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第26話 夏を思う少女二人

「…で?どうして私等がメイド服着せられてるわけ?」

「理解不能です」

 翌日。早朝にも関わらず、店が開店するとほぼ同時に、親切にも様子を観に来てくれた翼と薫という人員を無事確保出来た。これで一安心である。

「だから。人手が足りないから手伝って」

「ヤダ」

 親友の願いを即答に断る翼。だがしかし―

「翼ちゃん。お願い」

「くっ……分かった!分かったよ!!」

 目を潤ませ懇願する綾奈にはさすがにNoとは言えないらしい。投げやり気味に翼は首を縦に振る。残る問題は、綾奈のお願い攻撃を簡単に切って捨てる事が出来る薫が、協力してくれるか否か。

「薫。そういう訳で悪いんだけど―」

「なんですか。ご主人様」

「うん。無表情で乗り気なのはやめて。怖いから」

 どうやら薫も手伝いにやぶさかではないらしい。意外にもメイド服を着こなしつつ、無表情ながらも黙々とメニューの確認を行なっている。

 まだまだ人数不足だが、これで綾奈と俺の二人だけよりは遥かにマシなのは確かだろう。

 なんだかんだ言いながらも、翼も薫も俺達が困っている事を理解して、手伝おうとしてくれているようだ。

「翼さんも薫さんもお綺麗ですから。きっとそれ目当てで来たお客さんも満足しますよ」

 その様子を見ていた藍璃が笑う。

 これはまったくの偶然だったのだが、家で暇そうにしていたので『一日臨時バイトしないか』と藍璃を誘ってみたところ、なんと快く協力してくれた。

 中学生でアルバイトというのもどうかとは思ったが、友達の家の手伝いだと考えれば悪くはあるまい。ちょうど藍璃自身、今月はピンチだとぼやいていたからな。

「へい!らっしゃい、旦那!」

 どうやらお客様が来たらしい。翼の威勢のいい声が店内に響き渡る。

「あ、すいません。こちらへどうぞ。ご主人様」

「すぐにお冷とおしぼりお持ち致しますね!」

 驚いた表情を見せるお客を、丁重に誘導する綾奈と藍璃。なかなかいいコンビのようだ。

「いらっしゃいませ」

 席に着いたお客に、気づかれないぐらいの無音さで近づき、薫が一言挨拶した後に、手にした水とおしぼりを出す。

「で、旦那は何にしやす?」

 ……ところで翼。いつからお前に中でこの喫茶店はお寿司屋に様変わりしたんだ。

 自分の接客を行ないながら、横目でそんな翼の接客を見て、全員が心の中で苦笑いを浮かべるのであった。



 その一日は本当に多忙を極めた。

 綾奈と、普段のアルバイトの人達で噂になったのだ。そこに、さらに新しい個性豊かなメイドが今日限定で増えたという噂は、あっという間に広まった。

 調理を行なう里香さんは大忙し。結果、調理の人手が足りない事から急遽厨房へと入った綾奈が抜けた穴を埋めるべき、奮起する俺達。

 俺はさすがに半月働いた経験があるので、全員の細かなサポートを。

 藍璃は接客業の才能があるらしく、かなりの数をテキパキとこなして、薫も無表情ながらも、額に汗しながら普段より忙しなく動いてくれてくれた。

 翼はその元気の良さで、大道芸のような皿運びで店内を色々な意味で沸かせてくれた。

 なんとか最後のお客を捌いた時には、すでに閉店時間の19時を大幅に超え、20時を過ぎていたため―


「皆、お疲れー。頑張ってくれたお礼なんだからじゃんじゃん食べてね」


 店の片付けも程々に、里香さんが今日の感謝を込めて全員に晩御飯を振舞ってくれた。

 皆、お昼休憩もまともに取らずに働き詰めだったせいか、驚くほどよく食べている。

 勿論、その中には翔も含まれている。延々普段は放置されている倉庫整理を行なっていた翔が、ボロボロになって倉庫から出てきた時は驚いたが…。なんとか生存していたらしい。

「たまには公の場で活躍したいものです」

 と、ぼやいていた。

「優さん、お疲れ様です」

「綾奈、お疲れ様」

 皆から少し離れて、座って物思いに耽っていると綾奈に声を掛けられた。

「このバイトが終わって、期末考査が終わればいよいよ夏休みですね」

「あー…テストあったんだった…」

 綾奈の言葉に、いらぬ単語がある事に項垂れる俺。そんな俺を見て、綾奈は苦笑する。

「頑張らないと、ですね。皆で過ごす夏休みはきっと楽しいですよ」

「……そうだね」

 すでに暗くなっている空を見上げて、感慨深げに綾奈の言葉に頷く。


 もうすぐこのバイトも終わり、夏が来る。

 たぶん、このメンバーで騒がしく何処かへ出掛ける事にもなるだろう。

 女になって初めての夏にほんの少し期待しつつ。俺と綾奈は皆がいる騒がしい店内へと戻ったのだった。


少し爽やかなお話です(挨拶)

実は、綾奈に夏休み前に『みんなで過ごす夏休みはきっと楽しいですよ』という台詞を言わせたいがためにここまで書きました(駄目人間)

今回は、トラブルをみんなで仲良くドタバタして過ごす一日を平均的に描いたシナリオを目指しました。ドタバタがメインではない気がするので、面白くなかったと仰る方もいらっしゃるかと思います(苦笑)ただ、こういうのも必要かな?と思って夏休み前に入れてみました。

次回からいよいよ夏休み!次回は、ちゃんとコメディらしくなるかな?…まあ予定ですけどね(笑)

お手紙、コメント、感想大歓迎です!文法的におかしな部分、読み難かった部分があればご指摘、もし宜しければお願いします。

それでは〜。如月コウでした(礼)

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