轢かれて死んで来世は楽しむぞ!と思ったらただの狐だった。 ep.13
それから数日間、私は再び森で引きこもり修行を開始した。
まずは魔力を極限まで薄く、そして強靭に紡ぎ出し、糸を作るイメージ。
次に、その糸を複雑に編み込み、布の構造を脳内でシミュレートする。
『……くっ、脳が焼ける……! セーター一枚編むのとは次元が違う……!』
最初はボロボロの雑巾みたいな塊しか作れなかった。
けれど、二日目には滑らかな感触の布になり、三日目には服としての形を成し始めた。
『イメージしろ。汚れを弾き、破れにくく、かつ動きやすい……。デザインは、あまり目立ちすぎず、でも放浪の旅人として不自然じゃないローブスタイルで!』
私の目の前にどこか質素な風合いのローブとその他もろもろが現れた。
魔力を物質化して固定しているため、これは魔法を解いても消えない本物の服だ。
服が完成してからは、その服を着た状態での人間形態の維持訓練だ。
ただ立っているだけでなく、呼吸、まばたき、歩行――それらをすべて魔力で制御し、無意識にまで落とし込んでいく。
(よし、これならいける。魔力消費も、この土地の濃度なら自動回復の範囲内で収まるようになった!)
数日間の特訓を終え、私は再び立ち上がった。
鏡代わりの水面に映るのは、精巧に作られた白いローブを纏い、白銀の髪を揺らすケモミミ美少女。
「……完璧。これなら、どこからどう見てもちょっと珍しい毛色の、身なりの整った獣人族だよ」
私は満足げに頷くと、今度は四つ足ではなく、二本の足で軽やかに地面を蹴った。
「お待たせ、文明社会! 今度こそ、正規ルートで入国させてもらうよ!」
私は自信に満ちた足取りで、再びあの巨大な壁の門へと向かった。




