ラスト
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その日だけは、別れの挨拶が異なっていた。
「必ず、もう一度、もう一度会えるさ」
俺はその言葉を発しながら去っていく彼をただただ
古びた鉄パイプの階段に座りながら見ていた。
ポケットに数本あるタバコを取り出し火をつける。
いつもの癖で周りを確認してしまった。
「ああ、もう学校はないのにな」
俺とアイツはこの古びた鉄工業で盛んな街で育った。そして汚いこの場所、思い出のある学校で9年間過ごした。
人はそこそこいたが俺に会うのはアイツしかいなかった。
お互いに誰も知らない中でたまたま隣の席に座り、意図せず近所の鬼おばあの話をしたら気があってずっと過ごしちまったよ。
ほんと、長くて、夢みたいに短かったなぁ。
アイツと過ごした日々は腹がひっくり返るくらい面白かったよ。
授業中に抜け出して街を大人ぶって歩いたり、タバコを隠れて吸っていたら1番怖い教師に見つかったりな。
窓ガラス、どれだけ割ったんだろうな。
どんだけ怒られて、どんだけ酒飲んで...
どれほど笑ったんだろうか。
涙で前が見えなくなる。俺は、アイツは、兄弟同然だった。お互いに一人っ子だとしても。
「最後まで泣かせんなよ」
アイツは家が貧しいことを理由に学校を卒業後、軍部に入るために別の星へ向かった。
ここ、ラペル星は第一帝のお膝元だ。
鉄を生み出し、それを第一帝の元まで運ぶ。
そしてそれを加工して軍部を強化していく。
この街は戦争に協力しているんだろうな。
鉄の冷たい感触を尻に敷きながらひたすらタバコを片手に彼との思い出に老け続けた。
俺も軍部に入れば会えると考えたこともあったが、昔学校で受けた適正試験に落ちてしまっていた。
だから俺はここでひたすら熱い鉄を打ち続けるしかなかった。
親戚も何もかもがこの星、ラベル星に置いてあった。そのせいで抜け出そうにも抜け出せない。
そして唯一、彼だけがこの星を抜け出していった。
吸いすぎたせいか喉が締め付けられる。
どうすればこの現実から抜け出せるんだ。
俺は無意識のうちに酒に手を出していた。
やっぱり親父と同じで俺は酒に逃げることしかできないんだろうな。
「これも血筋か...」
ここで生まれて、鉄の匂いと共に埋もれて行くんだ。
「俺も...この大空をかけてみたかったな」
いつのまにか月明かりに照らされ、星は輝きを放ち続けている。そんな真上を俺は星とコンタクトを取っているかのように見続ける。
相変わらず月は二つ、浮いていた
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