本気でやれよ
「、、、、」
綾音「ノーゴールです」
天音先輩と太一くんとの非常なる戦いは続く
2対0となり 天音先輩にサーブが回ってきた サーブならばノーゴールになる心配はない これならば天音先輩の高速サーブで一発だ
天音「行きます」
太一「はい」
天音先輩が出したサーブは俺でも打てそうな緩くて遅い ボールだった
どうぞ打ってくださいと言わんばかりにコロコロコロコロと太一のラケット近くへと向かうボールを太一はラケットを払うようにして天音先輩のいない太一からみて右側コートに打ち込んだ
「セーフ! 太一くんの玉が天音先輩のエンドフレームにあたってコートに残りました ポイント 3対0」
天音「行きます」
太一「はい」
さっきと同様に天音先輩のサーブはコロコロコロコロゆるりと太一くんのラケットに向かってくる どうぞ打ってくださいというボール むしろそこに向かって狙っているようにしかみえなかった
太一くんはそれに気にする素振りもなくさっきのように天音先輩のいないエンドフレームのコートの中にいれた
綾音「セーフ!太一くんの玉が天音先輩のエンドフレームにあたってコートに残りました ポイント 4対0」
再び太一くんからのサービスである 太一くんは思いっきり「行きます!」と声を出したが天音先輩はそれに反応することもなくただ固まっているだけの人形でしかなかった
太一「チ!」
太一が舌打ちをするあまりの天音先輩の対応に怒りがこみ上げてきたのだ
冷静になり 太一くんはサービスを打とうと掛け声を発するが天音先輩はそれにも声を出さなかった
太一くんのボールは天音先輩に向かうことがなくポイントを積み重ねていくだけであった
得点は 6対0の一方的 いや 自ら得点を差し出す天音先輩に俺は耐えられなかった
サウンドテーブルテニスをはじめてから無敗の天音先輩がこんな形で負けること それは盲学校のため 団体戦に参加するために自己責任だと分かっているからこそ悲しくなった
(無理して団体戦に参加しなくてもいいよ?)って言いたくなる そんなことを決める試合は続けてほしくなかったのだ
「もう、 やめてくれ!!」
そう口に出そうとした瞬間 太一くんも重なるように声を出した
太一「本気でやれよ!」
太一もまた俺と同様に天音先輩の自ら得点を差し出す彼女に嫌気がさしていたのだった
太一「もう 一方的な得点差だ!普通にやったって天音先輩は勝てない だから本気出せ それともあれか?本気でやって負けるのが怖いんだろ?無敗の天才美少女が本気でやって負けたら恥ずかしいもんな!」
天音「は?」
明る様に挑発する太一に天音先輩は反射的に悪い態度をとった
太一「俺は関東大会第3位とまだ弱い対して 天音先輩は全国大会優勝 本気でやって負けたら全国大会優勝がインチキだったと分かるか」
天音「インチキ? 私は本気で全国大会優勝したの!」
(お母さんに似たのか太一くんは人を見下すのが非常に上手い(笑))
綾音「あの、試合 はじめても?」
天音「ごめんね、綾音ちゃん」
天音「行きます」
太一「、、、」
天音「え?」
綾音「ノーコール ポイント天音先輩」
天音「なんで?)
太一「お前がやったからやった」
天音「太一くん?怒るよ?」
太一「本気でやれよ」
天音「私が本気でやったら太一くん一瞬で負けるよ?」
太一「やれるもんならやってみな?」
天音「く!!」
天音(私はサウンドテーブルテニスでからかわれることが1番嫌だった 私の1番大好きなスポーツを汚された気がしたからだ)
天音「太一くんは関東大会第3位って言ったよね? 」
太一「そうだが」
天音「君の心をぐちゃぐちゃにしてやるよ」




