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優華とみどりと変人と  作者: ばたじょ
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第1章 出現!緑頭

第1章から読んで下さった方は初めまして!そしてプロローグから読んで下さった方はお久しぶりです!ばたじょです!


いよいよ始まります、本編です!長ったらしくプロローグなんぞ読ませよって!とか仰るあなた!ご安心を、というか聞いてくれ!ちゃんとプロローグも本編に繋がってるから!つまり読んでくれー!


おっと失礼しました。それでは本編始まりまーす!

優華が住む町は、駅周辺が栄えているものの、あとは住宅街という静かな所だ。日用品などは近所のスーパーやドラッグストア、小規模なホームセンターなどでどうにかなる。それらでは買い揃えることが難しい時には、電車を使って隣町に行かなければならない。平凡に生活できるという意味では、優華はこの町を気に入っている。だが、唯一納得できない点といえば…。


「おはよう〜相変わらず学校への道のりは果てしないですなぁ〜優華姫」

「おはよう直子…あんたは本当にいつ見ても元気だね」


登校中の優華に話しかけてきた親友、温厚直子(おんこう なおこ)に優華は適当に返事を返す。

直子と優華は中学生の頃からの付き合いである。時折、彼女は天然の人以上に変な口調や行動を見せるが苗字の通り温厚で優しい性格なのは間違いない。

中学生の時に、優華が高学年の男子生徒と口論になったことがある。男子の暴言に、優華が激情して猫耳と尻尾がバレそうになったことがある。そんな時に直子は優華の体質が露わにならないよう、なんとかフォローしてくれたのである。それ以来、優華は直子に対しては他のクラスメイトよりも、親しい気持ちを抱いている。中学校を卒業後、二人とも特に進路希望が無かったので、そのまま地元の同じ高校に進学した。優華のピンチを助けてくれた件と、その頃から今日まで共に過ごす期間が長かったこともあり、今では親友として互いに認め合っている関係なのだ。


「あ〜なるほど!今日は日直係だから優華ちゃん、朝早いんだね〜。」

「そこではいと答えたら私は毎回日直係になるんだけどー?」


早起きの習慣は中学生の頃から継続していること。付き合いの長い直子はそのことを知っているはずである。


「あれ…あーそうだったね〜」

「はぁ…本当にわかってるの?」


優華は長い付き合いなので流石に慣れているが、人によっては、直子のマイペース過ぎる会話に困惑する光景も珍しくない。彼女なりの考え…もとい、世界観があるのだろうと優華は解釈している。決して、思考放棄をしているわけではないということにしておく。

そんなこんなで、毎回早起き同士で登校している訳なのだ。


「お日さまが登って良い朝だね〜!これなら天まで続く階段も登りきれそうだよ〜」

「たぶん階段の先に待ってるのは三途の川よ」


ちなみに優華の納得できないことがある。それは、自宅から学校までの長い距離のことだ。

自宅から長らく直進した後、隣町へ行くための交通手段の電車が止まる駅へと向かわずに、通り過ぎて更に直進する。すると、駅を通り過ぎた先に長い坂道がある。その坂道をひたすら登っていくと優華たちの学び舎がある。

通学経路は徒歩のみで約60分。通学時間が苦行という宿命を、高等学校に入学してからまだ二週間の優華にはまだ受け入れられない。


「タクシーはお金がもったいないし、かといってバスや電車は使えないって…本当、どうかしてるわ」

「でもでも、私は早起きしてお散歩するの大好きだよ〜」


距離の長い通学路に愚痴をこぼす優華に対して、ニコニコした表情で汗を一滴も流さずに坂を登る直子。そして二人はようやく駅を通り過ぎ、いよいよ坂道に差し掛かかろうとしたその時、ふと直子が不思議そうな表情で優華の顔を覗き込む。


「優華ちゃんってヘアピンつけるんだね〜」

「ヘアピン???」


優華は後ろに髪の毛を束ねているので、ヘアピンは使わない。わけもわからず頭に手を当てると、ちょうど左側頭部に付けた覚えのないヘアピンがあることに気づく。不気味に思いながらも、頭のヘアピンを外して観察する。


「…私はヘアピンなんか持ってもいないのに…?」

「これはお顔かなぁ?」


不安な感情を抱く優華とは正反対に、直子はヘアピンを興味深そうに眺めている。確かに直子の感想通り、このヘアピンは何か子どものような顔のデザインがされている。全体的に緑色をしていて、よく見ると顔のパーツの中で目の部分だけがオレンジ色に光っていることがわかる。しかしそのヘアピンには、ネジで止めるなどの細工はされておらず、どのような仕組みで発光しているか不明だ。


「光るヘアピンって…交通安全の蛍光素材みたいだね〜」


と直子はいつも通りマイペースである。実際緊急事態が発生しても、直子はこの調子だろうなと短い感想を抱きつつも、優華は思い当たることが無いか思考を巡らせる。


「これってもしかして緑色がくれたヘアピン?」


最近良く優華の夢に出現する謎の緑色。無言で優華の手に差し出されたあの小さな手は今でも鮮明に覚えている。優華が思考を巡らせている側で直子は目をキラキラさせながら「かわいいね〜」と呑気に感想を述べている。


「あっそういえば、直子って最近ヘアピン欲し

いって言ってたよね?」

「うん?言ってたね〜」

「じゃあこれあげるわよ」

「えっ、いいの⁈」


直子が嬉しいリアクションをしている間に優華は最初自分についていた時のように直子にヘアピンをつけてやる。


「うん、やっぱり直子の方が似合うわね」

「そんなことないよ!でもありがとう〜」


否定しながらも、貰ったヘアピンが似合うと言われて嬉しさを隠しきれない直子。私もこんな風に女の子らしく振る舞いたいなぁ、と優華がぼやいている側で


「開け〜孫!」


と間抜けな掛け声を言いながら頭のヘアピンを手でこすり始める。


「どこのオヤジよあんた…」


直子のツッコミどころがありすぎる行動に、呆れるを通り越して微笑ましく感じる。マイペースな直子を見てると、昨晩の夢のこともどうでも良くなる。優華が思考放棄を試みようと思いながら、再び直子の方に顔を向けるとーー


「……………………」

「どうしたの〜??」


何か視界に変なものが見えた気がした優華だが、即座に違うことを考える。満開だった桜も、もう散って緑が芽吹いてきたなぁ…緑が芽吹いてきた…芽吹いた緑…緑。

もう一度直子を見る。いつも通りの穏やかオーラを纏う直子である。だがいつもと違う点がひとつだけ。


「直子、あんた頭らへんに何か違和感を感じない?」

「頭らへん?あっ、やっぱりヘアピン似合ってなかったかなぁ….」


喜びから落ち込みの顔になる直子。そしてうるうると涙目になる直子の頭部にはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

緑が芽吹いていた。いや、桜の話しに戻ったのではない。正確に言うと、直子の頭に小さな子ども?がしがみついている。子どもと言っても、そいつは頭の大きさが一回り大きく、その分背丈が低い。艶のある綺麗な緑色の髪の毛。オレンジ一色のジト目に、ぽかんと空いた口からは、どんな表情なのか読み取ることが出来ない。首元によだれかけのようなものがかけてあることから、この緑色はまだ乳児くらいだろうかと推測される。


「頭!直子、頭触ってみ!」

「ほえ?」


涙目の直子は、恐る恐る頭に手を伸ばす。モゾモゾ…

直子の手のひらは、緑色の艶やかな髪の毛に吸い込まれるように触れる。


「むむむっ⁈」


ようやく自分の頭部に、物理的な異変が発生していることに気がつく直子。そして緑色の髪に侵入している手を、子どもの脇の下に滑らせるように下ろしてそのまま抱き上げる。


「….……………………………………」

「………………………………………」


無言で見つめ合う二人。とりあえず進展を待つ優華。

先にアクションを起こしたのは直子だった。


「か……………………」

「か???」

「かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「かわ⁈どひゃぁ!」


いきなり大声を出されて驚きのあまり腰を抜かす優華。長い付き合いとはいえ、これまで直子がここまで大きく感情を表に出すことはほとんどなかった。そのため、親友の大声とオーバーリアクションで、優華は二重に驚いていた。そんな親友をよそに、直子は謎の緑頭に夢中らしく、顔だけでなく体中の隅々まで観察しているようだ。


「こいつ、そんなにかわいいと思う?」

「かわいいよ!ツヤツヤでサラサラした髪の毛とか、何を考えてるかわからないお目目とか、手と足に付けてる手袋みたいなのとか!」


聞いて後悔する優華。この調子ではいつまでたっても話が進まないし学校にも行けない。


「ね、ねえあなた…あー日本語わかる?」


仕方なく話しかけてみるが、まず日本語が通じるのだろうか。だって髪の毛緑色だし。それに優華が疑問に思っていることは、その派手な髪色だけではない。なんとも言えないが、優華にとってこの緑頭は、人間ではないのではないかと思っている。根拠は無い、しかしこの妙に落ち着いた雰囲気とか…とにかく凄いオーラのようなものを直感的に察知する。

優華の問いかけに緑頭は数秒の沈黙後、コクンと1つの頷きで応える。


「おお…!じゃあ今からいくつか質問するけど大丈夫?」

「……コクン」

どうやら話が通じるようなので、ひとまず相手に当たり障りのないような点から質問する。


「じゃあまず1つ目、あなたは何処からやってきたの?」


優華からしてみれば、この緑頭は突然目の前に出現したとしか思えない。1つ目からぶっ飛んだ回答を返されたらどうしようかなと思っていたりする。

緑頭は下から上に両手を広げ、そして下ろす。


「….….……………………………」

「……………………………………」

「えっ?終わり⁈」


どうやらこの緑頭、言語でのコミュニケーションが不可能らしい。大体察していたが、まさかのジェスチャー。しかも雑である。


「ま、まぁいいわ…じゃあ次の質問!あなたはの名前は?というか何者⁇」


心の中で、既に緑頭と勝手に決めつけているが、その通り呼ぶのは失礼だと思う。それに名前さえわかれば、正体をつかめずとも何かわかるかもしれない。

優華の問いに、緑頭はまたもやジェスチャーを行う。両手を頭に乗せ、自分の髪の毛を掴むと、上下にフサフサと動かす。数秒この動作を続けて手を下ろす。


「…………………………………」

「…………………………………」

「ええっ⁈もう終わり⁈」


100人が見ても伝わらないようなジェスチャーに振り回される優華。すると、今まで2人のやり取りを楽しそうに観覧していた直子が、挙手をして答える。


「はい!わかりました!ずばりこの子のお名前は〜……みどりちゃんです!」

「….あんたそれ本気で言ってる?」


優華は呆れながら緑頭の反応を伺う。


「…ガチャ、ピンポーン!」

「いやあってるんかい!というか頭のそれ何よ⁈」


昔のクイズ番組のように、頭から赤で○印の書かれたパネルを出すみどりちゃんに、思わずツッコミを入れてしまう。駄目だ、問答を続けるほど謎が深まるばかりである。


「えーっと、みどりちゃんだっけ?とりあえず私たちは学校に行くから!御縁があったらまたいつか!」


優華は無理矢理会話を打ち切ると、隣にいる直子の首根っこを引いて、そそくさと学校へと向かう。


「ゆ、優華ちゃん⁈みどりちゃんは〜!?」

「そんなのほっときなさい!関わらない方が身のためよ!」

「でも可愛かったよ〜?」

「いいから行くわよ!」


面倒事になる前に退散したい優華は、直子の言葉を適当に聞き流す。

平凡な高校生活が始まり早二週間、目の前に突如現れた謎の生命体みどりちゃん。まさか自分の猫耳・尻尾体質意外にも、非現実が起こりえるとは思ってもいなかった。

親友を引きずり学校へ全力疾走しながら優華は祈る。


(どうかあの緑頭と出会いませんように。)


こんばんは!ばたじょです!

ここまで読んで下さりありがとうございます!


後書きって何を書けばいいんだよーという悩みを良くネットで見かけます。大丈夫です、私もわかりません!ですがわからないからといって疎かにするわけにもいきませんので、前回は小話をしましたが今回はこの作品の誕生秘話を一つ。


元々私はスマートフォンのペイントツールで絵を描くことが趣味でした。はじめの頃は無我夢中に動物ばかりを落書きしていたのですが、とてもハイクオリティな人物画を見るたびに、私も触発されて今は人物画を中心に描いています。

実は、この作品の始まりは、その時に描いていた一枚のイラストがきっかけでした。

絵を描く時に私の中でのルールがあるのですが、その中の一つが"ストーリー性のある一枚を描く"ことです。大した理由ではないですが、私が上半身イラストを描かない理由と同じで、それではつまらないと思ったからです。他の人が上半身イラストを描くことは良いのですが、自分が描くなら、画力が低い分、見た人が数秒でも長く見てくれるようにストーリー性を込めようと思ったのです。

そしてその時に描いたのが、まだ名前も決まっていない主人公・猫神優華とその父親・健介でした。内容は優華が怒って健介の顔面を警棒で殴るという謎の構図です。興味があれば探してみてください。


それでは後書きはここまで、改めて最後まで読んで下さりありがとうございます!

次は第2章でお会いしましょう!ばいばーい!





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