第18話 卓球と盲人卓球の違い(用具編)
盲人卓球とは
全国障害者スポーツ大会の競技のひとつで、視覚障害者が行う卓球です
遥「よし!早速やってくぞ!っていうかまだ卓球台すら出してなかったな」
天音「えーーまだ出してもなかったの?」
遥「そうだ!! 今卓球台を出すぞ!」
亮「あ!俺も手伝いますよ」
遥「お!サンキューな!それじゃ絢音ちゃんは卓球ラケットとピンポン玉頼むぞ」
絢音「はい!わかりました!遥先輩が言うでしたら私なんでもします!」
遥「それじゃ、俺たちは卓球台運ぼうか」
亮「あ!はい!」
俺と遥先輩は2人で卓球台がある倉庫に向かって歩きだした
遥「亮君 ここが体育館倉庫だ 部活の用具はだいたいここに揃ってるから覚えておくといい」
亮「はい、わかりました」
体育館倉庫は薄暗く少しカビの生えたような臭いがした 周りにはグランドソフトボールのボールやフロアバレーボールで使うボールなどが無造作に置かれている
そんな狭い体育館倉庫の1番奥で遥先輩が手招きをしている
俺は手招きする方向に迷うことなく歩み寄った
1番奥の倉庫はホコリっぽく1年ぐらい放置させられているように思える
遥「亮君 これがサウンドテーブルテニスの卓球台だ」
卓球台に残るホコリよりも俺ははじめてみる卓球台に驚きを隠せなかった
それは俺が知っているような卓球台とはまるで程遠いものだったからである
1番驚いたのはその構造だ 通常の卓球台は凸凹などはないのだがこのサウンドテーブルテニスの卓球台には縁の方に凸のような物が付いていてまるでガードレールのようだった
そして卓球台のネットは下から通れるくらいの隙間 まるで川を下る船をくぐる橋のように また 言い方を変えるならネットのトンネルのようなものがあったのだ
遥「驚いたか?まぁ通常の卓球台ではないからな」
俺が動揺して固まっているのを見越して話してくれたらしい そしてガードレールのような名前が名称が遥先輩の口から明らかになる
遥「これはフレームって言うんだぞ!自分の前にあるのが「エンドフレーム」両サイド周りに付いているのは「サイドフレーム」だ」
亮「サイドフレーム と エンドフレーム、」
俺はそのフレームの意味がわからなかったので遥先輩に切り出そうとしたがその前に遥先輩からさらに言葉をくりだす
遥「まずはここから体育館に運ぶぞ!ルールはそこからだ」
亮「あ、はい」
俺は少し強気で男勝りな性格の先輩に少し強張って返事が単純になってしまう
遥「よし!!通路も確保したし体育館に運ぶぞ!亮は前を持て 俺は後ろを持つから」
亮「はい、ってこれ折りたたみじゃないんですか?」
遥先輩は当然のようにうなずく 通常の卓球台はセパレート式になっていて左右から押し込めば簡単に折りたためる が この卓球台の真ん中には折りたためるような場所がない
ためそのまま直立の卓球台を運ぶのだ
狭い体育館倉庫の物にぶつからないようにしながら慎重に運ぶ混んでいく ようやく体育館倉庫から出ると開けた体育館へと出た
数分しか経ってないのに体育館の広さが心地よい感じだ よっぽど倉庫が息苦しかったのかもしれない
卓球台を体育館の真ん中へと移動し設置する
絢音「はい!どうぞ!」
卓球ラケットとピンポン玉をお願いされた絢音ちゃんはカゴに入れられたラケットを俺に渡してきた 今日もかわいい!
絢音「遥先輩もどうぞ!」
遥「お!絢音ちゃん!サンキューな!」
絢音「天音先輩も!」
天音「私は大丈夫!マイラケット持ってるんだ!」
天音先輩は自信満々に自分のラケットを天井へと掲げた
俺は自分のラケットを手に取る そしてあることに気づいた
(ラバーがない??」
通常の卓球はラバーと言われる表面がゴム製のものを貼り付ける、ルールとして打球する面にはラバーが貼られていなければならないのだがこのラケットはそれがなかった
遥「サウンドテーブルテニスのラケットはラバーがない だから木のままだ 回転をつけられないって思ったかもしれないがこのサウンドテーブルは転がして相手のコートに返すスポーツだ ラバーを付けてみろ粘着性のラバーならくっついて弾まなくて卓球にもならんわ!そしてゴムだから音も出ないしな」
俺はこれから本来の卓球とは根本的に違うスポーツを試合するのだと思った
「カラカラカラカラカラカラ」
絢音「ご、ごめんなさい!」
慌ててボールを拾い集めようとする絢音ちゃんに対して俺はまたも朧いた
亮「ピンポン玉の中になんか入ってるんですか?」
無造作に散りばめられたピンポン玉から遥先輩は足元にあったピンポン玉を一つを拾った
遥「サウンドテーブルテニスはボールの中に金属球が4つ入っている その音を頼りにプレーをするんだ ピンポン玉を振るとカラカラカラって音がするぞ」
俺は通常の卓球とは全く違うスポーツを今からやろうとしていることに少し戸惑いを隠せなかった