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第22話:日本経済における女性の貢献度は多大である

そろそろ夏休みという季語が脳裏を霞める6月。

日に日に暑くなっていく気温とは裏腹に、俺はいつも通りの生活を送っていた。


「さて…そろそろ寝るとするか」

「ああ、そうだな。お休みだ、翔」


深夜。いつもと同じようにパーティーを組んでいた響夜と別れて、パソコンの電源を落とす。

オンラインゲーム『夢幻学園』。

そのゲーム内容は以前も紹介したとおり、至って簡単だ。

数年前に突如学園の地下に姿を現した迷宮。

そこから現れた無数の化け物達。

そしてそれと同時に、学園生のみが手に入れたそれに対抗するための異端の力。

プレイヤーはこの夢幻学園の生徒として、この学園の平和…そして世界の平和を守るため日夜迷宮で奮起する。

しかし、それだけではない。

俺がこのゲームを魅力に感じたのは、その自由性にあった。

キャラメイクにおいての多種多様なデータ量。

地下以外でも起こる、擬似学園生活内で起こる、リアルタイムイベントの数々。

街へと繰り出せば、地下の化け物を倒した分支給されるゲーム内のお金で、様々な武器は勿論ながら、衣装なんてものも買える。

衣装だけじゃない。髪型も自由に変えられ、まさに自分だけのキャラクターを創り上げる事が出来るのだ。

(それで勢い余って女キャラ作ったんだけどな…)

そんな言い訳はともかくとして。

そういう訳で今日も俺は、家族が寝静まった事を確認した上で、翔の部屋に入り浸っている。

あまりに入り浸っているものだから、その日、それまで黙って様子を見ていた翔が俺にある提案をもちかけた。


「私が短期バイトでもして、その資金を元手にパソコンを購入してみては?」


この状況を親や藍璃に見つかって、その度に自分が怒られる現状にさすがに嫌気が差してきたのだろう。

なんと、バイトで稼いだ金額の一部を俺に譲渡とすると言ってきたのだ。

しかし代理翔として、本人の承諾を得ずにバイトを始める訳にはいかない、と思ったらしく承諾を取ろうとしたらしい。

そういえば、俺の預金通帳の暗証番号を聞こうともしなければ、無理やり引き落とすために銀行に行こうともしない。妙な所で律儀な奴である。

「貴女も今は女性である以上、異性である男の部屋に入っては深夜まで居座るのは、世間体的にも問題があります。何より、そういうものは自分の部屋でのんびりとしたいでしょう」

確かに翔の言う事はもっともだ。

前者の理由はともかくとして、俺としても元自分の部屋とはいえ、いい加減人の部屋に入り浸るのは遠慮したい。

さらに言えば携帯電話が無い事にも、かなりの不便さを感じている。

もうすぐ夏休みもあるので、一ヶ月ぐらいの短期バイトで遊ぶ資金も調達したい。

とはいえ、頼みの預金通帳の中にも、雀の涙ほどの残高しか残っていないのが現状だ。

その理由をなぜかと問われれば。女同士で行くショッピングというものは恐ろしいという事。

以前、学校で化粧品の話題になった時、俺が美容に関して無頓着だという事がバレて、放課後店へと連行された事がある。

お店に着くなり皆が到底日本語とは思えない、訳の分からない名称を言い合う。

そんな三人に気圧されて呆然と立ち尽くす俺が、愛想笑いと生返事を返している間に、持っている買い物籠はどんどん品物で埋まっていく。

そしてその化粧品やらすべてをレジに通して表示された驚愕の金額。

俺は思わず、その金額を復唱するレジのお姉さんに『日本は本当に不景気なのか』と問いたい気分になった。

どこぞのニュースで言っていた、女性が美容のために費やす金額を聞いて『それは嘘だろう』と鼻で笑っていたりもしたが…。

今はそれが嘘ではなく本当なんだと、不安になって事前に預金を下ろしておいたはずの己の財布の中にいた諭吉さんの尊い犠牲によって理解させられた。

しかしだからといって翔一人を働かせるのもどうかと思う。やはり私も一緒にバイトするべきだろう。

問題は俺の蓄えと学生一人の短期バイトで、必要としている金額を賄うのは到底無理だ。いくら、そこに翔がバイト代を少し分け与えてくれた所で、その金額には届かないだろう。

(まてよ…?給料を銀行振り込みにしてもらえば…)

現翔は、自分名義の預金通帳の暗証番号を知らない。通帳とカードを隠している場所さえも知らないだろう。

そうなれば――

「そのまま翔のバイト代を全額せしめる事も可能……!」

「優さん。悪魔の如き本音がダダ漏れてます」

「よし!翔、バイトするぞ!」

「いえまあ、月一に支給されるお小遣いで私は十分なので、夏休み、貴女とその友人の遊びに付き合わされる分さえ残してくれるなら別にそれで構いませんけどね…」

思わずガッツポーズをとりながら構わず話を進める俺を、翔は冷ややかな視線で見つめながら、深く溜め息をついた。



いやホント凄いと思うよ?(挨拶)

夏休み中に何処か出掛ける話を書くつもりなら、まずお金が必要だと思ってバイト編の始まりです。はてさて。いったいどうなるのやら?

お手紙、コメント、感想大歓迎です!文法的におかしな部分、読み難かった部分があればご指摘、もし宜しければお願いします。

それでは〜。如月コウでした(礼)

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