殺人ロボット
みなさん、こんにちはです。
久しぶりの投稿です。
長い間投稿していなくて、本当にすみませんでした。
今作は、私の傑作である、ホラー×バッドエンド×グロ小説です。
なので、ハッピーエンド好きな方、ホラー・グロ系が苦手な方は、申し訳ありませんが、回れ右をして下さい。
ここはデスシー町という残酷な町。
この町には“スティーブ博士に反対する者は殺してしまえ”という主義があった。
スティーブ博士という人物は、根っからの悪人であり、この町のボスでもある。
彼は他の国や町を乗っ取る為、自分のアジトで、“殺人ロボット”を発明していた。
怪物型、犬型、車型など、色々な殺人ロボットを作り上げた。
彼は多くの弟子(弟子というか家来)を持っていた。
今、彼に反対していたある一家が、殺人ロボットの実験台として、監禁されている。
一家の娘である、ヴァイオレットだけがまだ生き残っており、彼女の両親は殺人ロボットにより殺された。
ある日、スティーブ博士は、殺人ロボットをまた一体発明した。
今回は少年型だった。
「よし、できたぞ!また殺人ロボットの誕生だ!」
博士は完成した少年型殺人ロボットを早速、ヴァイオレットが監禁されている部屋に置いた。
彼は少年型ロボットに“マイリー”という名を与えた。
マイリーはまるで本物の人間みたいな容姿だった。
しかし、結局は殺人ロボットだから、マイリーの腕の中には、殺人用のオノや爆弾が内蔵されていた。
その後、マイリーは起動した。
閉じていた瞼を開き、とても殺人ロボットのものとは思えない、純粋な水色の瞳が現れた。
そして、手の平から、内蔵されているオノを出して、ヴァイオレットに近づいた。
縄で縛られているため、ヴァイオレットは逃げることができなかった。
彼女は、オノを片手に近づいて来る恐ろしいロボットを見て、己の運命を悟り泣いた。
同時に、両親の残酷な死と恐怖を思い出した。
ついにマイリーは、ヴァイオレットの手首を掴んで、オノを振り下ろした・・・。
ーーーーーーーーーーー
と、思っていたが、マイリーがオノで切ったのは、手首ではなく縄だった。
ヴァイオレットは、怖くてそらしていた目をマイリーに向けた。
見ればなんと、マイリーが縄をほどいているではないか。
彼は彼女を殺すどころか、助けていた。
(えっ・・・・・・。)
内心、逆に驚いたヴァイオレット。
この様子を見ていた博士は、
「くそお!あのガラクタは何をしているんだ!」
と怒った。
すると彼はチップケースという鉄製の箱を開けた。
チップというものは、ロボットの性格や機能である。
例えば、料理チップをロボットに埋め込めば、そのロボットは料理ロボットになるのだ。
「やっぱり・・・私が先週に暗殺したジャクソンにもらった感情チップを埋め込んでしまった!くそ・・・!」
そう、博士の誤りによって、マイリーには殺人チップではなく、善良の科学者である、ジャクソン博士が持っていた感情チップが埋め込まれていたのだ。
「大丈夫?」
全ての縄をほどき終わると、マイリーはヴァイオレットに声をかけた。
最初は怯えていたヴァイオレットだったが、しばらくすると、
「ありがとう。」
とお礼を言った。
そして、涙を拭った。
「僕はマイリー。君は?」
「私、ヴァイオレット。助けてくれてありがとう。」
「いったい何があったの?」
「私、悪い人にずっとここに監禁されていたの・・・。」
「連れは?」
「お母さんとお父さんは、悪い人が作ったロボットに殺されたのよ・・・。」
そう言うとまたすすり泣くヴァイオレット。
「そうなんだ・・・。」
マイリーは、みなしごであるヴァイオレットを哀れに思った。
それと同時に、彼女を救いたいという気持ちが湧いた。
「でも、いつかは、私の祖母であるベルおばさんに会いたい!」
「だったら、ここを抜け出して、会いに行こうよ!」
「だけど・・・そんなこと、本当にできるの・・・?」
「できるよ!僕と一緒に行こう!」
「いいの・・・?」
「もちろん!これ以上僕は、君が悲しむ姿は見たくないよ。」
「マイリー・・・。」
ヴァイオレットはこれまで感じたことのないものを感じた。
「ありがとう。じゃあ、一緒に行こう・・・!」
雫だらけの真っ赤な顔に笑みを浮かべた。
「ベルおばさんは、隣町のジェストに住んでるわ。」
「よーし、そうと決まれば、早速行こう!」
マイリーはそう言うと、今度は、手の平から爆弾を出して、それを部屋の壁に投げつけた。
ドカーーン‼︎
壁は崩れ、脱出口があらわれた。
ヴァイオレットとマイリーは監禁部屋から、博士のアジトから逃げ出した。
チップケースを見ていた博士はそのことに全く気づいていない。
脱走した2人は、たまたま汽車を運転しているおじさんに会った。
「おじさん。」
マイリーがおじさんに声をかけた。
おじさんは2人を見るなり、こう尋ねた。
「どうしたんだね?」
「あの、私達、隣町のジェストに行きたいんです。乗せてくれませんか?」
ヴァイオレットが言った。
「いいだろう、乗せて行ってやろう。」
「ありがとうございます。」
「いいよ、いいよ。そーいや、お前さん達、スティーブ博士に反対しとるか?」
「はい、もちろんです。」
「実はわしもじゃ。バレたら殺人ロボットの実験台にされてしまうんじゃ。さあ、乗って、乗って。」
2人はおじさんに軽くお辞儀をすると、汽車に乗り込んだ。
その後、汽車はジェスト町を目指して走り始めた。
汽車が走っている間、2人はおじさんと雑談をすることに夢中だったので、今汽車が走ってるこのデスシー町が、不気味な霧に包まれていることに気づいていなかった。
汽車はゆっくりと走る。
黒い煙を空気中に放り込みながら。
乗っていること40分経った頃には、2人は霧に包まれた町の中を少しずつ進む汽車の中で眠りについていた。
しばらくして、2人は眠りから覚めた。
汽車は今丁度、トンネルをくぐっていた。
「お2人さん、もうすぐ着くぞ。」
「本当ですか⁉︎」
ヴァイオレットは希望に満ちた瞳でおじさんを見て尋ねた。
「ああ、本当じゃよ。」
「よかったね、ヴァイオレット。」
「うん!ありがとう!」
先程まで、あんなに泣いていた少女は今じゃ、すっかり元気になっていた。
これでもう、辛い思いをしなくていい、恐怖しかなかった日々から解放される、大好きなベルおばさんに会える、そう思ったのだろう。
だが、その希望も、この後の出来事により一気に砕け散った。
突然、銃声が鳴り、同時におじさんの腹から紅い血が吹き出た。
「キャアアアアアアアアー‼︎」
目の前の光景が怖すぎた余り、ヴァイオレットは絶叫した。
マイリーもかなり驚いていたが、必死に冷静さを保とうとした。
すると、マイリーとヴァイオレットの前に、銃を持った2人の男が現れた。
どうやら、おじさんを撃ったのは、彼らのようだ。
「我々は、スティーブ博士の部下だ。大人しくここへ来い!」
男の1人がマイリー達を脅迫した。
おそらく、2人が脱走した事に気付いた博士が、部下である男達に、2人を捕まえろと命令したのだろう。
それでも、マイリーは、諦めようとはしなかった。
「ヴァイオレット、伏せて。」
おじさんが銃殺された事により、監禁されていた時の事が蘇り、怯えるヴァイオレットの頭を優しく撫でて、少年型ロボットは言った。
ヴァイオレットはマイリーのいう通りにする。
するとマイリーは、汽車の運転席にもたれかかっている死体をどかして、自分が運転席に座ると、汽車の運転を始めた。
そのスピードは、とても速かった。
しかし、男達の判断も早かった。
爆弾を取り出して、走っている汽車に投げつけた。
ドッカーーン!!!
爆弾が爆発して、汽車は崩壊し、マイリーとヴァイオレットは、吹っ飛ばされた。
その後、2人は男達に確保され、博士のアジトへ逆戻りとなった。
こうして、脱走は失敗に終わったのだった。
博士の部下である男達に捕まった2人は、小さな部屋に監禁された。
マイリーは、身動きが取れないように、頑丈で強力なガラスケースに入れられた。
少年型ロボットは、これを壊す事を試みたが、結局駄目だった。
「ハァ・・・。やっぱり、ベルおばさんには会えないんだわ・・・。」
深いため息をつき、涙目でヴァイオレットは言った。
「そ、そんな事ないよ!諦めないで!一緒にベルおばさんの所に行くって、約束したじゃないか!」
マイリーは、こんな状況でも、諦めようとはしなかった。
彼女をおばさんに会わせてあげたいという気持ちは、相当強いもののようだ。
「さて、このガラクタを始末しよう。」
あのスティーブ博士が、部屋に入って来てそう言うと、マイリーが入っているケースを持ち上げて、部屋を出ようとした。
マイリーは抵抗したくても、ケースの中じゃ何もできない。
このままじゃ、確実にマイリーは始末されてしまう。
しかし、ヴァイオレットは黙ってはいなかった。
手を縄で縛られているにも関わらず、彼女は博士に体当たり攻撃をした。
ヴァイオレットの攻撃を食らった博士は、思わず、ケースを下に落とした。
そのおかげで、ガラスが割れて、マイリーは自由の身になった。
「何をするんだ!このバカ娘が!」
博士は怒鳴って、ヴァイオレットを殴り飛ばした。
飛ばされたせいで、ヴァイオレットは部屋の壁で頭を打った。
それを見たマイリーは、博士に掴みかかった。
「放せ!ガラクタが!」
博士はマイリーを突き飛ばすと、近くにあったヘルメットを取って被り、白衣の右ポケットから小さいリモコンを取り出した。
「フハハハハ。あばよ、バカ共。」
そう言って、リモコンの赤いスイッチを押した。
その瞬間、アジトが丸ごと爆発した。
ドッカーーーーーーン!!!!!
「グハハハハハハハ!このヘルメットはさすがだ!アジトは他にもあるから大丈夫!ざまあみろ!醜いガキ共が!フハハハハ!」
博士は、笑いながら叫んだ。
そう、彼には余裕があった。
他の場所にも、彼のアジトはあるのだ。
そして、何故アジトは爆発したのに、博士は平気なのかというと、それは、このアジトを爆破させる前に、博士が被った特殊なヘルメットのおかげだ。
博士が笑い声をあげている中、マイリーは、アジトが爆破した時に失った意識を取り戻した。
少年型ロボットの身体は、もう傷だらけだった。
でも、マイリーは立ち上がって、ヴァイオレットを捜し始めた。
「ヴァイオレット!」
今日初めて出会ったばかりのヴァイオレットは、マイリーの中では、守りたい、大切な人という存在であった。
爆破される前までは、アジトであったがれきをどかして、マイリーは彼女の捜索をする。
だが、いくら捜しても、彼女はいなかった。
「ヴァイオレット!どこにいるの!」
そう言った時、倒れている人影を見つけた。
マイリーはその人影に駆け寄って見る。
「ヴァイオレット!」
その人影は、ヴァイオレットだった。
「大丈夫!?ヴァイオレット!」
彼女も傷だらけで、しかも弱っていた。
マイリーは、何か彼女の身体を治せるものがないか、捜した。
でも、そんなものはどこにもなかった。
ヴァイオレットを不死身にできる薬か何かがあったらいいのにと、マイリーは思ったが、それはマイリーの頭の中だけにあり、この世には、この場にはなかった。
「マイ・・・リー・・・。」
弱々しい声でヴァイオレットは言う。
「ヴァイオレット!しっかり!」
「私・・・もう・・・駄目・・・。」
「そんな悲しすぎる事言わないで!」
マイリーはこんな現実を否定したくて、千切れんばかりに首を何度も左右に振った。
「ご・・・めん・・・。」
「一緒にベルおばさんに会いに行こうよ!」
「もう・・・いいの・・・。私は、マイリーに・・・いっぱい助けてもらったから・・・。」
「お願い!死なないで!」
「私、嬉しかったよ・・・あなたみたいな優しい人に・・・出会えたから・・・。」
「・・・ヴァイオレット!」
「私・・・マイリーの事・・・好きだよ・・・。」
ヴァイオレットは薄れていく意識の中で、想いを伝えて、マイリーに笑顔を見せた。
そして、マイリーと過ごした僅かな時間を思い出した。
マイリーの目尻から、涙が流れる。
その涙はヴァイオレットの顔に落ちる。
「僕も君が好きだ!だから・・・!だから・・・!」
「私は幸せだったよ・・・本当に・・・ありがとう・・・マイリー・・・・・・」
そう言ってヴァイオレットは瞼を閉じた。
そこから、一滴の涙が流れた。
こうして、ヴァイオレットは息を引き取った。
哀れな少女は、邪悪な博士によって、殺されてしまった。
「・・・ヴァイオレット?ねえ、ヴァイオレット!起きてよ!起きてってば!嫌だよ!ヴァイオレット!」
マイリーは泣き叫びながら、ヴァイオレットを揺さぶった。
でも、ヴァイオレットが動く事は、もうない。
マイリーには、どうしても、ヴァイオレットの死が受け入れられなかった。
いや、受け入れたくなかったのだろう。
少年型ロボットは、だんだん冷たくなっていくその身体を、思い切り強く抱き締めた。
その後、死体を寝かせ、マイリーは何も言わずに立ち上がった。
マイリーは、先程とは違う光のない真っ赤な目で、まだ笑い声を空に響かせている博士を睨みつけた。
もう、この少年は、正気ではない。
手の平からオノを出して、そのオノを片手に博士の元に向かう。
「ん?生きていたのか。ガラクタ。」
博士は、自分の目の前にやって来た少年型ロボットに、バカにするかのように言った。
すると、マイリーは、オノで博士の腹を刺した。
「ぐはあ!?」
博士は血を吐いた。
「オマエハ、ワタシノタイセツナヒトヲコロシタ。ダカラカタキウチノタメニ、オマエヲコロス。シネ。」
そう言って、さらにオノを刺し込む。
もう理性を失っていたマイリーの声は、感情のないロボットの声になってしまった。
マイリーがオノを抜いた瞬間、博士は腹を抑えて地面に倒れた。
悪の博士こと、スティーブは少しの間苦しんだ後に、動かなくなった。
マイリーは、ヴァイオレットが死んだ事により、狂ってしまった。
その後、マイリーはその場を離れて、人が多い場所に行って、沢山の人々を殺した。
こうしてマイリーは、思うままに殺戮を繰り返す“殺人ロボット”となった。
それからマイリーは、血まみれのオノを引きずりながら、歩いて、ヴァイオレットの死体の前に戻って来た。
人々の抵抗もあったのか、マイリーの右手の小指がなくなっていた。
ヴァイオレットを見た時、マイリーの目から、収まったはずの涙がまた溢れ出た。
「ヴァイオレット・・・ゴメンネ・・・ワタシハ、キミヲマモレナカッタ・・・ゴメンネ・・・ワタシハタダノ、ヤクニタタナイ、ヒトヲマモルドコロカ、コロスコトシカデキナイ、ダメナヤツダヨネ・・・。ゴメンネ・・・。ワタシハヒドイバケモノダヨネ・・・。キミヲマモリタカッタ・・・。」
マイリーは、膝をついて、泣きながらそう言った。
そして、後悔していた。
「モシ、キミヲマモルコトガデキタナラ、ドンナニシアワセダッタダロウ・・・。ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・」
届かないと分かっていても、マイリーはヴァイオレットに謝罪した。
「ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・」
雫をポタポタ落としながら、この四文字を繰り返す。
それ以外は何も言わない。
「ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・ゴメンネ・・・」
自分にとって、たった1人しかいなかった、大切な人を失った可哀想なロボットは、自らの命がなくなるまで、ずっとずっとその言葉を発し続けた。
いかがでしたか?
ホラーというよりも、悲しい要素が、ひょっとしたら、多かったかもしれません。
今作の続編を、いつか投稿すると思いますので、楽しみにしていただけたら、さいわいです。
最後までこの小説を読んで頂き、ありがとうございました。