天秤
天音「どうしてお母さんが? お母さんは東京で働いているんじゃ」
太一「お母さんはそういう人なんだ 俺がサウンドテーブルテニスをまたやりたいことをどこかで知ったのかまたサウンドテーブルテニスをやめさせようとしてるんだよ」
天音「またお母さんのせいにする!」
太一「だってそうだろ?なんだって親の同意がなくてはならない 未成年の苦しいところだ」
天音「じゃお母さんの同意があればサウンドテーブルテニスをやってもいいんだね?」
天音先輩はどこか客観的で冷静だった
太一「もちろんだ 俺はサウンドテーブルテニスをやりたい」
天音「へへへ じゃサウンドテーブルテニスをお母さんにみてもらえば大丈夫!楽しいから!」
無知な発言でも天音先輩には関係ない
純粋で前向きで洗練されたその言葉に俺は何度も励まされてきたのかもしれない
俺たち3人は体育館に集まって台を運びサウンドテーブルテニスの準備をはじめた
体育館の裏口から太一くんのお母さんが入ってきた
母「太一 ここまできてまだサウンドテーブルテニスなんかしてるの? やめなさいって言ったわよね?」
天音「わ、私が誘ったんです! 太一くんはすごくサウンドテーブルテニスをやりたがってます!だからお母さんも」
母「あら、あなた 天音さんよね?」
天音「あ、!はい」
母「東京でもすごく噂になっているわ 全国弁論大会では白状についての弁論がすごく心撃たれました そして音響式信号機の普及率を90%にしてまさか日本政府まで動かすほどの強い影響力をもった生徒と聞いています」
天音「い、いえ、そんなことは」
母「サウンドテーブルテニスでは5年間未だ負けたことがないらしいじゃないですか そして「天才卓球少女」として今年新潟県で行われる北信越盲学校卓球大会ではサウンドテーブルテニスの顔として NHKフォーラムやローカルTVの取材もたくさん受けて大変らしいですね ほんとに太一とは違い尊敬します」
天音「そんなことは ないです」
母「そんな有名人である天音さんが太一の部員に招き入れたいのはやはり団体戦のためということですよね?」
天音「そ、はい」
いけない 天音先輩は太一くんのお母さんの圧に圧倒されているようだ
母「それで私から提案なのですが ここにいる息子である太一とサウンドテーブルテニスで試合していただけませんか?」
天音「え?は!はい! よろこんで!!!」
「サウンドテーブルテニス」 「試合」 というワードで息を吹き返したように元気な姿をみせる天音先輩
母「そして、太一に負けてください そうすれば太一の入部を認めてあげますよ?」
天音「え?」
母「無理ですよね?無敗のあなたが弱い太一にわざと負けるなんて(笑)」




