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ラブコメの神様は突然にやってくる

「はぁ......はぁ......」

俺はその奇妙な夢のせいでベッドから身を乗り出してしまった。置時計に目をやると時刻は六時を示していた。なんだっんだ?今の夢は......。俺がどんな夢を見ていたかというとーーーー


ーーーあなたには突然ですが、ラブコメゲームの主人公になってもらいます

ーーーお前誰だよ!どうゆう意味だ!?つかここどこだ!

ーーー順を追って説明しましょう。私はラブコメの神様です。ラブ神とでも呼んでください。そしてここはあなたの夢の中です

ーーーは!?なに言ってんだ!そんな分けあるか!

ーーー夢から覚めたら分かります。あなたの周りにはとても素敵な女の子がたくさんいます。それなのにあなたは彼女おろか好きな人すらいない。そんなあなたの日常をラブコメゲームに変えたら何か変わると思いまして

ーー!そんな事できるわけあるかああああああああ!

こんな夢だ。こんなはっきり覚えてる夢なんてなかやかないぞ?高校生にもなって、なんて夢みてんだよ俺!

俺は重い足どりで階段を下り、リビングへと向かった。

「おはよーお兄ちゃん」

「おう佐奈。おは......」

「どうしたのお兄ちゃん。そんなに口開けると顎はずれちゃうよ?」

説明しよう。今俺の前で朝飯を食べている妹の頭の上に、数字が見えている。以上。

「って、以上じゃねええええええええ!」

「誰につっこんでるの!?」

おかしい!なんだよこれ!俺はまだ夢の中なのか?

ーーーいいましたよね?夢から覚めたらわかりますと

俺の脳内に直接話しかけてきてるのか?それにこの声......まさか!

ーーーそう。そのまさかです。あなたにはまだ言ってない事がありまして

ーーーやはりラブ神か!あれは夢じゃなかったのかよ!?とゆうか人の心をよむな!後、俺の名前は高原勇人だ!覚えとけ!

ーーーそれでは勇人君。もう一度詳しく説明させてもらいます。まず、ここはゲーム化されたあなたの日常です

ーーーゲーム化だと!?ふざけんな!元に戻せ!

ーーー落ち着いてください。ちゃんと元に戻す方法があります。

ーーーそれは妹の頭の上にある数字も関係するんだな?

ーー!はい。もちろんです。まず、頭の中で「メニューよ開け!」と言ってみてください

ーーーメニューよ開け?

ーーー違います。?じゃなくて!です

そこかよ!細かいな!

「メニューよ開け!」

しまった!つい口にだしてしまった!

「なにいってるのお兄ちゃん!もう朝ご飯食べ終わっちゃったよ!」

ーーー早く設定を開いてください

なんで俺ダブルパンチくらってんだよ!俺はダブルパンチを食らいながらもなんとか成功させる事ができた。

「す、すげぇ......」

思わず感嘆の声をあげてしまった。だってしかたないだろ!目の前にメニューという文字の画面が見えるんだぞ!?

ーーーそれではまず、メニューをタップしてください。その後、一時停止ボタンをタップしてください

そう言われて俺は目の前に見えているメニュータップした。

あれ?触れないぞ?

ーーー頭の中でタップしてください

ーーー最初にそれを言え!

俺は言われた通り頭の中で、一時停止ボタンをタップした。するとその瞬間、俺の前で先程朝飯を食べ終え学校の準備をしていた佐奈の動きが止まった。

「おーい佐奈?」

佐奈に話かけても返事が来ない。それどころか、ピクリとも動かなかった。これってまさか......

ーーーおい!佐奈に何をした!

ーーー安心してください。ただ、時間を止めているだけです。こうしてもらわないと私が姿を見せれませんから

そう言った瞬間、俺の視界に一人の女が映った。整った顔だち、白い肌、銀色の長い髪。俺はその美しさのあまり少し見惚れていた。

「どうしました?あまりの美しさに見惚れてしまいましたか?」

「そ、そんな事ないし」

言えない!少し見惚れてただなんて!

「とゆうか、そんな事聞かなくても俺の考えてる事わかるだろ?」

「いえ、姿を見せているときはそういった事はできません」

「じゃあなんで姿を見せてるんだ?わざわざ姿出す必要なかったろ?」

「こっちの方が話やすいと思ったからです」

「時間を止めたのは?」

「あなた以外には見られるとこのゲームに支障がでてしまいますので」

具体的には言わなかったがおそらく、ストーリーそのものが変わってしまうということだろう。

「そうか。とりあえずあれを説明してもらおうか!」

俺はそう言って、佐奈の頭の上にある数字を指さした。さっきから気になってしかたがなかったんだ!

「ではまずそれから説明しましょう。その数字は、あなたに対する好感度を示すものです。あなたの行動次第で数値が変化します」

そうゆう事か。それにしても40って......低くない?

「そして今あるメニューの中の種類は、一時停止、ヘルプ、好感度ONOFF、ミッション、この四つです。先程のように、頭の中でクリックしてください。ミッションをクリアすると設定に、新たなミッションとボタンが現れます。そしてそのミッションを全てクリアすれば元の世界に戻す事ができます」

「なるほど......。あれ?」

「どうしました?」

俺は眉間にしわをよせながら尋ねた。

「どうしてお前の好感度は見えないんだ?」

「それは、私が人間ではないからです」

こいつは神様だもんな。仕方ない。しかしそれは助かる!道歩いてて、犬とか猫とかの好感度見えてもしかたないしな!

「だいたいの説明はこれで終わりです。一時停止を再びクリックすれば、時間が動きだします。その前に......」

ラブ神が何か言いたそうにこちらを見ては顔を赤らめ床を見つめている。しばらすると、ラブ神が赤くなったままの顔を上げ、上目遣いの状態で、口を開いた

「一つだけお願いを聞いてあげます。あ、あまりへんなお願いはだめですよ?」

「しないわ!」

さっきから顔を赤らめていたのはそうゆう事か!こいつ俺の事なんだと思ってるんだよ! 「なら元の世界に......」

「それはでめです」

ですよねー。知ってました。けどそうなると他にいい案が思い浮かばない。そう思っていたが1つ名案が浮かんだ。

「そうだな......なら、お前もこのゲームに参加してくれ」

「え......?どうゆう事です?」

ラブ神は首をキョトンと傾げた。

「そのまんまの意味だ。いちいち脳内で会話すると面倒だしな。それにそっちの方がわかんない事とかあったらすぐに聞けるし。俺の友達っていう設定にさればいいだろ?」

それに、毎回俺の心よまれたくないしな!

「しかしそうなるとゲームに支障が......」

俺は首を横に振った。

「いいんだよそんなもん。どんなに支障がでてもクリアできないゲームなんてない!だから大丈夫だ!それにこう見えてゲームは得意な方だ!」

と自慢げに言ったものの、ラブコメゲームは一度もやった事ないんだけどね!

「そ、そこまで言うならいいですけど......」

「よし。ならもう時間進めるぞ?」

いくらゲームだと分かっていても周りの物がずっと止まっていると不安になってくる。

「え?あ、はい。どうぞ」

そう告げられると俺は一時停止ボタンを先程の様に脳内タップした。

すると、さっきまで固まっていた佐奈が再び動きだした。

「お兄ちゃんも早く準備しないと遅れ......」

ふぅ......良かった!元に戻った......。しかし、安心できたのは束の間だった。

「どうした佐奈?」

佐奈が何かに怯えるように震えている。

「お、お兄ちゃん!この綺麗な人は誰!?」

そう言って佐奈が指指している所を恐る恐る見る。そこには、不思議そうに佐奈を見つめている銀髪の美女がいた。

「お、落ち着け佐奈。こ、こいつは俺の友達の......」

そこまで言いかけた所で言葉に詰まる。なんて呼べばいいんだ!?「ラブコメの神様だ!」なんて言っても信じてもらえるわけがない。とゆうかなんか浮気ばれた夫が必死で妻を説得してるみたいになってないか!?

「姫宮愛美だ!」

「へー。それでなんで愛美さんはここにいるの?」

佐奈は視線をラブ神に移した。

「なんでと言われましても......先程まで勇人君た一緒に寝ていて下に下りてきたらこのようなことに......」

「な、なにいってんだ!?そんな事してないだろ!」

こ、こいつどうゆうつもりなんだ!?

「お兄ちゃんの......ばかああああああ!」

俺は佐奈の全力のパンチをくらい、佐奈の好感度が0になったと同時に俺のライフも0となった。


「ん.....」

目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。

「ようやく起きましたか」

「ようやく起きましたかじゃねえ!誰のせいだと思ってんだ!」

「すみませんでした」

ラブ神はペコリと頭を下げた。こうゆうところはしっかりしてるんだな......。

「ま、まあいい。それより佐奈は?」

「私に面倒を見るようにと言って先に学校に行ってしまいました。つまり、ここにいるのは私達二人だけです」

真顔で余計な事言うなよ!妙に意識しちゃうだろ!

「まあそんな事はどうでもいいです。それよりさっきのはなんですか?」

どうでもいい?俺にとったら超重要なんだが!

「さっきのってなんだ?」

そう聞くとラブ神が一つ咳払いをした。

「で、ですから名前の事です。どうして先程のような名前をつけたんですか?」

「姫宮っていうのはなんとなくでだ。愛美の愛はラブ神のラブからとった」

「では愛美の美というのは......?」

それを聞くな!一番聞いてほしくなかったんだけど!しかし、ここまできたら答えるしかない......。

「そ、それはお前が綺麗だから......」

い、言ってしまった!は、恥ずかしい!

「そ、そうですか......ありがとうございます」

「嫌じゃなかったか?」

俺は疑問に思っていた事を口にした。しかし、ラブ神は首を激しく横に振った。

「嫌なんかじゃないです!」

「お、おう。それなら良かった」

さっきまでより声の大きさが全然違ったので少し驚いた。

「むしろ嬉しかったです......」

「なんだって?聞こえなかった」

「あなたはいつ難聴系主人公になったんですか?」

「は?何言ってるんだ?」

ラブ神が片手で頭を押さえながら一つ大きなため息をついた。

「なんでもありません。それと今度からラブ神ではなくちゃんと名前で呼んでください」

確かに人前でラブ神だなんて言えない......。

「わかったよ姫宮」

あれ?なんでこいつ口膨らませてるの?名前で呼べって言ったから呼んだのに理不尽すぎるだろ!

「私と勇人君以外の人がいる時は、下の名前呼んでください。気に入ったので」

こうゆう時って普通「私と二人っきりでいる時は名前で呼んで?」っていうのがテンプレじゃないの?

「あ、ああそうゆう事か。けど下の名前で呼ぶのは......」

「なぜです?妹さんには名前で呼んでるじゃないですか」

「家族なんだからあたりまえだろ!この世界のどこに家族の名字でよぶ奴がいるんだ!」

「それもそうですね。では仕方ありません」

ふぅ......どうやら諦めてくれたようだ。今日会った奴をいきなり名前で呼ぶのなんて無理!そう思っていると脳に音声が流れた。

ーーーミッションを受信しました

「なんだ?今の......」

「どうやらミッションが届いたみたいですね。メニューを開いてミッションの内容を確認してください」

「あ、ああ。わかった」

俺は言われた通りメニューを開きミッションの内容を確認した。

ーーーラブ神を名前で呼べ

「なんだこのミッションは!?」

「どういったミッションですか?」

「とぼけるな!このミッション作ったのお前だろ、まさかこれから先のミッションも!?」

「ばれてしまいましたか。はいそうです。私が全て作ります」

「まぢかよ!」

思わずベッドから身を乗り出してしまった。

「どうします?このミッションをクリアしないと先えは進めませんよ?」

そう言って悪戯っぽく微笑んだ。

「はぁ......わかったよ。約束する」

俺がそう言うとラブ神は首を傾げた。

「今呼んでください」

「は!?だってお前二人っきりの時は呼ばなくていいって......」

「はい。しかしこれはミッションです。今名前で呼ばないとミッションはクリアした事にはなりませんよ?」

「まぢかよ!」

「はい。まぢです」

くっそ!卑怯な!何が卑怯かってそのやり方と笑顔がだ!だめだ......諦めよう。俺は両手を挙げ、降参のポーズをとった。

「わかったよ。よろしくな。あ、愛美」

「はい!よろしくお願いします」

そういいながや愛美はやさしく微笑んだ。

「どうしました?そんなに顔を赤くさせて」

「い、いやなんか暑くてな!はは、ははは

ー」

その微笑みに見惚れていたのも一つの原因だが、他にも理由はあった。何かって?い、言えるわけないだろ!愛美の頭の上にある数字が70だなんて!あ、言っちゃったよ。

「そいえば、なんで俺お前の好感度が見えてるの?」

さっきまでな見えなかったのに......。そう聞くとラブ神は、しまっあといわんばかりの表情をし俺に聞いてきた。

「それは私が一人の人間としてこの世界にいるからだと思います。そ、そんな事より数値はいくつでした?」

「へ?」

こんな質問来ると思ってなかったから思わず変な声出しちゃったよ!

「ですから私のあなたに対する好感度がいくつかという事を聞いているのです」

「わわかったから少し離れろ!」

近い!とにかく近い!大事な事だから2回言いました。

「す、すみません。少し取り乱してしまいました」

そう言いながらラブ神は俯いてしまった。そして再び、さっきよりを控えめ声で聞いてきた。

「それで......いくつですか?」

「え、えっと50だぞ!」

「そうですか......」

ラブ神がほっと胸を撫で下ろした。

「お、おう!」

流石に70だなんて言えない!

ーーーミッションクリアおめでとうございます

俺の脳内に再び音声が流れた。てゆうか今更かよ......。もっと早くこいよ!

「なあ?このクリア報告書もお前がしてるんだよな?」

「はい。クリアしたかどうかは私が判断しますから」

「なるほどな......」

「はい。では......」

そう言うとラブ神は俺にそっと手を差し伸べた。

「改めてよろしくお願いします」

「おう!こちらこそ!」

俺はラブ神に差し伸ばされた手を掴んだ。


俺はあの後結局学校を休んだ。ラブ神にはいろいろ聞けたし、たまには休むのも悪くないと思ってな。べ、別にさぼったわけじゃないからな!そんな事を思っているとリビングの扉が開いた。

「ただいまー......ってなんでまだ愛美さんがここにいるの!?」

「あ、ああその事なんだが......」

「しばらくここに泊めてもらう事にしました」

こいつ、俺が言いだせなかった事をあっさりと言いあがった!

「え、えっとそれはどうゆう意味?愛美さん」

佐奈は困惑した瞳でラブ神を見つめている。

「そのまんまの意味です。だめでしょうか?」

「だめっていうか......お兄ちゃんはいいの!?」

困惑した瞳の状態で視線を俺に移してきた。良くないっていえば良くないんだけど俺が原因だし....。いや、事の発端はラブ神なんだけどね?

「こいう家庭の事情でな。帰る場所がないんま。だから......」

「はぁ......お兄ちゃんがそう言うならいいよ」

「え?いいのか?」

こんなにもあっさり許可をだしてくれるのは思ってもなかったので、思わず変な声を出してしまった。

「けど......」

「けど?」

佐奈は何か言いたそうにこちらを見てくる。早く言ってくれ!気になっちゃうだろ!

「今日、お兄ちゃんをビンタした事許してくれるなら......いいよ?」

なんだ。その事まだ気にしてたのか。

「ああ。もちろん」

俺はそう言いながら佐奈の頭を撫でた。佐奈が中学二年生になった今でも、なにかあった時はいつもこうやって頭を撫でてやっている。

「えへへ......お兄ちゃん......」

なんでいつもそんな幸せそうな顔するんだよ!今にもとろけそうじゃないか!

「こ、ここまでだ!」

俺はそう言って素早く手をどかした。

「なんでやめちゃうの?」

佐奈の表情は曇り今にも泣きだしそうだ。やめて!罪悪感がすごいから!

「いや、友達もいるしな?」

俺は嘘をついた。そりゃ好感度が70までいったら流石にやばいだろ!?兄弟の壁越えちゃうラインだろ!

「あれ......?」

「どうしたの?お兄ちゃん」

「い、いやなんでもない......」

さっきまで70だったと思ったんだけどな......。50になってるぞ?気のせいだったのか?そんな疑問を抱いていると、正面から生温かい視線が俺をくすぐった。

「な、なんだよ」

「いえ、別に。仲がよろしんだと思いまして」

「や、やっぱそう見える?ありがとう愛美さん!」

俺が答える前に佐奈が答えた。とゆうかやっぱってなんだよやっぱって......。

「はい。とても」

「そ、そっかー。だってお兄ちゃん!」

先程までの曇った表情とは反対になぜかとても明るい表情をしていた。

「そうかそうか。とゆうか佐奈。愛美は先輩なんだから敬語使わなきゃだめだろ?」

「う、うん。けどあの二人は......」

「あの二人は長い付き合いだからいいんだ」

「そ、そっか。とゆうかお、お兄ちゃん!なんで愛美さんの事名前で呼んでるの!?」

やっぱりつっこんできあがったか!上手いこと話逸らせたと思ったのに!本当は「なんとなく」とか「こいつがそう言えっていったから」などと言おうとしたが、何故か俺が口にした言葉は他の言葉だった。

「別にいいだろ?俺こいつの名前好きなんだ」

自分でも驚いた。なぜこの言葉が出てきたのかわからない。しかしわかる事が一つある。それは、今の言葉に嘘がないって事だ。まあ、それだけだけどな。

「そ、そうなんだ」

流石の佐奈もこの答えには反抗できないのな、どうやら納得してくれたみたいだ。よかった!俺はチラっとラブ神の方に視線をやると顔を真っ赤にさせていた。しまったな......。怒らせちゃったみたいだ。けどなぜか好感度がさっきよりも高くなってるんだけど......。

「けどお兄ちゃん。愛美さんどこで寝るの?」

「しまったあああああああ!」

完全にその事忘れてた!この家に居候させる事しか考えてなかった!俺が頭を抱えていると、さっきから顔を赤くしているラブ神が口を開いた。

「それなら心配ありません。勇人君の部屋で寝かせてもらいますので」

「「ええええええ!?」」

「正気なんですか愛美さん!」

「なにを言っとるんだお前わ!俺だって男なんだぞ!」

「............」

そ、そんな落ち込んだ顔するなよ、俺が悪いみたいになってんじゃねえか!

「だめ......でしょうか......?」

やめて!そんな潤んだ瞳で見つめないで!今にも浄化されそうになるから!

「わ、わかった。受け入れよう」

「え......?」

「お、お兄ちゃん!?なに言っ」

「お前は黙ってろ!」

俺は佐奈の口を手でふさいだ。

「んー!んー!」

こいつそれでも抵抗する気か......。

「本当によろしいのですか?」

「ああ。空いてる部屋ないしな」

こうは言ったが本当は他にも理由があった。

「それじゃ佐奈。俺とこいつ先に部屋に戻ってるな」

俺は、佐奈の口をふさいでいた手をどかし、ラブ神を連れて部屋へと戻った。その直後、家全体に大きな声が響き渡った。

「お兄ちゃんのばかああああああ!」

そいえばリビングを出る前、一瞬だけ10っていう数字が視界に入ったが気にしないでおこう。

部屋に着くとラブ神がもじもじながら口を開いた。

「その......本当によろしいのですか?」

「ああ。不本意だけど仕方ない。こうでもしないとお前、俺が見えない所で絶対なにか悪い事しそうだからな!」

「そんな事ありませんよ?」

「そうか。なら佐奈の部屋で寝てくれ」

「やはりそんな事あります」

「どっちだよ!」

本当によくわからんやつだな......。俺はそんな疑問を抱きながら一つ咳払いをした。

「とにかくお前は俺のベッドで寝ろ。俺が床で寝るから」

このセリフ思ったより恥ずかしい!俺はついそっぽを向いてしまった。一方のラブ神もなぜか頬を染めていた。

「は、はい。わかりました。そうさせてもいます」

「お、おう」

くっそ!さっきから気になってしかたない!なにがかってラブ神の綺麗な銀色の髪をした上にある数字がですよ!いい加減、目の毒だ!そいえば、メニューの中に好感度ONOFFとかいうのがあったな。あれ使えば消えるんじゃないか?俺は慌ててメニューを開き、好感度ONOFFと書かれた文字を脳内タップした。すると、先程まで俺の視界に入っていた75という数字が消えた。

「よかった......」

「どうしました?」

「あ、いやなんでもない」

「そうですか」

「............」

「............」

沈黙が辛い!しかも男の部屋で男女二人っきりっていうこの状況で!ここは何か話さなければ!なぜか俺はそんな使命感を抱き、口を開いた。

「そいえばお前、学校どうするんだ?」

「行きませんよ?私だって神様ですから忙しんです」

「そうか。今後のミッションとか考えなきゃいけないもんな」

そう言うと、ラブ神が一瞬肩をピクッとさせた。

「はい。なので学校にはいきません」

そう言ったラブ神の声は暗かった。

× × ×

「いってきまーす」

その後も沈黙が絶えなかったので俺は我慢できず外に飛び出してきてしまった。少し歩くと俺は立ち止まり一つ大きく呼吸をした。

「いってきまーす」

先程までの重い空気とは反対にとても心地良い空気を感じる。

「そうね」

「おう。そうだな......っておい!」

俺は慌てて後ろを振り返る。

「なによ!うるさいわね!」

そう俺に罵声を浴びせたのはクラスメイトの花咲恋色

「うるさいわね!じゃない!急に後ろから話かけるな!」

「まあまあ二人とも落ち着いて?」

と同じくクラスメイトであり、中学の時から一緒の橋本彩音だった。

「なによ!せっかく心配して家まで行こうと思ってたのに!」

「心配?」

俺心配されるような事したっけ?

「今日高原君学校休んだんでしょ?それで......」

花咲の変わりに橋本が答えた。

「ああ。悪いな。連絡なしに学校休んじゃって」

「それで?なんで休んだの!?」

花咲がすごい勢いで近寄ってきた。

「い、いやただ寝坊しただけだから気にするな!」

俺がそう言うと二人は目を細め、じーっと見つめてくる。

「な、なんだよ?」

「は?別に?なんでもないし!」

「うん。気にしないで?」

「いや、普通そんなにも見つめてられたら誰だって気にすると思うけど!?」

と、言ったものの俺の言葉には耳を傾けず花咲が口を開く。

「ついでだし、勇人の家よってってもいい?」

「あ、私も行きたいな。佐奈ちゃんとお話ししたいし」

「そ、それはだめだ!」

俺は大きな声を挙げて否定した。

「「なんで?」」

二人は口を揃えた。こんな時に、仲いいの見せつけくていいから!

「ま、まあそれはいろいろと......」

俺が曖昧な答えを出すと二人はさっきよりも鋭い視線で俺を見つめてくる。

「なんかあやしくない?」

「そうだね。高原君何か隠してるでしょ?」

す、鋭い!包丁の刃よりも鋭い!これが女の勘というやつなのか?

「そ、そんな事ないぞ?」

俺は平然をよそぶっているが汗はダクダクだ。

「なら行ってもいいよね!言っとくけど勇人に拒否権はないから」

「ごめんね?高原君」

「いつから俺の人権無くなったんだよ!橋本、お前までもか......」

「よし!じゃあレッツゴー!」

花咲はそう言うと俺の家の方に方向転換し歩きだした。

「はぁ......」

俺は思わずため息をついてしまった。まぢで大丈夫か?ラブ神に連絡しようと思ったけど連絡する手段がないからどうしようもない。仕方なく俺は彼女らの背中の後ろをついていった。


この度は本作品を読んでくださり、本当にありがとうございます。1話の話が長い分、1話1話の更新が遅くなります。申し訳ございません。

感想等、教えてくださると嬉しいです。

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