太一の本当の気持ち
天音「私たち卓球部は3年生の遥先輩と私の2人しかいないの!だからお願い!卓球部に入って!」
俺は今更なんだと思った
天音先輩 天才少女のサウンドテーブルテニスプレイヤーは5年間の間 他の部員を勧誘したりしていなったと聞いたからだ
(新潟盲学校でやっとサウンドテーブルテニスのない世界に立てると思ったのに)
もしもあと俺が遅く生まれていたなら遥先輩は卒業してこの話はなかっただろうか
天音「STTしょーよ!」
天音先輩の熱い言葉を聞いても至って普通に接している他の1年生たち
(そうか、俺以外サウンドテーブルテニスを知らないのか)
サウンドテーブルテニスをやめた俺としても心が荒んでなんだが悲しい気持ちになった
裕也「2人いれば卓球できんだろ俺はグランドソフト部がいいんだよ それに天音! 先輩 個人戦に出ればいいだろ!」
なにも知らない裕也の言葉はさらに感情が高まっている
(そうだ 今まで通り個人戦で活躍すればいいじゃないか 個人戦では無類の強さを誇る天音先輩だ 団体戦じゃなくても盲学校の中では知らないやつはいないぐらいの人気者なんだぞ)
天音「団体戦に出場じゃないとダメなの!」
天音先輩は荒げた声に想像以上に教室がその声に残響する
(その気持ちはすごいわかる 一人って怖いよな なにもない世界に取り残されたような感じだ)
天音「チームだから1人でだと学校名がつかないの、団体戦じゃないと」
(個人戦は学校名ではなく選手名で登録される だから 新潟県盲学校の東上天音ではなく 天才卓球少女 東上天音としてNHKで取材されている)
天音「グランドソフトボール部はチームで戦ってる
卓球部はその舞台にも立たせてくれないの?」
しばらくして1人の男子生徒が椅子から突然立って思いも寄らないことを言い放った
「俺!STTしたい!」
俺は彼を鬼のように睨みつけた
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太一「ふざけるな 俺はサウンドテーブルテニスを辞めるためにこの学校に入学した 今更なんだよ!サウンドテーブルテニスをしてたって意味がないんだよ!」
天音「ごめんなさい そんなことがあったなんて
知らなくて」
太一「天音先輩は悪くないよ 俺はサウンドテーブルテニスをしないって決めたんだ もう勧誘しないでくれ」
天音「でもさ、太一くん?」
天音先輩は俺に一点をみつめる 目が見えない 確かに 俺の瞳に向かって喋りかけているように見えた
天音「ほんとに ほんとに サウンドテーブルテニスをやめたいと思ったの?」
俺の脳内に語りかけるような優しくて強いその言葉は青くまっさらだ 俺もまでも偽りの言葉を出せないような澄んだ空気感は俺は困惑させた
太一「く、 サウンドテーブルテニスはもうしないって決めたんだよ!母が筑波大学に入学させるために」
天音「私はお母さんじゃなくて太一くんの本当の気持ちを聞きたいの!」
今度は強く投げかけるように放ったその言葉に心臓の鼓動がどんどんと強くなっているように思えた
天音「中学のときはいろんなことでサウンドテーブルテニスができない環境にあったかもしれない!、
でも今はどうなの?今の太一くんはSTTをやりたいの?やりたいないの?」
太一「俺は STT したいよ!」
天音先輩は満面の笑みで駆け寄ってくる
天音「今までよりもこれからだよ! またSTTしょ?」
亮(はぁ~よかったよかった)
そんな安堵の状況の中 突如となくまた新たな一報が届いた
先生「太一くん お母様がこの学校に向かっているそうです」




