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STT 「サウンドテーブルテニス」  作者: 太陽
サウンドテーブルテニス編
20/40

第19話 卓球と盲人卓球の違い(実戦編)


遥「よし!2人ともラケット持ったな」



亮「はい!」


天音「はーい」




遥「まずはジャンケンでサーブとコートを決めるぞ」


亮「あーそれはもう大丈夫ですよ 卓球やってたんで」



遥「そうだったな!じゃ~いくぞー?ジャンケン」



天音「パー」


亮「、、、」


俺は先輩と同時にジャンケンをした



天音「え?亮君?今何出した?」


亮「えー?ジャンケンの時に出したやつを言うんですか?」



遥「当たり前だ」


もちろん本来の卓球にそんなルールはない

ジャンケンの直後に出したものを言うんだなんて俺ははじめてのジャンケンの体験をした



遥「これは視覚障害者の卓球だぞ?当然アイマスクをしているからお互いが何を出したのか分からない だから声を出してジャンケンの結果を伝えるんだ グランドソフトの時もやったらーが」


亮「す、すいません」



キレ気味となった遥先輩に対して深々と陳謝した



遥「じゃ~いくぞー?ジャンケン」



天音「グー」


亮「チョキ」



天音「やったー勝ったー!じゃ~サーブでー」


遥「亮君 コートはどうする?」


亮「そのままでいいです」



遥「よし!天音サーブからだ」



亮「あのー」


遥「なんだ早く試合させてくれ」


亮「お互いのラケットをチェックするのは」


俺以外の3人はポカンと顔を傾げている



遥「あのなー前も言ったがそのラケットはラバーが付いてないんだ、それにサウンドテーブルテニスのラケットはそれ専用で販売されている ラケットチェックもなにも同じラケットだからチェックしなくてもいいんだよ」



亮「そ、そうなんですか、」



またしても食い気味に怒られてしまった



遥「天音サーブから試合開始」



いよいよ天音先輩との卓球対決が開始された

最初のところは少し手間取ったが試合になってしまえばこっちのもんだ それに相手はアイマスクの全盲 こっちは目がみえる弱視だ

負けるはずがない



亮「遥先輩 1点とったらジュース3ヶ月お願いしますよ?)



遥「はいはい いいか?相手のエンドフレームに当たって、台に乗ったら自分の得点になるからな」


天音先輩がピンポン玉をセットする あんなに大きければ一瞬で勝てる



天音「いきます!」



亮「、、、、」



天音「行きます!!!!」



亮「、、、、」




遥「ストップストップ! 亮 天音が行きますっていったら「はい!」って言えよな!」



亮「はい?」



俺の頭の中には疑問 という2つの文字が溢れていた



遥「いいか?まず サーブァーは準備ができたら「行きます」って合図を送る そしてそれを聞いたレシーバーは「はい!」と合図を送る それによってサーブが打たれ 試合が再開させるんだ わかったか?」



亮「はい、!すごくわかりました」



天音「行きます!」


亮「はい」



「スパーーーン!」



亮「えーーなんだ 」


俺の声と同時に放たれたサーブは一瞬にして俺のコートの真ん中に突き刺さった

放たれたボールはあっという間に俺のフレームに当たり俺のコートの真ん中でくるくると回っていた




「1−0」



亮「少し油断しただけだ 次こそは」




天音「行きます!」


亮「はい!」



「スパーーン!」



亮「えー?なんだあれは」


またしても天音のサーブは一瞬にして俺のコートに突き刺さった あまりの速さに俺はラケットを振ることすらできなかった

そのサーブはまるで黄色い閃光のように一直線に光って俺の目の前から消えていった



「2-0」



遥「サーブは2回交代だから次は亮からな!」


さっきは天音先輩からのサーブだったから取れなかったが今度は俺からのサーブだ どんな強いサーブが打てたってその後取れなければ意味がない 

そして相手は目がみえないんだぞ



(えーっと サーブの前は声出し)


亮「行きます!」



天音「はい!」



俺は思いっきりラケットを滑らせボールを打った 天音先輩ほどではないが速いサーブ これなら、



「スパーーン」



「3ー0」



俺のサーブを一瞬で見極めた天音先輩は俺のいないところに強いレシーブを返した



(レシーブも強いのかよ!!!!)


俺は心のなかで叫んだ



ただ やってるだけでは勝てないと踏んだ俺は天音先輩が妙にフォア側に立っていることに気づいた

卓球をしていた俺はラケットの扱いには慣れている なので左右に打ち分けるぐらい俺にとっては簡単だった



(よし!これなら)


亮「行きます!」


天音「はい!」


俺は天音先輩のバッグ側に思いっきりサーブを打ち込んだ



天音先輩のフレームに俺のサーブが当たった



亮「やった!勝ったそ!」



「4-0」



「えー」



遥「サーブはフォア側に打つことがルールなんだ 亮はバッグに打ったから天音の得点だ」


「なんですとーー」



それから俺はいいところが全くないまま天音先輩が得点を上げていく



遥「行きますって言ってから5秒以内に言わなかったから天音の得点」


遥「サーブする時にボールとラケットを被せて打つな!天音の得点」


遥「フレームに当たらずにコート外に出たから天音の得点」



「10-0」


天音先輩のマッチポイント




絢音「はい!遥先輩!質問です!」



遥「ん?なんだね?絢音ちゃん!」



絢音「どうして天音先輩は目が見えないのにコートの真ん中がわかるんですか?」


遥「それはだな コートの外側をみてみろ コートのセンターラインのところの外には小さなボコがある 天音はそれを頼りにセンターラインがどこにあるか見極めているんだ」


絢音「す、すごすぎます!超能力みたいです!」


遥(まぁ、これができるのはこの学校で天音1人なんだかな)





亮(くぞ!まじで1点も取れない!サーブも速すぎて取れないし レシーブも取れないところに打たれるし 駆け引きも上手い)



この状況を打破するにはもっと速いサーブを打つしかない!



亮「行きます!」



天音「はい!」



思ったよりも強いサーブが打てた これなら



天音「亮君!速いサーブだね❤」



「スパーーン」


天音先輩のボールはサイドフレームに当たって跳ね返りエンドフレームに入った



「11ー0」



遥「天音の勝利」




天音「ヤッターー!!!勝ったー!!!」



天音先輩は満面の笑顔で体育館を跳びはねていた



負けた。、強すぎる、アイマスクとかアイマスク無しとかそういう問題ではない そのぐらい天音先輩は強かった 彼女はまさにサウンドテーブルテニスの天才少女だ


でも試合が終われば普通の女子高生 いつものように遥先輩と絢音ちゃんと仲良くガールズトークに花を咲かせている


天音先輩は全盲だ


留意すべきは天音先輩は目が見えないということにハンデともなんとも思っていないことだ

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