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第27話 少女の夏休み

 長かったバイト生活も終わりを告げ、期末考査もなんとかクリアしてついに訪れた夏休み。

 つい先日にあった終業式。その時に約束した、神凪家への招待のため俺は神凪翔と二人、仲良し三人組が指定した俺の家の近所の駅の改札口で、三人の到着を待っていた。

「……毎回不思議に思うのですが」

「聞き飽きた」

 翔の最近の口癖のような前置きの後に続く、これまた口癖のような言葉を予測した俺は先手を打つ。

「どうして私が、女性同士の付き合いに巻き込まれなければいけないんでしょうか?」

 それでも、やはり聞かずにはいられないらしい。翔はげんなりした表情で、呟くように問いかける。

「俺だけだとボロが出そうで嫌なんだ」

 主語をわざとらしく飛ばし、俺は答えた。

「確かに貴女は女性としてもっと色々と配慮すべき点はありますが」

 分かってるじゃないか。

 決して嫌いなわけではなく、寧ろ、友人としてはかなり好きな部類に入る彼女達だが、やはりどうしても女なのだ。

『今はお前も女じゃないか』とツッコまれたら終わってしまうが、やはりどうしても必要以上に気を使ってしまう。

 その一方。男子とも仲が悪いわけではない。やはり、女子相手に話す時のような気遣いは不要だし、口調さえ気をつけていれば事は済むので楽だ。

 頻繁に話しかけられたし、こちらからも積極的に話しかけた。

 それにより、以前にも増して、かなり広い範囲での友好関係を築けたように思う。

 だが。これは最近知ったのだが―


「男連中と遊びたくても、必要以上に仲良くなると後々面倒だからな…」


 どうやら一部の男性諸君は、俺と友達以上のお付き合いを望んでいるらしい。

 この俺のどこに女性としての魅力を感じるかは皆目見当がつかないが、夏休みに入る直前まで下駄箱を開ければ手紙がある、という日々を過ごしていた。

 しかも、その以前。まだ桜が散って間もない頃は下駄箱の中にあるそれを、早朝、部活動の朝練が終わった後に回収した悟技翼経由で、クラスの女子の手に渡っていたというのだから驚きだ。

 今になって思えば、その時に一悶着あったおかげで、あの三人組と仲良くなれたので、手紙を見られた男子には運が悪かったとしか言いようがないのだが……。


「では私との付き合いも、少しは遠慮して頂きたいものです……」

「いや、親戚である男と仲良くするのは問題ないだろう?」


 再び翔の口から漏れ出でた愚痴を、すぐさま否定する。

 勿論、実際の何も知らない親戚であるなら多少は考えるが。少なからず、翔においては恋愛感情という面倒な問題は発生しないで済む。

「しかし、突発的出来事でプログラムが書き換えられ、貴女に恋愛感情を抱く可能性だってありますが?」

「それもお前の場合問題ない。俺に手を出そうものなら、お前がこの世に居られなくなるから」

「……確率で考えれば、そちらの方が高確率でしょうね」

以前、誤って俺がベッドに潜り込んでしまった時の、藍璃の拳が脳裏に思い浮かんだのだろう。

 翔はさらにげんなりした表情で答えた。

「優〜!」

 そうしているうちに、仲良し三人組が到着したらしい。

 改札口の向こうから、いつものように翼を先頭に、その後ろに少し遅れて慌てて翼の後を追う菜乃綾奈が。

 そして最後に、走る気がないらしく小走りに走り寄る二人を静観しつつも、心なしか歩く速度を上げた小野寺薫が続いた。

「なんだ。神凪も来てくれたんだ?出迎え、ご苦労ご苦労」

 翼が笑いながら、苦笑いを浮かべた翔の肩をバンバンと叩く。その瞬間、翔の苦笑いに苦悶の表情が付け加わる。

 翼は常に元気で明るい。その明るさはクラスのムードメーカーであり、それが魅力といえば魅力なのだが…。

 如何せん手加減というものを知らない。あれも肩を叩く掌を少し回して、手刀の型に変えればきっと翔はその場で悶絶する事になるだろう。

「優」

「ん?薫、どうかした?」

 そういえば以前は『神凪さん』『委員長』と呼び合っていたな、思い返して思わず苦笑してしまう。随分と一学期中に仲良くなったものである。

「貴女はよく神凪翔と行動を共にしていますが何か特別な感情を共有している、或いはそれ以上に密接な関係にあるのですか?」

「…………」

 とは言え、俺は未だにその思考は読めずしばしば絶句させられるのだが―

「………」

 真っ直ぐに俺を見据えて、薫は俺の返事を待つ。その瞳には嘘偽りが無く、ましてや悪意も感じられない。常にその真っ直ぐな瞳で相手を見つめられることが、彼女の魅力なのではないだろうか。

「違う違う。それに今日は、やっぱり私は翔の家に下宿させてもらってる居候なわけだし、私が『友達連れて来ました』なんて変かな、って思って着いてきてもらっただけ」

 聞かれるであろうと予測出来た質問に対して、昨日の就寝時考えたそれっぽい口実を、すらすらと読み上げる。

「なるほど。正論です」

 合点いったと言わんばかりに、無表情ながらも頷く薫。

「優さん、翼ちゃんが無理言ってごめんなさい…」

 そして、さっきの俺の発言が聞こえたのか、その横で申し訳無さそうに目を伏せる綾奈。

「あはは。気にしないで。おば様も大歓迎だって言ってくれてるけど、私が変に気を使っちゃっただけだから」


 その言葉に幾分か気持ちが和らいだのか、綾奈は『ありがとう』と、可愛らしい笑みをこぼしたのだった。



皆様、いつもお読み頂きまことにありがとうございます(挨拶)

皆様のおかげで、アクセス数が5000件を超えました!まだまだ未熟ながらの執筆なので、ただただ恐縮するばかりですが……(苦笑)本当にお読み頂き感謝です。

何か記念になるような事でも、と考えた結果。今回のお話が終わった後、優と仲良し三人組が友達として付き合うキッカケとなったラブレター編でも書こうかな?とか思ったりしています。

もし他に『優にこんな事をさせたい!』といったクエストがあれば仰って下されば。可能な限り頑張らせて頂きます(笑)

お手紙、コメント、感想大歓迎です!文法的におかしな部分、読み難かった部分があればご指摘、もし宜しければお願いします。

それでは〜。如月コウでした(礼)

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