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眠りの庭の夢幻姫  作者: みかげ
1章 邂逅
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第6話. 消滅

遅くなりましたー!

気が向いた時にたまに書いてる感じなので(≧□≦;)

一番手(ファースト)が再び地面を蹴り、肉薄する。

最初の突進より速かったが……愛剣を手にした今では、俺の方が速い。


俺の愛剣、魔剣ブラックアイリスは使用者の空間把握能力、知覚能力を引き上げてくれる。


そのため、強く集中すれば攻撃を見切る事が出来る。応用すれば、動き出す前に回避に移る事さえ出来るのだ。


俺は相手の体勢、重心などを観察しながら、軽くバックステップする。

刹那、寸前まで俺の首があった空を剣が虚しく横切る。


「フォォオオ!!」


避けられたのが悔しいのか、一番手は憤りを混ぜた声色でけたたましく叫びながら、

矢継ぎ早に剣を振り始めた。

俺はその悉くを弾いて防ぎ、時に突きを織り交ぜて攻撃をする。


一発、もう一発と当てるうちに、一番手の動きが鈍ってきている。

どうやらきちんとダメージが蓄積されているようで、勢い任せの、雑な攻撃になっていた。


(どうやらもう一押しのようだな。………ん?)


剣を乱雑に振っていた一番手が、突然わずかに飛びのいた。

上段に、垂直に剣を構え―


「―――っ!?」


掲げられた剣が緑色の光を纏い、今までとは段違いの速さで振り下ろされた。

かろうじて見切る事が出来、すんでのところで回避した。本当にギリギリだった。

(あぶないな……隠し技があったのか)


今度は左へ水平に構え、水色に発光する。

先ほどと同系統の攻撃がくると判断し、左へ大きくジャンプ。


ほんのわずかに足先を掠めた気がしたが、致命傷は避けられた。


「直撃したらやばそうだな……痛っ」


大きく回避した反動で、最初に攻撃を受けた左肩が痛む。


思わず顔をしかめる。

「!」


緑色の光が見えたため、俺は咄嗟に前に転がる。

さっきまで俺が座っていた場所に剣が突き刺さり、地面がえぐれた。


「何っつー火力だ……てか、連続で使えるのかよ、そんな大技を」


俺は悪態をつきつつ回避に専念する。初見でひるんでしまったが、冷静になれば対処できない速さじゃない。まぁ速くなった事は変わらないけどな。


ふと、俺は妙案を思いついた。

イメージが重要なこの世界だ、もしかしたら真似できるのでは?


「こうやって……ふっ!」


横に構えて、剣に意識を集中し、先ほどの光景をイメージとして強く想像する。

想像したとおりに、意識に任せて剣を振るってみた。

俺の剣は、水色に発光しながら、相手の胴にクリーンヒットする。


「ヴォオオアア!!」


よし、できる!連発は……

俺は剣を切り返しながら同じイメージを投影する。

すると面白い事に再び水色に発光し、俺の剣が吸い込まれていく。

―幾度も繰り返すうちにわかった事がある。

発光する色は斬り方ごとに固定のようだ。

上から振りかぶると緑、水平に振りかぶると水色、突きのイメージは青のようだ。


一番手はすでに満身創痍であり、その攻撃はもはや脅威ではなくなっていた。

止めを刺すため俺は突きを繰り出す。――しかし、届かなかった。


「!?」


上から黒い何かが落ちてきて、防いだのだ。よくみると、人のようだ。

吸い込まれそうな漆黒のフーデットケープ。赤くて長い前髪。深紅色の布でおおわれていてその目は見えない。

その手に握られるのは真紅色の片手直剣。


そいつは俺を一瞥すると同時に姿が消えた。


「ヴォォグ!?」


一番手が突然悲鳴をあげた。背骨、胸骨を貫くように、真紅の剣が突き立っている。


「ヴォオオァァァァアアアアアア!!!」

ところどころノイズが混じったいびつな悲鳴をあげたとたん……一番手は赤い破片になった。


「……勝手に抜け出されたら困るンだよ。つーわけだ、お前達全員、いただくぜ」


「一体なにを……っ!」

するつもりだ、と聞くまもなく姿を消し、オブジェの方で待機していた魔物が全て、ほぼ同時(・・)に消滅した。


「次は、お前らだ!」


「キャァァァァ!」

「うわぁぁぁ!」


ハイアを初めとして、動けなくされていた仲間達が、次々と赤い破片となって消滅した。


「アハハハハァア!大漁だ、こりゃぁいいぜ」

そいつは、狂ったように笑いながら真紅の剣を掲げてそう呟く。

ゆっくりとこちらへ振り返り、耳障りな声で話しかけてくる。


「そう恐ぇ顔すンなよ……壊したくなるからよ。安心しろ、お前もすぐに往くんだよ」


なぜかはわからないが、こいつと対峙すると背筋が冷たくなる。

あまりにも自然に、恐怖を覚えている……?

「お前は、一体……?」


「そうだなぁ…冥土の土産に、生涯忘れらんねぇようになる呪いの名前をくれてやろう。俺は―」

そう呟きまた消えた。


不意に、体が熱いのか、冷たいのかわからなくなる。


なぜだ。なぜ俺の胸から真紅の剣が……ああそうか。勝ち目なんてないのか……

不意に耳元で囁かれる。いつまでも耳に残るような声で。

破壊者(アバドン)だ』


直後、俺の体が消滅した。


第一章は以上です!

次回から、別の章に入ります。

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