入学編IV
寮の部屋の扉を開けると、そこには先客がいた。
爽やかで細めの少年だった。
《あれ、部屋間違ったかな》
慌てて閉めようとすると、
「多分あってると思うよ」
心を読んだかのようにその先客の男子生徒が声をかけてきた。
「君がアルス君だね、僕は君のルームメイトのセイン・メルトローズだ。気軽にセインって読んでくれ。」
「ああ、そうだったのか。セイン。宜しくな。」
《初めてあったやつとともに暮らすとなると不思議な感じだ。伯母の家に引き取られた日のことを思い出すな》
「君のことは妹のマリアから聞いているよ。優しいお兄さんだって」
「マリア…?ああ、思い出した。俺の妹の友達か!昔よくうちに遊びにきてたな。」
「うん、でもびっくりしたよ。まさかルームメイトが妹の親友のお兄さんだなんで」
「そりゃそうだ、俺もびっくりだよ」
「これからよろしくね。」
「ああ、よろしくな。」
そのまま話は続く。
「そういやセインはクラス違ったよななん組だ?」
「僕はB組だよ。」
「そうなのか。俺はA組だ。あ、そうだお前は武術大会どうすんだ?」
「ふつふっふ、それがさ、学年主席のエメリアさんと一緒のチームに入れてもらったんだ!」
「あいつもB組だったのか。だったらセインのチームは強敵だな。俺たちも全力で行くからな。絶対戦おうぜ!」
「うん、どっちが勝っても恨みっこ無しの真剣勝負をしよう!」
語り合っていると日も暮れてきた。
《いいやつにたくさん出会えた。楽しい学校生活になりそうだ。》
そんなことを考えながらアルスは床についた。