。その場にいる優華と直子は松川が言った言葉をすぐには理解することができなかった。

ちなみにみどりちゃんはというと、松川が号泣した辺りから理科室の壁際にあるメダカの水槽を興味深そうに眺めている。

そして、先に現状を把握した直子が口を開く。


「やるね、優華ちゃ〜ん!確かに私がゆりちゃんだったら、さっきの熱弁は熱烈な告白としても受け取れるね〜!」

「待って、違う!違うって!そんなつもりで言ったのではなくて、単に松川先生が心配で」

「心配、してくれたんだ…」

「そうだけども!なんか聞こえ方というかですね!なんだろう、おかしいなぁ⁉︎」

「…君ならゆりちゃん、って呼んでも…いいぞ?」

「ストップ!一旦落ち着きましょうか松川先生⁉︎そもそも私たちは女同士ですよ⁉︎」

「優華ちゃん〜、古来より愛のカタチは人それぞれなんだよ〜?」

「揚げ足取らない!」

「コレハ、トテモオメデタイコトデスネ!」


サイフォンは新たにコーヒーを注ぎ、その上からハートのラテアートを描き始める。


「だーかーらー!ちーがーうー!」


先程まではどんよりしていた理科室だったが、今はピンク色の漂う部屋へと様変わりである。


「とにかく!具体的な作戦は考えてあるので、そこちらの準備が出来次第また理科室に来ますね!」

「ほう〜?その決め台詞といい大胆な告白といい、今日の優華ちゃんはなんだか物語の主人公みたいだね〜!」

「…なんだか癪に触る物言いね…!」


今回はあくまでみどりちゃんの学校探索が目的であるため、いつまでも理科室に居座るわけにはいかないと考え、早急に理科室を後にしようとする。


「あー、そうそう」


優華は壁側に並んだ水槽の方へ行き、メダカを眺めているみどりちゃんを片手で掴み自分の頭に乗せる。


「もちろんあんたにも手伝ってもらうわよ?」

「??????」


どうやら単純に話の内容を把握していないのだろうと考え、直子のヘアピンを横目で視認してみる。


(直子のヘアピンは黄色を示してるから、一応ワクワクしてるのよね?)


「ではそろそろお暇させて頂きますね、松川先生。長々とお付き合い頂きありがとうございます。」

「ゆ、ゆりちゃんと!…呼んで…欲しい…!」

「またそんなこと言って!一度、正気に戻って下さい!他の生徒からすれば、松川先生はクールビューティなのですよ⁉︎そんな腑抜けた振る舞いを見られてしまったら、色々と面目が立たないでしょう⁈」


すると、松川はそれまでの照れた態度から一変、優華たちの知っている冷静な松川に戻る。

そして不敵な笑みを浮かべて言う。


「その計画は言わば君たちが私のために協力してくれる…そうだろう?」

「ええ、そうですが…?」

「なーらーば!」


松川は白衣の裾を大きくたなびかせ、高らかに宣言する。


「私がその計画に参加する義務は…ないよな?」

「まぁそうなりますね…何です?怖くなりましたか?」

「ええ〜!ゆりちゃん辞めちゃうの〜⁈」

「いや、私にも考えがあると言いたいのだ!」

「まぁ聞かせてもらいましょうか、その考えとやらを」

「フッ、大したことではない…これはあくまで取り引きだ」


再びポケットから指し棒を取り出し、長く伸ばした状態で優華の頭上にしがみつくみどりちゃんを指し示す。


「猫神優華!君には私のことをゆりちゃんと呼んでもらう!そしてその代わりに私はそのみどりちゃんとやらのことを他言しないと約束しようではないか!」


「なぁ⁈脅しですか⁈」

「たかが呼び名が変わるだけではないか〜、不満かね?」

「ぐぅ…わ、わかりましたよ!ただし理科室内にある時だけですよ!」

「構わん、よし取り引き成立だな!」

「なんだろう、釈然としないわね…!」

「え〜!私はゆりちゃんって呼んじゃダメなの〜⁈」

「つっこむところそこ⁉︎」

「優華ちゃんだけずるいずるい〜!」

「むぅ…温厚直子ならいいか、許可しよう」

「わ〜い!よろしくね〜ゆりちゃん!」

「データ更新、コレヨリマスターノ呼名ハ"ゆりちゃん"二変更サレマシタ」

「お前は違う!今すぐデータを書き直せ!」


今後の方針も決まったところで優華たちは理科室を後にする。

去り際に松川が「その、私は待ってるからなー!」と廊下中に響き渡るくらいの大声で言ってきたが、振り向くことなく次の目的地へと向かう。


「といっても、理科室に随分と滞在していたからそろそろ戻らないといけないわ」

「お部屋は二つしか周っていないのに楽しかったね〜」

「たしかに、私たちもこの学校に入りたてだからどの設備も長く詳しく見れてないのよね」

「みどりちゃん、第一回学校探索はどうだった〜?」

「…………………ガチャ、ベリーグッド!」

「今回はパネル方針なのね」

「楽しんでもらえたのなら良かったよ〜」


こうして優華たちの学校探索は終わり、そのままホームルームが開かれる教室へ戻る。

みどりちゃんはというと、昨日のようにまた突然と姿を消してしまった。姿が見られなくなる数分前にみどりちゃんは直子のヘアピンを指差し、こう言い残した。


「……………………またよべ」


これはみどりちゃんに認められたということなのか、はたまた一緒にいることで得があるのかは確認する術がない。それでも優華は少しずつだが、みどりちゃんと親睦を深められているのだろうと前向きに考えることにした。


(素直になれないのはお互い様のようね)


こんばんは!ばたじょです!

ここまで読んで下さりありがとうございます!


サブタイトルを見て、皆さんが"松川ってどんな奴だよ"と思い、読んだ後に"うわぁ松川かわゆい!"と手のひら返ししてくれると私も嬉しいです。


本来、第3章と第4章を合わせて一つの章だったのですが、字数がいつもより多くなってしまったので分けることにしました。すると、あら不思議、第4章の中身があるすっからかん!これじゃ投稿できないではないか!何か見どころを…!というエピソードから、クールビューティー松川という強烈なキャラクターか生まれましたとさ。


それでは第4章はここまで!お次は長い長〜い第5章でお会いしましょう!ばいばーい!

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