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撫子は強く咲く〜美少女サッカー育成ゲームにTS転生した俺、最弱高校で最強を目指す〜  作者: 風野唄


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001話 99連勝の無職

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

 暗闇の中で俺のテリトリーであるデスク周りだけを明るく照らすPCの光。

時間は深夜3時を過ぎた辺り。

家族はみんな寝ている時間だが、33歳無職の俺にとっては寧ろこの時間帯からが活動時間まである。


 最初は眠気覚ましに買っていたが、今では味が好きで買っているカフェインたっぷりのエナジードリンクをこれでもかと流し込む。

気合いを十分に注入したところで画面へと睨めっこを再開する。


 今、俺が夢中になっているのは『エンジェルイレブン』という美少女ゲームだ。

可愛い女の子がキャッキャッ、うふふと動いている姿からは、二次元でしか摂取できないものを感じさせる。

だからこそ、こんなに熱中してしまうのだ。


 それに本来のゲーム要素であるサッカーと育成を組み合わせた要素もおまけと侮るなかれ。

7個のステータスと多種多様なスキルから生まれる無限大の組み合わせで、オリジナリティ溢れる選手育成が可能となっている。


 ストーリーモードはとっくの昔にクリアした俺は、エンドコンテンツとして用意されている監督モードをプレイ中。

昨日の夜で、99年連続のヴァルキリーカップを優勝までを記録している。

ヴァルキリーカップはインターハイをゲームっぽくアレンジしたもので、予選と本戦に分かれているのは変わらず、試合数をそれなりに熟さなければならない。


 つまり、この連勝はかなり労力とある程度の運が絡んでいると言えるのだ。

何回か連勝記録がリセットされた時には心が折れそうになったけど、完璧な育成理論を確立してからは安定して記録を伸ばせた。


 しかし、それも今日で最後だ。


エンジェルイレブンの終わり時を探していた俺は、ようやく100年連続優勝というキリの良い記録達成を目前にしている。


「決勝戦も楽勝だろうけど、気を抜かずにやんないとなー。集中力切れて負けたとかなったら死ぬ自信あるし。おい、分かってんだろうな! 俺がどれだけの時間費やしたと思ってんだよ!」


 ゲーム配信をしている訳でもないのに独り言。

癒しで始めたはずが呪縛となりストレスへ変貌しているので無理はない。

これだからゲーマー気質は困る。

いつの間にか萌えを萌えとしてでなく、システムとして見てしまうのだから。


「これクリアしたらストーリーもう一周しよ」


 そして、ゲームの疲れをゲームで取り返そうとするところも性質の1つだ。


「んっ? なんだこの高校? こんだけプレイしてて見たことないぞ」


 決勝戦の高校は見たこともない相手だった。

ユニフォームやキャラの顔は真っ黒で不気味だし、ステータスも文字化けしていて全く読めない。


 ここに来て致命的なバグを引き当ててしまった。

このまま画面を食い入るように眺めても改善されはしないだろうと、試合開始のボタンを押してみる。

エラー吐いて処理落ちするのを覚悟していたが、案外すんなりとキックオフまで進められてしまう。


「試合が始まればこっちのもんだよなァ! 余裕で……はっ? ハァーー!!?」


 あり得ないッ! あり得ないッ! あり得ないッ!

キックオフからいきなり直接ゴールをしやがった!?

例え現実であり得ても、このゲームでは絶対にあり得ない!


 システム的にシュートレンジを上げるスキルをどれだけ積んでも最大で35メートルが限界だ。

それ以降は距離に応じて、得点率も下がる。

50メートル近くとなれば、余程パラメータが低くなければ止められるはず。

それなのにあの距離で確実に決めた。


「ふざけんなよ! そっちがその気なら全力出してやる」


 無職舐めてもらっちゃ困るぜ。

こちとら心血注いでゲームやってんだぞ。

マウスを握る手に力が入る。

緩んでいた気持ちをグッと引き締めて真剣モード。

ここからは1点もやらないつもりでプレイしてやる。


 プレイ再開と同時にマウスを忙しなく動かす。

寸分の狂いもなくパスを回してあっという間に敵陣のゴール前まで。

流石にこの不可避の速攻に相手も追い付けないらしく固まって動こうとすらしない。

シュートモーションに入り、スキルが発動。

弾丸の様に速いシュートが相手のGKを襲う。


 確実に同点で試合を振り出しに戻したと思い、ホッと一安心しようとした時だった。

あろうことか相手のGKは反応した上に、軽々と真正面でキャッチしたのだ。


「ここまで来るとバグってよりはチートだな」


 堪らずポーズを掛ける。

ゲーミングチェアに深く腰掛け直し、天を仰ぐ。

折角、入れた気合いとカフェインがこんな形で無駄になってしまうとは。

試合開始から5分にも満たない中で勝機を失った俺は、マウスを握ることすら躊躇った。


 でも、ちょうど辞めようと思っていたところだ。

これもゲームからやり過ぎ注意の警告として……


「受け取る訳ねーよなッ! バカが! 何時間プレイしたと思ってんだ! 舐めんなよ?」


 まだ時間はある。ここから逆転する事だって可能なはずだ。

いや、無理だったとしても、チートバグチーム相手に1点決めたら勝ちということにしよう。

それくらいのマイルールを適用しなければ、やってられるか。

勝った暁にはラブレター並みの長文で、運営にバグの修正依頼出してやる。


「……やるか」


 首をぐるっと回して鳴らし、トンと心臓を叩く。

瞬きをするのさえ躊躇う超本気モードの合図。

 

 ポーズ画面を解いて、試合続行。

格上相手の戦い方だって心得ている俺は、早速キーパーが出したボールをパスカット。

高い位置でのボール奪取に成功。

パスコースはGKのモーションと溜めの動作を見れば3択ぐらいまで絞れる。

これくらいは朝飯目のテクニック。

ドヤ顔を決めてやるまでもない。


 問題なのはこれからだ。相手はあの理論値弾丸シュートを容易く止めてみせた。

生半可な攻撃は通らないと思った方が良い。

となるとこちらが出来る事はただ1つ。

ハンムラビ法典にも記載されていたように 目には目を、歯には歯を、バグにはバグを。


 直接GKを相手にしなくてもゴールに決める方法は存在した。

シュート時にループシュートのコマンドとパスボタンを同時押し。その後、ボールへの当たり判定が消えて空振りを連発し始める。

空振りは3秒程度で収まるが、収まる前に間髪入れず通常のシュートをコマンド入力するとバグの完成。

映像のボール位置と実際に判定がある位置にズレが生じて、キーパーがボールを止めたはずなのにゴール扱いになるという鬼畜技。通称、亜空間シュート。


 バグを利用するのはあまり褒められた行為ではないので、普段から使うことはしていないが今回は訳が違う。

絶対に勝ちたいという欲望が禁断の果実に手を染めてしまった。


「……おい、嘘だろ。得点出来てなくね?」


 俺が手順を間違えるはずがない。

だとすると、亜空間シュートはいつの間にかサイレント修正されていたのか?

頻繁にSNSで情報を漁っているがそんなことは誰も言っていなかったはず。

頭の中は疑問符で埋め尽くされる。


 誰か俺の身に起きている不可解な現象の答えを教えてくれ。


『君、面白いシュートを撃つね』


 俺の願いに応えてくれたのは画面に映されたテキストだった。


『暇つぶしのつもりだったんだけど、こんなに満足しちゃうとは』

「……俺、疲れてんのか? 2徹した訳でもないのにおかしいな」

『あはは! 大丈夫、君がおかしい訳ではないから。と言っても、信じ難いとは思うけどね。うーん、そうだなー……。あっ、そうだ! じゃあ、僕が満足出来た分、君に良いことをしてあげるよ』

「良いこと? 宝くじ当選とか? 不労所得とか?」


 って、何真剣に画面と会話してるんだよ。

さっさと寝た方が良さそうかもな。

PCの電源すら落とさずに、ふかふかのベッドへと直行する。

何故だかいつもよりすんなりと眠れそうだ。

意識も……だん…だ……と、


『いってらっしゃい、エンジェルイレブンの世界へ』

ご覧いただきありがとうございました。

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