第15話 南ちゃんが本当に強い理由(誠)
「南ちゃーん?」
南ちゃんは電話中だった、盗み聞きするつもりはなかったがその様子がなんとも試合の話題だったのでなんとも気になってしまった
ロッカーのドアの前でひょっこりと顔を出しながら俺はその様子をうかがっていた
南「新潟の試合楽勝だったわーホントに弱すぎて萎える」
「え?南ちゃん?」
南ちゃんがああいう発言は予想外だったが確かに新潟と石川とじゃ力を差はありすぎる
歴然としか言えない
悔しかったがそのことを奥底にしまい気持ちを閉じ込めて目をつむった
驚愕したのはその次の話題からだった
南「あんなに弱かったんなら別に色仕掛しなくてもよかったんじゃない?山田は私の色気にも動じなかったけど別にしなくても勝てたし だいちさぁー去年の全国選抜と時だって私が全部投げてたら優勝だったのに 控えを使いたいとか なんとかで山田を使って逆転負けだったしさ!ホントうざい」
色仕掛?なんのことだ? まさか新潟チームに負けてほしいって言ったってことなのか?
山田先輩のせいで優勝を逃した?
南「ていうかあんなにうまくいくとはねー(笑)私が好きって告白するだけみんな言うこと聞いてくれるなんてホントバカだよね(笑)」
「まさか?南ちゃんが?」
俺は震えが止まらなかった 決起会のあの話 朝の試合の前のあの告白は全部演技によるもので 全然そんなことを微塵も思っていなかったのだとわかった
「ガタン」
南「誰?」
ヤバい!思わず 動揺のあまり音を立ててしまった
「こ、こんにちは」
南「亮君、今の聞いてたの?」
「あ、!はい」
隠そうと思ったが無駄なので俺は偽りなく答えた
「南ちゃん、色仕掛、それはどういうことですか?」
俺は確信に迫るように南ちゃんに問いかける
南「違うの!亮君?私は別に「負けてくれない?」って一言も言ったことないよ? ただ 男の子が勝手に負けてくれるだけだもん!」
強く問いかけるがしらばっくれる南ちゃん
「チームのみんなにもやったんですか?」
南「うーん、ショートの子 伊藤くん と あのピッチャー 山田は私の言うこと聞いてくれなかった、あの2人は恋なんてしたことないんだと思うわ(笑)私の可愛さに気づかない子なのかもね?」
友達を蔑むのはいい気がしない 次第に頭に血が昇り南ちゃんを睨みつけた
南「協会に公表するの?」
「今から野球協会に言ってこのことを話します」
俺はロッカー室のドアを開けて協会に向かう
南「待って!亮君!!!」
本部へと歩みだしたその時 南ちゃんは俺の背中に抱きつきスリスリしてきた
すっごいいい香り そして背中から伝わる豊満な胸が和柔らかく身体に伝わってくる
「お願い!亮君!言わないで?ね!」
試合の前の俺だったらとっくに許していただろう しかし、あのような行為を普通にする南ちゃんには言うことを聞く義理はない
「離してください!そんなことをみんなにも言ってるなんて最低だ!不謹慎だ」
南「亮君はホントなの!ホントに亮君のことが好きなの!」
「いい加減にしろよ!」
俺は信じられなかった 俺は抱きついて離れない南ちゃんを引き離す
南「わ!私の初女あげるから!」
「え?」
南「みんなに好きって言ってるけど初女は守ってる!だから私の全てを亮君に捧げる!!
「!?」
南「キスもハグも私の身体全部なでなでしてもいいから!ね?だから言わないで」
一度悩み込むが再び本部へと走り出す 俺はもう南ちゃんの誘惑には屈さない
南「亮君ーーー!ほ、ホントに亮君のことをホントホントに大好きなのにー!!
それを南ちゃんは俺をみつめながら号泣し叫び続けていた




