入学編II
講堂での入学式のあと、新入生代は各々のクラスに向かった。
《えっと、俺は…1-Aか。良いやつと出会えるといいな》
教室に入ると、既にほとんどの生徒が席についていた。アルスも黒板の貼り紙を見て自分の席に着く。
ちょうどチャイムの音が鳴り響く。
《ギリギリ間に合ったか…》
すると間も無く女性教師が入ってきた。
まだ20代前半といった程度の若い茶髪で長い髪の美人教師だった。
《あの入学者説明の時の不機嫌そうな男教師じゃなくてよかったぜ》
アルスがそんなことを思っていると教師は口を開いた。
「みなさんこんにちは!これからこの1-Aを担当するレイラ・リーリスです。宜しくお願いしますね!」
なんだか周囲の空気が変わった気がするがアルスにはよく分からなかった。
レイラは続ける
「ではまず、自己紹介をしてもらいます。ではまずは…」
端の列の一番前のものから自己紹介をしていく。大陸内の他国から来る生徒も多く、様々な国名が聞こえてくる。
《どうせ一度に何十人も覚えられないんだよなぁ》
と、アルスの番が回ってきた。
「こんにちは、アルス・シュナイダーです。コーデ村出身です。勉強よりどちらかと言うと剣術が得意です。これから宜しくお願いします。」
そう、こういうところでは普通の挨拶が無難なのだ。変に目立とうとすると痛い目を見るのは目に見えている。
《ふう、終わった…》
入学して最初の関門を越えたアルスは席についた。
自己紹介は続く。
《ん、あいつは…》
アルスが気になったのは、ある女子が自己紹介している時だった。
《えっと…クレア・ローゼンベルグと言います。サルハの町出身です。みなさん宜しくお願いします。》
黒髪で短いおさげを後ろにた垂らしたその少女は言った。
サルハの町と言うのはあの、天空龍シエルの処刑が行われた町だ。
《あいつも入学者だったのか…》
そう、その少女は、悪魔に襲われそうなところをアルスが庇った少女だった。
《不思議な再会が多い日だなぁ》
アルスはそんなことを思った。