二百文字詩集～カケラモノガタリ～

温もり

　かーっとなって家を飛び出した幼少の記憶。

　今思えば、ほんとうに些細なことだった。バカじゃないかって思えるくらい。

　だけど、何も言わずに帰ったときの、母の無言の微笑みを見て、不謹慎だけど、いい経験になったと思った。

　僕が大人になったら、親になったら、子どもにそういう風に笑えるかな。

　誰よりも辛いのは誰かって、考えられるのかな。

　大人になるのって難しそう。

　母も父も、そういうことを思ってたのかな、なんて思ったり。