ふたりっきり
天音先輩との試合から2週間がたったがあまり上達していないような気がする
ネットの下を通すという概念がない俺にとってはサーブ練習も一苦労だ
早く強く打っても上のネットにかかってしまう 逆に弱く打つとホールディングや2度打ちでダフることが多くなる
そんな絶妙な力加減が俺にとっては難しく思えてならない
ただ2週間で変わったことがある それは毎日部活に行くときに天音先輩が1年の教室に顔を出して一緒に行こうと俺を誘ってくるようになった
伊藤くんはなんだか羨ましそうにしているような気がする 今日もかわいい天音先輩が俺に手招きをしていた
天音「亮君ー!部活に行くよー!」
「お!おう!」
こういう時はいつも力が入ってしまう
天音「それでねーこの前先生がねー 、、、、」
天音先輩との会話はほとんどない いつも天音先輩が一方的にしゃべって 俺が聞き役に回るという展開が多い
天音「あれ?今日も綾音ちゃんいなかったね」
「今日も生徒会の仕事って言ってたような、、」
天音「ふーん、大変なんだねー」
綾音ちゃんは生徒会に入ったようだった詳細なことはわからないが3年生の部長である遥先輩がいるからということらしい
天音「じゃ、今日もふたりっきりだね❤」
「う、そうですね」
ふたりっきりという言葉に少し戸惑いを覚える天音先輩は何も考えてないみたいだけど俺はもう心臓がバクバクだった
体育館に着くと当たり前だが誰もいない フロアバレーボールは冬場の練習少ないからな
おずおずと卓球台を運んでいく天音先輩は目が見えないので俺が率先して卓球台を動かす
後ろで動かしていた天音先輩が笑いながら声をかける
天音「今度の休日遊びに行こーよ!」
「え?今なんて!」
「ガタン」
「痛って」
天音先輩の突然の誘いに動揺した俺は立ち止まったせいで卓球台の角に膝を打ちつけた
天音「なに?急に止まって」
「天音先輩まじっすか!今の話」
天音「休みの日に遊びに行くだけじゃん!」
「それって!他に友達とかいますよね?」
天音「違うよ?亮君と私だけ」
(ふたりっきり?ってことだよな?いやいや待て待てこれってデート?ってことじゃないのか? なんで俺と もしかして俺のことが?)
天音「新ししく買いたい服があるんだけど 私目が見えないから一緒に探して欲しいんだけど?」
「そ、そういうことっすか!そういうことなら大丈夫ですよ!」
天音「ホント?よかった!ありがとう亮君!めちゃ助かる!」
(そりゃ、そうだよな、)
天音「じゃ今週の日曜日ね!」
斯して 俺は天音先輩と付き添いという形ではあるがふたりっきりで休日に出かけることとなったのだった