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優華とみどりと変人と  作者: ばたじょ
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プロローグ

初めまして、ばたじょと申します。


見る人が人がが笑えるような作品を常にモットーとして主にイラストと小説をコツコツと作成しております。


今回は初の小説投稿ということで、読書様と顔を合わせる訳ではないのに何故か緊張している私です。


さあ、それでは前説など読み飛ばして、少しでもこの作品を閲覧して頂けたあなたに楽しい時間を提供出来たらと思います。


それでは後書きでお会いしましょう!いってらっしゃいませ!




最近、不思議な夢を見る。


いや、実際夢に見る内容は怖いものに追いかけられたり、時には願望が成就されたり……。

 現実において起こりえない不思議なものばかり。

 

 でも近頃見る夢は不思議な内容だけど、温かい気持ちになれる。

 それもそのはず。それは母親の夢だからだろう。


 だけど私は母親と話したことはない。病弱だった母親は私を出産してすぐに天国へと旅立っていった…らしい。

 物心ついた頃、母親の顔を遺影で知った。そして私には母親がいないことを幼いながらに理解した。


 夢に出る母親の姿は濃い靄がかかっていて良くわからない。そして、母親の隣にいるのは父親と…誰?


 母親のシルエットよりも、更に靄がかかっていているため良く分からない。分かることは、それが子どものように小さくて緑色で…。そう、近頃見る夢とはこの緑色の存在である。

 しかも、母親が夢に出る時には必ず登場するのだ。

その度に夢の中にいる私は緑色に問いかける。


「あなたは、誰…?」


私の呼びかけに反応したようで、その緑色はこちらへと歩いてくる。そして私の足元まで来るとその足を止めた。


 それはとても小柄で、バスケットボールを2個積み上げたくらいには小さい。


 緑色は見上げるようにこちらの顔を眺めているようだ。


ここまで近くにいるのに夢のせいか、私にはその緑色が鮮明に確認することができないようだ。いつもならこのシーンで不思議な夢は終わる…はずだった。


 なんと、今回の夢はまだ続きがあるようだ。


緑色は私の顔をひとしきり眺めた後、右手を握った形で差し出してきた。


 なんだろう?と思いつつも、私は緑色と同じ目線の高さになるようにその場でしゃがむ。

 恐る恐る緑色へと手を差し出すと、緑色から私の手の平へとキラキラしたものが手渡される。


「これは…写真?」


視界に霧がかかっているようで、写真もぼやけて見える。


私が再び緑色へと問いかけようとしたその時____________


 ピピピピピピピピピ!


 耳障りな音が現実に引き戻す。


「あーもうやかましい!良いところだったのに!」


毎朝決められた時刻に奏でる騒音に耳を塞ぎこみ、猫神優華(ねこがみ ゆうか)はいやいやと目を開ける。

時刻は6時、今日は週の始まりの月曜日なので、学校に行かなくてはならない。

カーテンの隙間から差し込む太陽の光を浴びて、意識と共に身体が目覚める。

四月の初旬。徐々に温かくなる季節とはいえ、朝の6時半ともなると流石に冷え込む。

両手を擦り、頼りない摩擦熱で温まりながら洗面所へと向かう。ここからはいつもの日課。顔を洗い、歯を磨く。そこで完璧に目が覚めると、再び自分の部屋に戻り学生服へと着替える。

そして朝食を済ませるために、二階の部屋から一階の喫茶店へと降りていく。

優華の実家では、午前の10時から夕方18時にかけて小さな喫茶店を営業している。喫茶店と言っても、若者やサラリーマンがたくさん集まるような、都心で見かける広い喫茶店ほどではない。

例えるならそう、おじさんやおばさんが集まるような小規模なカラオケボックスを想像してもらうと良いだろう。

そんな小さな喫茶店の名前は"Time of peace"。喫茶店創設時に肝心のタイトルを考えておらず、慌てふためく父親をよそに、母親がお客様にやすらぎの時間を提供したいと言いだしそのまま直訳で"Time of peace"らしい。

既に起床している父親が朝食を作り終えた父親がカウンターで仕込みを始めている。


「パパおはようー」

「優華、おはよう」


朝の挨拶を済ませて、3人分の朝食が用意されたカウンターへ向かい席に着く。

今日の朝食は、少し硬めに炊かれたご飯に、黄身が固まらない程度に焼かれた目玉焼き。目玉焼きと同じ皿には、ウインナーが3本添えられていて、最後に味噌汁、といったごく普通の朝食である。

父・健介(けんすけ)の朝の仕込みの物音を聞きながら朝食を食べる。

ちなみに朝食が三人分あるのは健介、優華、あと1人は優華の義妹である風華(ふうか)の分だ。

中学二年生の風華はというと、自宅から徒歩10分の距離に学校が位置することもあり、今日も遅刻ギリギリまで眠りこけているようだ。そんな生活習慣を送っている風華だが、これまでの遅刻回数は0である。納得できない。まぁそんな実績を継続しつつある風華なので、健介と優華は口出しをすることはない。


「ごちそうさまでした」


妹不在での朝食を済ませ優華は食器を重ねると、カウンターのすぐ側にある洗い場に持っていき、汚れが落ちやすいように水を漬ける。

すると健介が仕込みの手を動かしながら問いかける。


「味はどうだった?」

「いつも通り美味しゅうございましたー」


特に他愛のないやり取りだけど、私はそんなコミュニケーションも悪くないと思う。

ちなみに健介はというと、基本的に一緒にいてうるさすぎるくらい明るい性格をしている。しかし毎朝の仕込みの時間だけは、日中に見せる姿と変わって無言で作業を行う。この姿勢の理由は、生前の優華の母親・猫神輝(ねこがみ あきら)の口癖が影響しているらしい。


『備えあれば憂いなし』


今となっては、健介がそのことわざを口癖のようにすることが多い。その姿勢は輝の生き方に感動したためか、それとも輝のことを忘れないよう、健介なりの配慮なのかは優華にもわからない。

思えば、優華は輝がどんな性格で何が好きでどのような生き方をした人なのか、実の母親であるのに輝に関する情報はほぼ皆無に近い。

だが、そのことに優華が疑問を抱いたことは一度もない。それは出産後から今日までの間、健介が一人で頑張ってくれたから。他の家庭と異なり、母親がいないことなど気にならない。

食器を片付け終えた優華は、特にやることもないので、いつもの登校時間よりも早く家を出ることにした。

学生鞄を持ち玄関へと向かう。そんな時、仕込みの途中であるはずの健介が見送りに来た。そしていつも通りの忠告をされる。


「外では耳と尻尾、出さないように気をつけてな」

「はいはーい」


この忠告は今日で一体何百回目だろう。だがそれも優華の身を案じての忠告。健介を除く猫神家の血を引く優華は、感情が高ぶると、どういうわけか猫耳と尻尾が生えてくる体質にある。まぁ一時的に生えてくるだけで特殊な力を扱えたり、奇怪な現象を起こすことはできない。しかし普通の人間が頭から猫耳やお尻から尻尾など当然生えているはずがない訳で、今日まで外部の人たちにその秘密を隠し通すように努めている。

優華は玄関の扉を開け、外に出る。扉を開けると眩しい日差しと共に、まだ少し冷たく感じる空気が入ってくる。


「あっ、そういえば今日の日直は私と直子だった」


早起きの習慣がついているせいか、日直がある日は早めに登校するという思考が無い。時には日直の仕事を登校後に思い出すこともある。

そしてまた、平凡な日常を送ろうとしている優華であったが…。

これから出会う不思議な存在を中心に展開される非日常が始まることを、この時優華はまだ知る由もない。


改めまして、こんばんは!ばたじょです!


こんばんはと言ったのは私が執筆する時間がいつも仕事終わりの夜だからです。


後書きとはいえ、今回はプロローグですので特に語ることはありません…と言って終わらせるのも勿体ないので小話を一つ。


私は職業柄、子どもと良く接する機会が多い環境で働くことが多いです。そのため毎日が色々なエピソードとの出会いに恵まれています。

そんなある日のこと、子どもたちの中で英語で歌われる鮫の歌が流行っていました。子どもたちはその歌を聞いてからは鮫の絵を描いたり、歌を歌ったりと、鮫に関心を待ち始めていました。すると、子どもの中で一人、他の子よりも鮫に関心を持った男の子がいました。彼は私に言ってきます。

「僕ね、鮫さんのお名前たくさん知ってるんだよー!」

「へえ、すごいね!鮫さんって色んな仲間がいるからねー、シュモクザメとかホオジロザメとか…シュモクザメは英語でハンマーヘッドシャーク言うらしいよ」

「すごいすごいー!じゃあさ」

「うん、何かな?」

「春雨も鮫さんの仲間なんだよね⁉︎」

「え…」


その時、私の思考は数秒間止まってしまいました。春雨、春雨かあ…なんてよくわからない気持ちに満たされた後、彼にはしっかりと鮫と春雨は仲間ではないことを教えましたとさ。


長々と失礼しました。ここまで読んで下さったあなたに感謝を、それではいよいよ本編、第1章の始まりです。お次はそちらでお会いししましょう!ばいばーい!

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