夕月 遥
天音「あとがなくなったってどういうこと?」
太一「そのまんまの意味だよ 俺は全国模試でトップ10以内には入れないから」
天音「全国模試って確か 卓球大会のあとだったよね?」
太一「ぁぁ だから卓球大会が終われば俺も卓球を辞めさせられるってことさ」
天音「そんな、、」
太一「お前の方はどうなんだ?俺が入っても4人 メンバーは足りてないんだ つまり、あとがないんだろ?」
天音「うん、団体戦は5人でやるから一人足りない 新潟盲学校として参加するには絶対絶対に!団体戦に参加しないとダメなの!」
天音先輩は盲学校存続をかけて 太一くんは卓球を続けるために あとがなくなった2人は並々なる覚悟をもってこの大会に挑もうとしていた
そんな2人を横目に無言を貫く人がいた
「綾音ちゃん?大丈夫?」
綾音「はい、大丈夫です」
「やっぱり遥先輩が気になる?」
「はい」
あれっきり全然見かけなくなった卓球部の部長はこんな大事な時でさえ不在であった
綾音ちゃんはそんな2人の口火を切るようにある提案をした
綾音「やっぱり遥先輩が卓球部いないとダメな気がするんです だから」
天音「そうだよね!!!」
太一「ダメだ!」
天音先輩の喜びを一瞬で掻き消すようなそんな発言に思わず固まってしまった
太一「遥先輩は3年生 受験生だ 言ってはいけないが こんなサウンドテーブルテニスにうつつを抜かすしている場合じゃないんだよ! ましてや彼女は生徒会長 文化祭や寮祭 それに他の部活動の部長までやっているらしいじゃないか!お前らはそんなに遥先輩を大学に行かせたくないのか? 遥先輩のためならもっと係を分担して早く遥先輩を勉強に集中させるべきだ」
天音「そ、そうだよね」
綾音「せっかく 私たちもここまで来たんです! 活躍できないと新潟盲学校はなくなっちゃうかもしれないんです! あと一人 あと一人で念願の団体戦出場が決まるのに 天音先輩はあきらめるんですか!」
天音「そ、そうだよね」
珍しく綾音ちゃんは自ら 気持ちをあらわにしてみんなに伝えた
天音「亮君はどう思う?」
「俺ですか?」
投げ石がきた もちろん 団体戦に出場して新潟盲学校をもっと全国に広めたい でもそれで遥先輩が筑波大学に落ちたら? どうなる? それこそ 天音先輩は悲しむのではないか と
太一「亮 大学は人生を左右するとっても大事なんだ」
俺が出した答えは
綾音「遥先輩がいました!」
綾音「天音先輩がせっとくをすれば必ず卓球部に入ってくれますよ! だって 今いる中でサウンドテーブルテニス部 2人目の入部
者なんですから」
俺は遥先輩を説得して卓球部に入ってもらうことにした やはり大会に出たい 遥先輩の学力の実力ならば筑波大学にも入学できると思ったからだった
天音「遥ちゃん!」
遥先輩が天音先輩の方をそっと振り向く
遥先輩に ちゃん付け できるのは天音先輩だけだ 相当信頼関係がある証だ
天音「遥ちゃん? もしもさ 私のことを気を使ってくれているんだとしたらさ もう大丈夫だよ? 」
遥「ん?」
天音「STTしなくてもいいよ?」
綾音「え?なんで?」
「はじめてなんだ」
綾音「はい?」
「はじめて 天音先輩が自分からサウンドテーブルテニスをしなくてもいいよっていうのが」




