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メンタルブレイク  作者: うんち
入院患者
4/4

絶望少年


その少年は、見る限りは、普通の少年だった。

ただ、いくつかの点を除いて…。


女性のように少し長い青い髪に、緑の目。

身長は、10歳にしては高い、体格は細身。

日本人にしては珍しい色をしている。

おそらく、純日本人という訳ではなさそうだ。

というのも、明確な情報を得られなかったのだ。


"本来あるべき情報が存在しない"


と言うべきか?


彼が、どこで生まれ、どこで育ったのか?

何一つとして情報が存在しないのだ。

あるのは、"彼という存在"と"彼が異常だという疑惑"だけ。

なぜだ…?こんなケース初めてだ…。

ふぅ。と深呼吸する。


「こんにちは。初めまして。私は、この病院の委員長、迫間田(はざまだ)。今日から、君の担当の一人さ。よろしくね。」


軽く挨拶をする。

相手が、どんな人間かが全くわからない。

まずは、情報を聞き出すために信頼させるところから始めるとしよう。


「…」


少年は、何も言わずに、首を前へコクリと動かした。


「はじめに…君の名前は?」


芙蓉千景(ふようちかげ)


「誕生日は?」


「9月10日」


「うん。大丈夫なようだね」


少年は、自分を知らない訳ではないようだ。

言葉も冷静でハッキリしている。

常に頭に血が上って前が見えなくなるタイプではないようだ。


「それでは…千景くん。君は、話によると、10人ほどの人を殺めたと聞く。それは、本当かな?本当なら、どうやって殺したんだい?」


クスクスと笑う。

こんな状態で患者が笑うのは、よくある事だ。

信じ難いが、彼が人を殺めたのは可能性としてはありそうだ。

さぁ、君はどうやって殺した?

私は、息を呑みながら、その答えを待った。


「クスクス…違うよ、先生。僕が彼らを殺したんじゃないよ。彼らが自らを殺したんだよ?」


少年の答えは、10歳とは思えぬ残酷な答えだった。


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